COP17 (ダーバン会合)
COP17に向けて | COP17 に求めること | 7つのポイント| 用語解説 | 発表資料
交渉大詰め EUと途上国のタッグでKYOTO生き残るか?
ダーバン発 12月8日(木)
先週末の2万人マーチ (C)佐藤由美 |
インド洋に面した南アフリカのダーバンで開かれている国連温暖化会合(COP17)、2週間の会議もあと1日を残すのみとなり佳境を迎えようとしています。
当初期待値の低い通過点の会議になるとみられていた当会合ですが、蓋を開けてみると1週目から、これまで6年間続けられてきた国際交渉の転換点となり、今後10年先の国際枠組みのあり方を定める重要な会議となる可能性が参加者の間でも感じられます。
若者を中心に会議に登録されただけでも5000人程の非政府組織(NGO)が参加しており、会議場内でも小さなアクションがあちこちで、しばしばアフリカのドラムのサウンドとともに展開されています。1週目の終わりには2万人のNGOや南ア市民が会議場の隣までマーチを行い、欧州を中心に各国から来たFoEのメンバーも踊り歩く参加者の一角で高らかに声を上げていました。
注目集まるEUと途上国 日本は蚊帳の外
交渉では、去年のメキシコで高らかに京都議定書の次期目標からの離脱を宣言して注目された前回とは一転、今回は日本の影の薄さがひときわ目立ちます。
2001年のマラケシ(COP7)以来、EUと並び議定書を支える先進国となったことが日本の国際社会での責任と影響力を強めました。それを自ら外した今回の会合では、次期目標を議定書の下でも続ける意思を表明した先進国と途上国の間で将来枠組みの交渉が展開される中、マスコミはもとよりNGOの間でも日本の存在は忘れられたかのような場面が見受けられます。
今日はEUと小島諸国連合(AOSIS)、アフリカグループがお互いの立場に合意を作りつつあることが記者の間で評判となっています。議定書の次期目標を受け入れることで途上国に法的拘束力ある将来枠組み(新議定書)の交渉を精力的に持ちかけてきた結果で、これで世界の2/3の国が歩調を揃えたことになります。途上国が先進国に求めている議定書存続から外れた日本はこの流れに加わることができず、新枠組み構築に向けた交渉は欧州に全く依存する形になってしまいました。
また途上国は、議定書の第二約束期間に参加しない先進国には、議定書のCDM等市場メカニズムを使わせないと主張しており、今日から本格化した閣僚級のハイレベル交渉の争点の一つとして浮上しています。日本を含め先進国は次期目標の如何に拘らず使い続けるとしていますが、議定書目標を捨ててしまった日本はロシア、カナダと並び交渉を外から見るような状況になってしまっているようです。
おそらく土曜日までもつれ込むであろう今回の会合では、①器となる将来枠組みの話と絡み、②2年前のコペンハーゲン会合以来テーブルに乗っている先進国の低い削減目標を、どうかさ上げしてゆくかという点が根本的な問題になっています。
今の目標では将来の気温上昇がカンクン合意に謳われている「2℃未満」を遥かに上回る3.5度以上の上昇を招くことになります。さらに、これにカーボンオフセット等の様々な削減抜け穴を含めると、先進国の削減は90年比でゼロに近くなってしまいます。
中印をはじめとする途上国は、枠組みの議論を拒否し、2020年迄カンクン合意のままでよしとし、さらに途上国支援の義務も怠ってきたアメリカと、そこに追随する日本などの先進国の姿勢に対し、強く反発しています。出来て6年で議定書を離れようとしている先進国を信用できないという気持ちに、国際社会の支持が集まるのは無理の無い話しでもあります。
今出されている削減目標では、先進国は自国内で進まない排出削減を新しい枠組みや市場メカニズムで置き換えて途上国、とりわけ中印に肩代わりさせてゆく制度を作ろうとしているように見えます。強い不信感はFoEはもとより政府の間でも広がっています。2020年目標を前倒しで達成しつつある欧州に比べ、温暖化対策基本法すら成立しておらず、独自の都合のいい二国間の市場メカニズム設立を主張し、削減を途上国に肩代わりさせようとしている日本は苦しい立場にあると言えるでしょう。
交渉の行方はまだ見えません。アメリカが主張する将来枠組み交渉のダーバンでの打ち切りとなるか、議定書と条約の二本立ての制度が続くか、スーパー温暖化基金となるポテンシャルのあるグリーン気候基金の設立を果たせるか、今夜も明日も徹夜となりそうです。でもそれがいつもの温暖化交渉、いよいよ大詰めです。
FoE Japan 小野寺ゆうり
(C)佐藤由美 |
COP17に向けて | COP17 に求めること | 7つのポイント| 用語解説 | 発表資料