COP18
COP18・CMP8にに向けて
>[ご案内]1/11 国連気候変動会議COP18・COP/MOP8報告会
2012年 11月30日
11月26日~12月7日、カタールのドーハで国連気候交渉(国連気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)、京都議定書第8回締約国会議(CMP8)、科学的・技術的助言に関する補助機関(SBSTA)、実施に関する補助機関(SBI)、条約の下での長期協力行動に関する特別作業部会(条約AWG)、京都議定書の下での先進国の更なる約束に関する特別作業部会(議定書AWG)、行動強化のためのダーバンプラットフォームに関する特別作業部会(ADP))が開催されています。
産油国でのCOP開催は初めてで、これまで交渉の中でも後ろ向きな発言を繰り返してきた経緯もあり、議長国となったカタールがどのようにイニシアティブをとるかにも関心が高まっています。
昨年南アフリカのダーバンで開催されたCOP17では、京都議定書の第2約束期間の設置と2020年以降の将来枠組み交渉の開始、そして途上国の気候変動対策支援のための緑の気候基金の設置が決まり、ようやく今後の国際社会の気候変動対策への道筋が開けたかのように見えました。
しかしながら、日本、ニュージランド、ロシアは京都議定書第2約束期間への参加を拒否し、カナダは京都議定書から脱退しました。残るEUやオーストラリアの削減目標も非常に低く、気候変動の抑制につながる野心的な目標とはかけ離れていますが、それでも2020年以降の枠組みが開始されるまでの期間、法的拘束力のある削減行動が確保されることは意義があります。
日本は目標を掲げないにも関わらず京都議定書のCDM等の京都メカニズムのみの継続利用を主張しており、ドーハではこのような国の扱いも議論されます。
ドーハ会合を前に、世界銀行等様々な国際機関から出されたレポートでも気候変動影響の危機的な実情が報告されているように、温暖化防止が急がれると同時に、特に影響に脆弱な途上国支援の緊急性も高まってきています。しかし、途上国支援のための短期資金の終了が迫る中、2020年までに毎年1000億ドルという長期資金の主な資金源は定まっていません。短期資金が既存のODAの寄せ集めやダブルカウントであった事実も途上国の懸念を高めています。
京都議定書、条約の下の議論は尽きませんが、それぞれのAWGはドーハで終了することになっています。2015年の採択を目指す将来枠組みに関してはADPで議論されていきます。
全ての国が参加するとされる将来枠組みにおいて、先進国が消極的な目標しか掲げない状況の中、中国等の新興国は先進国の率先した行動を条件として交渉することは想定でき、科学的に必要とされる削減量との間に大きな乖離(ギガトンギャップと呼ばれる)が生じてしまいます。
また、将来枠組みで新たに設置される可能性のある市場メカニズムでは、特に日本が積極的に推進する「二国間オフセット・クレジット制度」が含められてしまった場合、環境や社会に大きな負荷を伴うような大規模インフラ事業等もオフセット対象にされ、またそれらを防止するセーフガードも国連下で管理できないようなものになってしまいかねません。国内で削減行動を行うよりも少ない投資によって、環境破壊や人権侵害を生じさせながら、大量の温室効果ガスの排出削減が進められてしまう可能性があります。
削減目標の大幅な引き上げと同時にこのような削減抜け穴の防止という課題を持ちつつ、ドーハでは、将来枠組みのための具体的な作業計画が議論されます。
発表資料
2012.12.08 FoEIプレスリリース「ドーハ気候交渉:先進国による気候変動対策の妨害」(和訳)
2012.11.30 FoE インターナショナルのメッセージ(英語)
2012.11.30 FoEインターナショナルの見るCOP18の論点とポジション(英語)
2012.11.23 FoEIプレスリリース「ドーハ気候交渉:切迫するも見えない進捗」(和訳)