【プレスリリース】モザンビークLNG事業再開:金融機関に対して事業からの撤退を要請

Justiça Ambiental、BankTrack、Friends of the Earth France、Reclaim Finance、urgewaldによるプレスリリース(英語原文はこちら/以下FoE Japanによる日本語訳)
モザンビークLNG事業再開:金融機関に対して事業からの撤退を要請
パリ、2026年1月29日 — 本日、モザンビーク政府とトタル・エナジーズが約5年間中断をしていたモザンビークLNG事業の再開決定を発表し、NGOらはこれを非難した。この事業は、モザンビーク軍が事業現場で民間人に対して戦争犯罪を犯したとの疑惑など、数々の失敗に直面している。英国とオランダの政府は、人権リスクが大きすぎると判断し、事業の支援から撤退した。Justiça Ambiental、Friends of the Earth France、Reclaim Finance、BankTrackは、この事業再開決定は無責任かつ危険であると述べ、金融機関に対しモザンビークLNGへの融資を行わないよう要請した。
モザンビークLNG事業は、カーボ・デルガード州で治安情勢が悪化し、パルマのガス田入り口付近で死傷者が生じた襲撃が起きた後、2021年4月から中断されていたが、この度再開の発表がされた(1) 。しかし、NGOらは、不安定な治安情勢下では地域社会への保護が依然として不十分であり、地域社会が被った被害への対応が未だ不十分であると警告している。
トタル・エナジーズは現在、人権侵害の疑惑に直面しており、2021年3月と4月にパルマで発生した襲撃の際に過失致死と危険な状況下にある人びとの救助を怠ったとして、フランスで司法捜査を受けている(2)。
ポリティコ紙(3)、ル・モンド紙(4)、ソースマテリアル紙(5)が「コンテナ虐殺」を暴露する記事を出しており、トタルは戦争犯罪、拷問、強制失踪への共謀の訴えも受けている(6)。同社は、2021年7月から9月にかけてガス田で数十人の民間人を拘束、拷問、殺害したとされるモザンビーク軍に直接資金を提供し、物質的な支援を行ったとして告発されている。
Justiça Ambiental!の事務局長であるアナベラ・レモス氏は、「世界で最も貧しい国の一つであり、環境災害によって度々壊滅的な被害を受けているこの国は、利益のみを追求するトタル・エナジーズのような多国籍企業によって、金のなる木のように扱われています。モザンビークで何千人もの人々が再度壊滅的な洪水の被害に苦しんでいる中、同社は人命を軽視し、我が国の環境的に繊細な地域でガス採掘事業を再開し、さらには称賛さえしています。このような不正義は、人命、環境保護、そして気候正義よりも企業利益を優先し続ける金融機関の無責任で非倫理的な資金提供によって可能になっています」と述べた。
「発表されたモザンビークLNG事業の再開は、死者、行方不明者、そして強制住民移転の影響を受けた人びと避難者の存在を否定しようとするようなものです」と、Friends of the Earth Franceの民間金融キャンペーン担当のロレット・フィリポ氏は述べている。「これは、現在も続く治安の悪化、地域社会の苦しみ、そして法的手続きを無視するために意図的になされた決定であり、トタルは、モザンビーク国民に多大な犠牲を払わせることになっても、どんな犠牲を払ってでもこの事業を推進しようとしています。」
英国とオランダの両政府は、独立調査(7)を受け、2025年に輸出信用機関を通じてこの事業への支援を撤回した。両国は、以前はこの事業を支援していた(8)。
2020年には、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル、スタンダード・チャータード、ABSA、ネッドバンク、ランド・マーチャント・バンクなど、約30の金融機関がこの事業への融資に合意していた(9)。
「金融機関は、この事業が地域住民に及ぼす深刻なリスクを認識し、支援を撤回する必要があります」と、Reclaim Financeのキャンペーンコーディネーター、アントワーヌ・ブーエ氏は述べている。「支援を継続する銀行は、人権侵害が発生した場合、責任を負う可能性があります。」
「現在モザンビークを襲い、数千人の人々が避難を余儀なくされている洪水は、気候変動リスクが現地でどのようなものかを痛烈に思い起こさせるものです」と、BankTrackの銀行と気候キャンペーンリーダー、ディオゴ・シルバ氏は述べている。「今日モザンビークLNGに資金を提供することは、地域社会を明日の、より深刻な気候変動の混乱に巻き込むことを意味すると同時に、人権侵害、環境破壊、そして金融リスクを増大させるものです。スタンダード・チャータード、ABSA、ネッドバンク、ランド・マーチャント・バンクといった、気候変動と人権に関する公約を掲げる銀行にとって、この事業への支援を継続することは、デューデリジェンスと責任の明確な欠如を意味します。現在も関与している銀行は、気候変動や人権に関するコミットメントへの適合を主張しながら、その両方を悪化させる事業を支援することはできないはずです。」
