声明:「テロ対策施設」の猶予期間の実質延長に抗議する~事業者の都合を安全性に優先
本日、原子力規制委員会は、原発の「テロ対策施設」(特定重大事故等対処施設、特重施設)の設置期限を延ばす規則改正を正式決定しました。これを受け、国際環境NGO FoE Japan、原子力規制を監視する市民の会は連名で抗議声明を発出いたしました。
今回の決定は、事業者の都合を住民の安全に優先し、福島第一原発事故の教訓を蔑ろにするものです。声明の全文は以下をご覧ください。
2026年8月26日
国際環境NGO FoE Japan
原子力規制を監視する市民の会
声明:「テロ対策施設」の猶予期間の実質延長に抗議する
本日、原子力規制委員会は、原発の「テロ対策施設」(特定重大事故等対処施設、特重施設)の設置期限を延ばす規則改正を正式決定しました。
私たちは、これは事業者の都合を安全性に優先させるものとして強く抗議します。
2013年から施行された新規制基準では、大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応として、原子炉格納容器の破損を防止するため、可搬型の施設に加えて「遠隔制御(緊急時制御室)」「注水ポンプ」「電源」などを備えた常設の施設の設置が義務付けられました。これが「テロ対策施設」です。
福島第一原発事故の教訓を踏まえ、新規制基準を満たさない原発は原則として稼働できないルールとなりました。しかし、「テロ対策施設」は建設に時間がかかることから、例外的に設置まで5年間の猶予期間が認められました。
当初は「新規制基準の施行日(2013年7月)」を起算点としていましたが、その後、「本体施設の設工認(設計及び工事の計画の認可)」を起算点とすることに緩められました。
そして今回、起算点を営業運転の開始時とすることにより、建設期限がさらに先送りされました。すなわち、「テロ対策施設」なしで運転可能な期間がさらに長くなることになるのです。
「テロ対策施設」の猶予期間延長に関しては、事業者側からの強い働きかけがありました。2025年10月、原子力事業者と原子力エネルギー協議会(ATENA)は、近年の建設業界の労働環境の変化などを理由に、「テロ対策施設」の猶予期間を3年延長することを求めました。先頭にたったのは、女川原発の「テロ対策施設」の建設が遅延し、2026年12月には原発を停止せざるをえないとみられていた東北電力でした。今回の原子力規制委員会の決定は、結果的にこれらの事業者側の要請を受け入れたことになります。
新規制基準において、「テロ対策施設」は「意図的な航空機衝突」などの重大な事態に備えるための不可欠な設備として位置づけられています。可搬型の電源車等だけでは新規制基準を完全に満たしているとはいえず、テロ対策施設が未完成の状態が長引くことは、「安全基準を満たしていない状態での運転」が長期化することを意味します。いわば、事業者の都合を住民の安全に優先させることになります。
私たちはこれに強く反対し、決定の撤回を求めます。
以上