COP17 (ダーバン会合)
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気候変動の大惨事を加速させる『ダーバン·パッケージ”』 概要
2011年12月13日
ダーバン・南アフリカ
FoE
インターナショナルは、今月11日に終了した国連気候交渉について、以下を表明致しました。
「ダーバンでの国連気候交渉は、失敗に終わりました。
気候変動による危機への対策を目的とするこの多国間交渉制度は、これまでも不完全なものでしたが、
今回のダーバン交渉は、この制度をさらに弱体化させることで、世界に大きな後退をもたらしたのです。
先進国は、名ばかりの誓約に終始し、緊急に必要とされる大幅な排出削減への約束を放棄しました。
さらに、(第1約束期間における)過去の約束をも撤回したのです。」
ダーバン交渉の結果を、一歩の前進と見る報道も見受けられますが、実際は、次を意味しています。
- 排出削減に向けた、公平で法的拘束力を持った対策に関する進展なし
- 一刻も早く必要とされる気候資金に関する進展なし
- 排出権取引を例とする、誤った解決策の拡大可能性
- 莫大な排出をもたらす化石燃料に基づいた経済の継続
- 科学と公平性に基づいた国際枠組の、さらなる脆弱化
交渉において、途上国はこれらを含む提案に対して強く抵抗しましたが、交渉最終結果は、以下の通りとなっています。
1. 気候変動対策を10年間遅らせる、新たな『ダーバン·プラットフォーム』。4年前インドネシアのバリにおいて、全ての国々に公平で高い削減目標を持つ交渉への道筋(ロードマップ)に合意がなされました。しかしダーバンでは、このバリ·ロードマップを履行する代わりに、新しい条約を作り出すための新たな交渉プロセスが合意されました。この『ダーバン·プラットフォーム』は、気候変動対策を、今後10年間も遅らせてしまうのです。
2. 京都議定書の根本的な弱体化。京都議定書は、先進国の排出削減を目的とし、法的拘束力を持った唯一の国際枠組です。先進国は、世界人口の15%のみを占めながら、大気中の3/4の排出をもたらしました。にもかかわらず、議定書の第2約束期間は未だに正式に合意されておらず、EUやごく少数の先進国のみが占めることとなってしまったのです。
3. 根本的な排出削減には、全く不十分な目標値。ダーバンでは、削減の回避を助長してしまう大きな抜け道(ループホール)に合意がなされました。これは、これまでの各国による排出削減への約束(プレッジ)では、現在から2020年にかけて、排出量の削減ではなく 増大を意味するのです。
4. 途上国への負担の移行。途上国は、地球温暖化にほぼ責任がありません。そして、その対策への財源や技術に最も不足しています。一方で、貧困削減や発展への必要性に対応するための、度重なる負担に直面しているのです。にもかかわらず、ダーバン交渉は、気候変動対策の負担を、先進国から途上国に大きく移してしまいました。
5. 新規かつ追加的な公的資金に関する交渉の進展なし。途上国は、気候変動から脆弱なコミュニティを保護するための対策行動や適応策のために、莫大な公的資金を必要としています。(これを目的とする)グリーン気候基金は、承認されてはいますが資金調達の手段に欠いており、一方で多国籍企業や民間金融機関が、この基金に直接アクセスすることを承認する条項が盛り込まれました。
6. 排出権取引の新たな可能性の拡張。排出権取引といった誤った解決策は、これまでに気候変動対策の進展を妨げ、同時に土地収奪やコミュニティの移住を強いてきました。さらに、世界金融の次なる暴落に寄与してしまうことが予測されます。
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