COP27終盤を迎えて - FoEインターナショナル記者会見
COP27の閉幕予定日である18日を迎えました。
FoEインターナショナルは閉幕に先立ち、記者会見を行いました。
記者会見の様子についてお伝えします。(注:登壇者のコメントは抜粋です)
最終日前日である17日夜、最後の全体会議が始まり、いくつかの議題を採択して中断しました。議論が終わっていない6条(国際市場メカニズム)や資金等の議題は今も継続して議論されています。18日に閉幕予定ですが、会議はこのまま週末にも継続される見通しです。
気候危機打開のためには、すでに気候危機の影響に苦しむ途上国に対し、先進国が歴史的責任に鑑み、削減目標や支援を強化していく必要があります。
Meena Raman(FoEマレーシア/ Third World Network)は「途上国が最も重視している成果は、COP27で損失と被害(Loss & Damage/ロスダメ)のための資金ファシリティを立ち上げることです。現状のドラフトでは、COP27でファシリティを立ち上げ細かい議論は今後行うというオプション、今後ファシリティを立ち上げることを決定するというオプション、そしてロスダメ資金ファシリティについては何も決定しないというオプションが示されています。最初のオプションですら、資金についてなんの見通しもないことから不十分と言えますが、しかし最初の一歩とは言えます。しかしアメリカを筆頭に先進国が交渉の進展を妨害しています」とコメント。
また「先進国は共通だが差異ある責任を認めようとしていません。パリ協定にすでに明記されている原則です。中国を言い訳に行動しようとしていません。」
Karen Orenstein(FoE US)はアメリカの役割に触れ「アメリカはUNFCCCの交渉で、これまでもフェアプレイヤーではありませんでしたが、今回は特に悪いと同僚が話していました。米国はロスダメ資金に資金を供給できないだろうから設置に反対しているようですが、だからといって他の国が設置しようとしていることを止める必要はありません。ケリーは1.5℃を守ると言っていますが、アメリカこそ気候危機の原因です。LNG輸出国としてトップで、昨日も新たなLNG事業開発に許可を与えました。」とコメントしました。
Soumya Dutta(FoEインド)は、国際炭素メカニズムによりインドで生じている問題について取り合げ「パリ協定成立以降、そしてグラスゴー以降、危険な炭素除去やジオエンジニアリングや自然に基づくオフセットなどが話し合われています。インドでは200以上の炭素市場事業がCDMを通じて行われています。炭素市場事業により先住民族が伝統的に利用してきた森から追い出されています。石炭事業を行う企業が実施する巨大なソーラー事業により、水源が影響をうけ、牧畜を営んできた人々に水が行き渡らなくなりました。過去10年近く炭素市場を見てきましたが、売り手側も買い手側も排出を削減できていません。炭素市場はまったくの詐欺です。」と炭素市場を批判しました。
最後に、Tatiana Roa(FoEコロンビア/CENSAT Agua Viva) は「ラテンアメリカの国々も他の地域と同じく、大きな影響を受けています。気候危機の悪化により、農業や生計手段、食糧安全保障への影響が懸念されます。気候危機の影響を受ける人々が増えているのに、危機に責任のある国は、真の解決策に資金をあてず、化石燃料産業への支援を続けています。真の解決策は、炭素を地中から掘りださないことです。」
昨年のCOPでは、石炭火力のフェーズダウンや化石燃料補助金の廃止などが盛り込まれました。交渉では、決定文書に「すべての化石燃料の廃止」を盛り込むのかどうかなどについて、議論が続いています。