COP29 早くも第1週目終盤ー開幕以降の進捗は?
11月11日にアゼルバイジャンの首都バクーで国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)が開幕して、早くも一週目が終わりを迎えています。
現地では2日目・3日目に各国の首脳級を迎えたワールド・リーダーズ・サミットを開催。その裏でも交渉は進んでいます。月曜から木曜までのハイライトをお伝えします。
市場メカニズムに関する拙速な決定
11日の開幕セッションで注目されたのは、パリ協定第6条市場メカニズムに関する決定です。パリ協定第6条は炭素市場に関する条項で、炭素市場は排出削減につながらずむしろ環境や社会に悪影響を及ぼすため、FoEグループはかねてから炭素市場およびその運用開始に強い反対の声をあげてきました。前回までの国際交渉では、炭素除去に関する方法論(大気中から人為的に炭素を回収することで炭素クレジットを創出する際の方法論)をめぐり議論が紛糾、交渉は決裂しました。
通常すべての決定はCOPの最終日に行われますが、6条の除去に関する決定がCOP29冒頭で行われました。6条4項に関する監督委員会がまとめた除去事業に関する方法論(事業方法論と除去事業の二つのスタンダード)に関する決定が採択されてしまったのです。決定文書は、監督委員会が除去に関するスタンダードを採択したことに留意し(Take note)、監督委員会が速やかにスタンダードを更に開発しつつ実施でき、進捗をCMA(パリ協定の締約国の会議)へ報告することとしています。強い反対の声がでているにもかかわらず、COPの初日に採択を行ったということは、本来はCOP期間中に行うべき議論が行われないということにも繋がります。
FoEインターナショナルは、炭素市場の推進や、拙速な採決に対する非難のコメントを発表。採択の直後、ツバルの代表は「我々はこの決定を受け入れたが、ためらいがあった。この決定が先例とならないことを祈る。COP等に対してなされる報告に対し、十分な検討がなされなければならない。それが締約国主体の交渉につながる。しかしながら、このような決定のやり方は、締約国主体のやり方とは言えない。」と懸念の声をあげました。
パレスチナ連帯を
初日にはこの日唯一のアクションとして、パレスチナ連帯のアクションが会場内で行われました。近年のCOPでは開幕直後に首脳級イベントを開催することもあり、会場内でのアクションは限られる傾向にあります。アクションに集まった人々は、停戦なくして気候正義なしというメッセージを訴えました。
12日の記者会見の様子はこちら
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資金に関する交渉の行方は
今回のCOPでは、先進国から途上国に対する気候資金の流れが最も注目される議題の一つです。G77(国連における交渉ブロックの一つで途上国の集まり)と中国は、新たな共同資金目標(NCQG)は「野心的な、先進国から途上国に年間1.3兆米ドル以上の金額で、適応、緩和、損失と被害のための重要な要素も含むもの」とするよう発言。アフリカグループやラテンアメリカのグループも同様の規模の額を求めました。また途上国グループは、気候資金が途上国の債務を増やさない形のものであるべきことも改めて強調しました。
市民社会は少なくとも5兆ドルを求めていますが、先進国側は新たな額に合意することすら難色を示しています。
なお、様々な国が明確な定義がないままに気候資金を計上しており、中にはまったく気候危機対策に繋がらないばかりか、むしろ排出を促してしまうものが多くあることも指摘されています。例えば、ロイターの調査によると日本は化石燃料への依存を長引かせてしまうような事業に90億米ドルを拠出し、気候資金とカウントしています。
会場では気候資金の拡大を求めて、様々なアクションが行われました。
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また、未だに巨額の公的資金を化石燃料事業に投じる国に対する抗議アクションも行われました。
詳しくはこちら
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東京でもアクション!
15、16の二日間に、気候正義のための世界アクションが呼びかけられました。東京でも若者や市民団体が中心となって新宿でスタンディングアクションを行いました。
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(深草亜悠美)
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