「オンダンカクサ(温暖化+格差)とG8の責任」
〜バイオ燃料、資金メカニズム、森林減少対策(REDD)と公平性〜
温室効果ガスの大幅削減に向けた中長期目標にG8首脳が合意することは重要ですが、実施される温暖化対策が取り返しのつかない環境・社会影響を生じさせたり、途上国からのクレジットで削減義務をオフセットし実質的削減が大きく目減りしてしまってはなりません。
このような排出責任と影響の格差、および先進国の温暖化対策が引き起こす途上国への新たな環境・社会影響を私たちは「オンダンカクサ」と呼び、サミットに集まる先進国首脳に対して、オンダンカクサ解決のために以下を実現するよう求めます。
気候変動問題へのG8の責任
○先進国は2020年までに1990年比で少なくとも40%の温室効果ガスの排出削減をしなければならない。G8は率先して自国内での脱化石燃料社会の実現を進めること。
バイオ燃料と食糧
○先進国は、大規模農業によるバイオ燃料の開発・生産・貿易を速やかに停止すること。これに加え、輸送用バイオ燃料の導入目標をいったん凍結し、諸課題を検討するためのモラトリアム期間を設けること。
○検討にあたっては、食糧問題、土地利用問題、エネルギー効率、資源の有効利用、生物多様性、交通対策、費用対効果など幅広い視点を考慮し、輸送用バイオ燃料を適切かつ地域的な生産・利用に限定する基準を作ること。
気候変動対策のための資金メカニズム
○途上国への気候変動対策支援は、先進国の「気候債務」に対する義務として行うものである。資金は国連気候変動枠組条約の締約国会議の決定に基づいて拠出されるべきである。適応対策支援は、多国間プロセスにおける適応対策の定義の合意とニーズアセスメントに基づくとともに、融資ではなく、無償でおこなわれるべきである。
○気候変動対策に逆行する化石燃料へ投じられている公的資金の投融資・
補助金等の支援を、持続可能なエネルギーや省エネルギー化への転換促進に振り向けること。
○技術移転を含む緩和対策は、脱化石燃料社会への転換と持続可能な開発を促すために充てられるべきであり、化石燃料や大規模農産物起源のバイオ燃料、大型水力、原子力など、甚大な影響を及ぼしかねない事業に投資・支援しないようクリーン・テクノロジーの定義と選定基準を明確にすること。
○途上国支援は、先進国の削減義務をオフセットするものであってはならず、温室効果ガスの実質削減を伴うものであること。
森林減少からの温室効果ガスの排出対策
○深刻な森林減少問題は、生産国での森林・土地利用におけるグッドガバナンスの欠如、地域住民の土地・森林利用権の侵害、および林産物や商品作物への巨大な需要と貿易が引き起こしていることを認識し、G8は率先して、林産物や商品作物の過剰消費の削減に取組むこと。
○林産物や商品作物の生産への投資や製品の国際貿易に対して、環境・社会影響を回避する生産・流通を担保する法制度を設け、これを投資・貿易の条件とすること。制度作りは開かれた手続きで行うこと。
○REDDなど森林減少対策の制度づくりにおいては、炭素機能だけでなく森林の多面的機能を十分に考慮するべきである。また、途上国の森林減少対策が先進国の削減義務をオフセットするものであってはならない。
詳細はこちら
>FoE Japan ブリーフィングペーパー/日本語[PDF・678KB]
>FoE Japan
ブリーフィングペーパー/英語 [PDF・202KB]
|