「森を壊し、生活を脅かす」G-Bio石巻須江バイオマス発電 認定取り消しを経産省に要請

バイオマス

宮城県石巻市須江地区で着工されようとしているG-Bio石巻須江バイオマス発電所(出力102,750キロワット)に関して、本日、FoE Japan、須江地区保護者の会、ウータン・森と生活を考える会の3団体は、経済産業省に対して、FITの認定を取り消すように求める要請書を提出しました。

要請書では、当該事業が住民の強い反対があるのにもかかわらず強行されようとしていること、事業者の燃料をめぐる説明が二転三転していることを指摘。
燃料として使われるパーム油需要の増大が、東南アジアでの森林減少の要因になっていることをあげ、「このままでは、事業地周辺の自然を壊し、地域住民の暮らしを脅かす。燃料の生産地にも事業地にも大きな負の影響をもたらす」としています。
(参考資料>G-bio石巻須江地区バイオマス発電所経緯と問題点
要請書ではさらに、農産物由来のバイオマス燃料は「非可食副産物」とする従来の方針を堅持し、パーム油をFIT認定対象から外すこともあわせて求めています。

要請書の全文は、以下をご覧ください。

2023年11月21日

経済産業大臣
西村 康稔 様

国際環境NGO FoE Japan
須江地区保護者の会
ウータン・森と生活を考える会

G-Bio石巻須江バイオマス発電所に関する要請

宮城県石巻市須江地区で着工されようとしているG-Bio石巻須江バイオマス発電所(出力102,750キロワット)は、液体燃料を使うものとしては国内最大規模です。しかし、近くに小学校や保育所があり、大気汚染や燃料用タンクローリーなどによる交通量増大の懸念から、地域住民は反対を続けています。地元自治体も事業への懸念を示しています。

発電事業者である合同会社G-Bio石巻須江(以下、G-Bio)の燃料をめぐる説明は二転三転しています。2017年2月、G-Bioは燃料をパーム油としてFIT認定を取得しましたが、その後、住民には燃料としてモザンビークで生産するポンガミア油を使う、パーム油は使わないと繰り返し説明してきました。今年になって、G-Bioは経済産業省の改善命令を受け、パーム油を前提として環境影響評価を修正し、住民説明会を開催しました。9月10日に開催された住民説明会で、G-Bioは、「本当はポンガミア油を使いたいが経産省に言われたのでパーム油を使うと言わざるを得ない」という趣旨の発言をしています。住民に対して虚偽説明を行ってきた責任を経産省に転嫁する、無責任な姿勢です。

私たちは、パーム油を使うにしろ、ポンガミア油を使うにしろ、その環境社会影響は大きいと考えています。東南アジアにおける熱帯林減少の最大の要因は、パーム油生産のためのプランテーション拡大であることはよく知られており、RSPO等の持続可能性認証では問題の解決にはなりません。経済産業省のバイオマス持続可能性ワーキンググループにおいて、新規認定の対象となる農産物由来のバイオマス燃料は「非可食副産物」と整理されましたが、この原則を堅持するとともに、可食主産物であるパーム油をFIT認定対象から外すべきです。

ポンガミア油を使うにしても、海外の広大な土地を日本の発電のために占有することとなります。地域住民の土地利用や他の作物等との競合は避けられません。

本事業において、とりわけ懸念されるのは、住民の強い反対、パーム油の国際価格の上昇や変動、認証パーム油の入手困難性など、事業リスクが非常に高いのにもかかわらず、事業者が強引に着工しようとしていることです。このままでは、事業地周辺の自然を壊し、地域住民の暮らしを脅かし、燃料生産地にも事業地にも大きな負の影響をもたらしたあげく、発電所の廃墟を残して事業者がいなくなるという最悪の事態すら起こりえます。

本事業はFITにより進められています。環境を破壊し、住民の暮らしを脅かす事業が、国策により進められていると言っても過言ではありません。

よって、私たちは以下を要請します。

  • 本事業のFIT認定を取り消すこと
  • パーム油をFIT認定の対象から外すこと

以 上 

 

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