COP17 (ダーバン会合)
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気候変動の大惨事を加速させる『ダーバン·パッケージ”』 分析
2011年12月13日
ダーバン・南アフリカ
FoE インターナショナルは、今月11日に終了した国連気候交渉について、以下を表明致しました。
「ダーバンにおいて、先進国はアメリカ合衆国を筆頭に、気候変動対策を目的とする国際枠組の解体を加速させました。また、途上国にダーバンでの合意を迫りましたが、この合意は世界にとって自滅を意味するかもしれないのです。
国連交渉の前夜、ダーバンに住む数百の家族は、壊滅的な洪水に襲われ家を失い、幾人もの人々が命を奪われました。アフリカの角と呼ばれる地域から、タイ、ベネズエラ、ツバルの小島嶼国まで数億人もの人々は、気候変動によるこのような危機にほぼ責任がないにもかかわらず、その矛先に立たされています。ダーバンにおいて進展が見られなかったことは、私たちが今まで以上に、摂氏4度から6度の温暖化による壊滅的な未来に近づいたことを意味します。そして、まずアフリカのほぼ全域や小島嶼国に大惨事をもたらし、世界中で数百万もの人々の命と生活を破壊してしま
うのです。」
FoEインターナショナル議長のニモ・バッセイは、以上のように述べました。
ダーバンでの不幸な結果は、アメリカ合衆国、日本、ニュージーランド、オーストラリア、ロシアやEUといった先進国の競合によってもたらされました。特に、アメリカ合衆国は最も非難されるべす。なぜなら、先進国の排出削減を目的とし、法的拘束力を持った枠組の解体に、最も強く取り組んできたからです。アメリカ合衆国は、京都議定書における排出削減を拒み、全く削減効果を見込めない自発的なプレッジ(誓約)制度をもって、議定書を取り替えようとする試みを続けてきました。
カナダ、日本、ニュージーランド、ロシア、オーストラリアには、途上国よりも早く、かつ迅速に排出削減を行うという先進国としての義務があります。しかし、これらの国は、その法的かつ道徳的責任から逃れようと試みてきました。カナダ、日本、ロシアは、公然と京都議定書の第2約束期間での排出削減を拒否し、オーストラリアとニュージーランドは、いくつもの参加条件を提示したため、ダーバンでの合意は、EUと一握りの先進国のみが第2約束期間に含まれることとなり
ました。
EUは、今回の交渉におけるリーダー、または救世主として報道されましたが、その思惑は非常に懸念されます。なぜならEUは、『ダーバン·プラットフォーム』の主な提案者であったからです。この提案とは、気候変動対策を今後10年間遅らせ、あまりに低すぎる削減目標を定め、京都議定書よりも脆弱で、効果の期待できない制度の確立でした。さらに、ダーバンにおけるEUの戦略とは、途上国諸国を分裂させることでした。そして、貧困水準以下での生活を強いられている数億人の人々を抱えるインドや中国といった新興国に、気候変動による危機に対処する不公平な責任を押し付けたのです。EUはまた、既存の排出目標における抜け道(ループホール)を閉じる試みを阻みました。そればかりか、非常に懸念されている排出権取引の拡張を押し進めたのです。
莫大な排出を続ける多国籍企業(corporate polluters)や、政府の見解にその利益を左右される他の企業や金融機関による大きな影響力が、ダーバンの結果がここまでの失敗に終わった根底的な理由です。これらの機関による働きかけや影響は、99%の人々、市民や市民社会が、その政府に責任ある行動を求める声を損なっているのです。
FoE
南アフリカ/グラウンドワークのボビー·ピークは、次のように述べています。
「ダーバンにおいて先進国政府は、先進国に気候変動への対策行動を求めるルールを弱めました。同時に、先進国の多国籍企業が、気候変動による危機から利益を得ることを承認するルールを強化しました。
先進国は、その国々の銀行に多額の資金援助を行ったにもかかわらず、途上国への気候資金には1ドルの拠出をも拒否してきました。そして、ダーバンにおいて、多国籍企業や世界の金融機関がグリーン気候基金に直接アクセス出来るよう主張し、非常に懸念される排出権取引によるバブル経済とその投機の拡大を推進したのです。ダーバンでの合意が、誰の利権のために進められたかは、明らかであり、
それは世界中の99%の人々のためでは全くありません。」
ダーバンでの交渉が進むにつれ、多くの途上国は、積もる懸念を表明しました。アフリカの54ヶ国によって構成されるアフリカ·グループ、インド、ベネズエラ、ボリビア、フィリピン、タイ、マレーシア、ニカラグア、数多くの小島嶼国連合は全て、様々な提案に対して抵抗したのです。しかし、途上国は京都議定書とグリーン気候基金を救うために、他に選択の余地のない(ダーバン)パッケージの承諾を強制され、交渉の最終結果に対して、結束し対抗することを達成できませんでした。
さらに、最も声高に批判を行った国の一つであるインドは、最終的にアメリカ合衆国や他の先進国による要求に屈しました。驚くべきことにその要求とは、気候変動による危機に取り組む公正なアプローチのセーフガード条項を、ダーバン合意から除外するというものでした。
「世界中の(99%の)人々は、またもや各国の政府によって深く失望させられました。ダーバン交渉の失敗の裏には、莫大な排出を続ける多国籍企業(corporate polluters)と先進国による理不尽な影響力があるのです。政府の見解にその利益を左右されるこれらの機関の主張が、99%の人々の声を消し去り、私たちのリーダーの耳に届く事を妨げてしまったのです。
私たちが、政府に成し遂げてほしいこと、それが現在の政府にとって不可能なことは明らかです。 一方で、私たちの大学、職場、社会や町中といった交渉会場の外では、公平でより良い世界を作ろうと様々な活発な運動が集結しつつあるのです。労働者や女性、農民や学生、先住民族の人々や、その他今日のどん欲な経済システムに多大な影響を受けている人々による運動は、日々勢いを増しています。そして、この運動にこそ、気候変動による危機への解決の希望が見いだせるのです。」
FoEインターナショナル クライメート·ジャスティス・コーディネーターのサラ-ジェイン・クリフトンは、以上のように述べました。
クライメート·ジャスティスの今後の展望
FoEインターナショナルは、より公正で持続可能な世界を作るためには、世界経済を根本的に変革する必要があると信じています。これを現実のものとするために、科学と公平性に基づいた大幅な排出削減と、経済の仕組みを変えることが必要なのです。また、先進国には、途上国に対し気候債務を返済する道徳的、法的義務があります。途上国が持続可能な方法で発展するため、また気候変動の影響から脆弱な人々を守るために、十分な公的資金を提供する道徳的、法的義務があるのです。気候変動に関する強力で公平な国連合意は必要不可欠です、そして、この達成のために、FoEインターナショナルは、全ての国々で公平性と社会正義(Justice)のための運動を強化するための努力を惜しみません。そして、政治が利益のためではなく、人々や地球のために機能するために、私たちの政府に働きかけを続けるのです。
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