【プレスリリース】エネルギー移行の脅威となるアンモニア混焼、水素を推進する日比協力に環境団体が警鐘
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プレスリリース|2023年2月15日
クリーンエネルギーを提言する市民団体は火曜、日本企業との協力を通じてフィリピンの電力セクターでアンモニアと水素利用の可能性を調査し導入を促進する現状は、フィリピン市民にとって真に有益なエネルギー移行から目をそらし、持続可能性や安価なエネルギーといった国益に反する危険なものであると指摘した。
ボンボン・マルコス大統領の東京公式訪問の際、株式会社JERA(JERA)は、アボイティス・パワー社と提携し、同社の石炭火力発電所でアンモニア混焼を開発し、フィリピンで水素とアンモニアのバリューチェーンを構築すると発表した。同社はまた、フィリピンへの液化天然ガス(LNG)供給に貢献することを約束した。
「このような見せかけの気候変動対策に関して、私たちがJERAを賞賛することはありません。この取引を通じて日本は、気候変動に対して脆弱で貧困に喘ぐ国に、高価で汚いエネルギー技術を輸出しているに過ぎないのです。フィリピンのLNG供給に貢献するというJERAの約束も、好意に見せかけた呪いです。フィリピンのエネルギー移行を助けるどころか、気候変動対策に逆行する、汚くて高価で不安定なエネルギーにさらに何十年も私たちを縛り付けることになります」と、持続可能性の問題に取組むシンクタンク、CEED(Center for Energy, Ecology, and Development)のGerry Arances事務局長は述べた。
アンモニアは製造時に化石燃料を大量に消費するため、石炭との混焼による二酸化炭素排出量の削減が期待できないことから、アンモニアをクリーンエネルギーとして推奨していることに世界中の環境保護団体が警鐘を鳴らしている。また、アンモニアは燃焼性が低いため、石炭などの従来の燃料に比べて、エネルギーを作り出すために大量の燃料を必要とする。アンモニアの燃焼時には有害な窒素酸化物など他の温室効果ガスも大量に排出される。
日本がフィリピンの低炭素エネルギーへの移行を真に支援するためには、再生可能エネルギーシステムを促進するほうが良いと、クリーンエネルギーの擁護者たちは指摘する。
「アンモニア混焼を開発するこの計画は、アボイティス社や他の事業者が石炭火力発電所を今後も使い続け、健康への悪影響やさらなる環境汚染による地域社会の苦しみを長引かせるだけです。フィリピンは、再生可能エネルギーによる未来への迅速な移行という目標から目を逸らしてはなりません。生態系と気候の危機に直面する今日、発電用のアンモニアと水素は化石燃料に目を向けさせる誘惑であり、目標に到達する希望を永遠に失う危険をはらんでいます」とCEEDの政策提言担当 Aryanne De Ocampoは述べる。
JERAは日本最大の電力会社で、日本の総電力需要の30%を供給している。アンモニアを20%混焼した場合の発電コストが石炭100%の場合と比べて24%も高くなることから、経済性がないとして批判を浴びているアンモニア混焼発電の先駆者である。
「JERAが推進するLNGとアンモニア混焼は、化石燃料に依存し続けようとする試みに他なりません。JERAはガスの拡大を通じてフィリピンの脱炭素化に貢献するふりをし、フィリピン市民が安価なエネルギーを享受するのを妨げており、私たちはこれを止めるよう強く求めます。JERAはまた、不確実な技術で排出削減の面でも無益なアンモニア混焼の推進を直ちにやめるべきです」と、FoE Japanの開発金融と環境キャンペーナーの長田大輝は述べている。
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