【プレスリリース】深刻な人権侵害のつづくモザンビークLNG事業ー日企業のOECD指針違反について日英政府窓口に申立てを提出

深刻な人権侵害のつづくモザンビークLNG事業 日企業のOECD指針違反について日英政府窓口に申立てを提出

2026年6月5日

Justiça Ambiental (JA!)/ FoE Mozambique
国際環境NGO FoE Japan

本日、Justiça Ambiental (JA!)/ FoE Mozambique(所在地モザンビーク)および国際環境NGO FoE Japan(所在地日本)は、モザンビーク北部で開発中の、重大な人権侵害や環境破壊が指摘されているモザンビークLNG事業に関与する日本企業が、『OECD(経済協力開発機構)責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針』(OECD行動指針)に違反しているとして、日英政府の「連絡窓口」(NCP)に「申立て」を行いました。OECD行動指針では、多国籍企業の活動により引き起こされる様々な負の影響を特定し、責任ある行動を求める手段として、各国政府のNCPへ問題提起を行う手続きが設けられています。

今回の申立ては、事業の出資者である三井物産と独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の合弁企業であるMitsui E&P Mozambique Area 1 Ltd.(MEPMOZ。英国登記)を対象に提出されました。申立書は、事業により現地にもたらされる環境影響、一般市民への人権侵害、特に強制的な移転に対する補償措置が未解決であることや、生計手段の未回復、そして事業警備にあたっていた治安部隊による虐殺疑惑について言及しています。

申立てを行った2団体を含む世界各国の市民社会団体は、上述の日本企業2社も含め、事業に関与する企業や金融機関に対し、事業におけるデュー・ディリジェンスの強化や情報公開、事業からの撤退を求める書簡を幾度も送付してきました。しかし、これらの懸念に対する十分な説明や影響緩和、改善などが見られないため、この度日本企業に関して申立てを行いました。

OECD行動指針は、多国籍企業が事業地や地球環境にもたらす影響力を考慮し、企業行動に期待する情報開示や、人権、雇用、環境等の項目を提示しています。今回の申立てでは特に、「人権を尊重する(第4章人権 第1項)」、「人権に対する負の影響のリスクの重大性に応じた適切な人権デュー・ディリジェンスを実施する(同章 第5項)」や「a) 気候変動(第6章環境)」「b) 生物多様性の損失(同章)」等について、日本企業の行動違反を強調しています。
なお、他の関係国でも事業に関する複数の動きが出ています。2025年11月には欧州憲法人権センター(European Center for Constitutional and Human Rights, ECCHR)が、事業者トタル・エナジーズに対し、事業のために雇っていた治安部隊(JTF)へ直接支払いを行っていたことにより「戦争犯罪、拷問、強制失踪への加担」をしたとして、フランスにて刑事告発を行いました。また2025年12月には、金融支援をしていたイギリスおよびオランダの輸出信用機関(ECA)が、同事業に係る様々なリスクが上昇していることを認知し、事業から撤退しました。オランダ政府財務省委託の人権調査報告書も発表され、事業警備にあたっていた治安部隊による一般市民への度重なる暴力について多数指摘されました。

事業に関与する企業および金融機関が適切なデュー・ディリジェンスを実施し、モザンビークLNG事業から撤退するよう求める動きが関係各国で広がっている中、日本の関係者もOECD行動指針をはじめとする国際基準に則った責任ある行動が求められています。

Justiça Ambiental (JA!) のガス・キャンペーンのナショナル・コーディネーターKete Fumoは、「モザンビークLNG事業は、気候変動に対して最も脆弱な国の一つであるモザンビークにおいて、被影響コミュニティの既に不安定な生活状況をさらに悪化させる可能性のある、まさに炭素爆弾です。この現実は、事業に関連した人権侵害の疑惑が未だに十分に対処されていないことでさらに深刻化し、コミュニティの国家機関に対する信頼を損なっています。

このような状況下で、事業再開後の資金提供の継続は、既に広く記録されている環境、社会、人権への影響を永続させる深刻なリスクをもたらします。したがって、私たちは健全な判断、徹底したデュー・ディリジェンス、そして環境、社会、人権に関するセーフガードの厳格な遵守を求めます。これらの懸念を無視すれば、資金提供者やその他の利害関係者は、影響を受けるコミュニティが被る継続的な被害と不正義に加担、あるいは共同責任を負うことになりかねません。」と述べています。

国際環境NGO FoE Japanの脱化石燃料キャンペイナー佐藤万優子は、「日本に生産量の約3割が輸入される予定のモザンビークLNG事業には、金融支援をはじめとして多数の日本の官民が関与しています。近年の地政学的リスクから、エネルギー供給先の多角化にモザンビークも入っていますが、事業地で起きている人権侵害や環境破壊の深刻な負の影響を考慮せずに、化石燃料に依存することはあってはなりません。関与する日本の主体は、説明責任を果たし一刻も早くこの事業から撤退するべきです。」と述べています。

連絡先
国際環境NGO FoE Japan (担当:佐藤、深草)
Email: sato@foejapan.org

参考
・三井物産と独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の合弁企業であるMitsui E&P Mozambique Area 1 Ltd.(MEPMOZ、英国登記企業)に対する申し立ては、JA!(FoEモザンビーク)およびFoE Japanが共同で英国の窓口に提出しました。また親会社である三井物産とJOGMECに対する申し立てを別途日本の窓口に提出しています。
・FoE Japanを含むNGOや市民社会団体によるモザンビークLNGに関する提言活動の情報はこちら https://foejapan.org/issue/tag2/mozambique-lng/
・ECCHRによるトタル・エナジーズへの刑事告発についてはこちら
https://www.ecchr.eu/en/press-release/totalenergies-faces-criminal-complaint-for-complicity-in-war-crimes-torture-and-enforced-disappearance-in-mozambique/
・蘭政府財務省委託の人権調査報告書はこちら 
Clingendael. “Human rights violations by Mozambican security forces in the context of the Mozambique LNG project.” 1/12/2025 https://www.clingendael.org/publication/human-rights-violations-mozambican-security-forces-context-mozambique-lng-project

 

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