途上国において予測される気候変動影響の回避、軽減、復興などのための「適応対策」ついて、国連気候変動枠組条約下で、公平な支援のための資金メカニズムを構築するプロセスが進められています。
ほかにも、世界銀行を通じた様々な基金や、米国主導の資金メカニズム構築の動きがあるのに加え、1月のダボス会議では、福田首相が新たな資金メカニズム「クールアース・パートナーシップ」を提案しました。この資金メカニズムの乱立と積極的すぎとも言える日本の参加姿勢には注視が必要です。
これまでの日本の政府開発援助(ODA)は、大型ダムや道路建設などの大型公共事業が多く、日本の業者が受注する利益誘導的なものが多数ありました。これらの事業では、現地の先住民族や住民の強制移動によって、貧困化やコミュニティの分断を招き、腐敗の温床となるなどの問題が後を絶ちません。
さらに、「援助」といいながらも「融資(円借款)」のかたちをとることで、インドネシアなど債務の増大に悩まされている国もあります。温暖化対策のための新たな資金メカニズムで、このような問題を繰り返してはなりません。
洪水に苦しむバングラディッシュの人々(C)G.M.B.Akash
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途上国における適応対策では、まず影響を受ける地域の脆弱性を把握し、住民と情報を共有することが必要です。
そして住民の参加を得た上で、地域の資源や伝統的な技術を十分に活用した方法が選択されなければなりません。
インドネシアの事例では、干ばつによる稲作への被害が深刻な地域があります。ここでは、近代的なダムや設備に頼らずとも、気象予報の共有方法や理解の向上と伝統的な農法の併用が、より有効な適応対策を可能にしました。
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