「トタル・エナジーズは、事業再開によって、深刻化する治安状況と地域住民への甚大な危険を無視しています。しかし、ドイツ銀行はトタルエナジーズの新規の資金調達を定期的に支援しています。ドイツの投資家たちは、この石油・ガス大手から新規債券を購入し続け、モザンビークLNGなどの事業に資金を提供しています。ドイツ銀行、その投資子会社DWS、ユニオン・インベストメント、そしてデカ・インベストメントは、トタル・エナジーズへの資金援助を直ちに撤回するべきです。さもなければ、彼らはこの破滅的な事業に加担することになります」と、urgewaldのエネルギーキャンペーン担当のソニア・マイスター氏は述べている。
「気候危機がモザンビークの人々の命を奪うまさにその最中に、気候危機をさらに加速させる巨大ガス事業の再開が発表されたことは受け入れられません。日本政府および日本の企業はこの事業に深く関与していますが、人権侵害の疑惑や、移転住民への補償の不足の問題など、指摘されている懸念に十分な説明責任を果たしているとは全く言えません。事業に出資する三井物産やJOGMEC、また融資を行った国際協力銀行や民間金融機関は事業から撤退すべきです」とFoE Japanの事務局長である深草亜悠美氏は述べている。
連絡先:
Anabela Lemos, Director, Justiça Ambiental!, +258 87 195 3602, anabela.ja.mz@gmail.com
Lorette Philippot, Campaigner, Friends of the Earth France, +33 06 40 18 82 84, lorette.philippot@amisdelaterre.org
Antoine Bouhey, Campaign Coordinator, Reclaim Finance, +33 7 81 84 67 75, antoine.bouhey@reclaimfinance.org
Diogo Silva, Campaign Lead, BankTrack, diogo@banktrack.org
Sonja Meister, Energy Campaigner, urgewald,+49 176 6460 8515 sonja.meister@urgewald.org
注釈:
(1) https://totalenergies.com/news/press-releases/mozambique-lng-announces-full-restart-all-its-activities-onshore-and-offshore
(2) https://www.amisdelaterre.org/communique-presse/mozambique-lng-total-visee-par-une-information-judiciaire-pour-homicide-involontaire/
(3) https://www.politico.eu/article/totalenergies-mozambique-patrick-pouyanne-atrocites-afungi-palma-cabo-delgado-al-shabab-isis/
(4) https://www.lemonde.fr/afrique/article/2024/11/24/violences-arrestations-disparitions-totalenergies-savait-que-des-exactions-etaient-commises-sur-son-site-gazier-au-mozambique_6412216_3212.html
(5) https://www.source-material.org/mozambique-total-lng-military-human-rights/
(6) https://www.amisdelaterre.org/communique-presse/https-www-amisdelaterre-org-communique-presse-total-pret-a-relancer-mozambique-lng-a-tout-prix-a-condition-que-ce-prix-soit-paye-par-les-mozambicains/
(7) https://www.clingendael.org/publication/human-rights-violations-mozambican-security-forces-context-mozambique-lng-project
(8) https://www.politico.eu/article/uk-drops-funding-massacre-linked-gas-project-mozambique/
(9) 日本からは、公的機関では国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、民間では三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、SBI新生銀行、日本生命相互会社などが金融支援を約束している。(FoE Japanによる注釈)