【プレスリリース】市民社会団体が、モザンビークで加速するガス事業を非難

市民社会団体が、モザンビークで加速するガス事業を非難

2025年10月3日

安全保障リスクと人権リスクが高く、地域住民からの異議申し立てが未だ解消されていないにもかかわらず、大手石油・ガス会社はモザンビークで数十億ドル規模のガス事業を拙速に進めようとしています。市民社会団体は、事業に伴う高い人権、気候、環境リスクを考慮し、金融機関に対しこれらの事業への支援に対して警鐘をならしています。

今週、イタリアの半国営エネルギー会社ENIはコーラル・ノースFLNG事業に対する最終投資決定を発表し、開発を正式に開始しました。フランスエネルギー大手TotalEnergies(トタル・エナジーズ)とモザンビーク政府は、モザンビークLNG事業を早急に再開する計画を確認しました。一方、ExxonMobil(エクソンモービル)はロブマLNG事業の進捗を示唆しました。

これらの動きは、カーボ・デルガード州が依然として不安定な状況にある中で行われました。2025年7月以降、反乱軍の活動は激化しており、旅行者への頻繁な襲撃、パルマ市近郊の村々への襲撃、そして先月には主要港湾都市Mocímboa da Praia(モシンボア・ダ・プライア)で2度襲撃が発生しています。トタル・エナジーズの「要塞作戦」と、アフンギガス田周辺でガス田の保護を最優先とし操業を完全に孤立させ、部隊を敷地内に集中さるといった新たな警備体制をとっているため、近隣のコミュニティは攻撃に対して脆弱な状態にあります。

住民移転に関する異議申し立ては未解決のままであり、コミュニティの漁業を含む通常の生計活動が制限されています。これらの事業に伴う社会経済的リスクとモザンビークの主権侵害に対する深刻な懸念は依然として残っています。

専門家らは、トタル・エナジーズのモザンビークLNG事業の再開は反乱勢力への勧誘を活発化させる可能性があり、現在設置されている特別安全地帯は地元住民をさらに疎外させる可能性があると警告しています。

これはモザンビークとその国民に犠牲を強いる事業であり、さらに悪い結果を招くことになるでしょう。

Justiça Ambiental!のAnabela Lemos氏は、「深刻な社会的・人権的懸念を解決せずに「不可抗力宣言」を解除することは、直接影響を受ける人々に対する責任と配慮の欠如を示しており、意味のある長期的な解決策を見出すことをさらに困難にするだけです。これらの事業は中止され、土地と海は地域社会に返還されなければなりません。そして、ガス会社は既に引き起こした損害に対して責任を負うべきです」と述べています。

Reclaim FinanceのAntoine Bouhey氏は、「この事業を進めるには、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル、スタンダード・チャータードを含む30以上の金融機関の承認が必要です。2021年に起きたとされる虐殺事件の疑惑に関する国際的な独立調査の要請が進展していないことを考えると、この事業の資金提供者は、このような危険な事業に白紙小切手を切るべきではありません」と述べています。

urgewaldのSonja Meister氏は、「ドイツの企業と銀行は、トタル・エナジーズによるこの破滅的な事業を急いで再開しようとする無謀な動きに加担しています。シーメンス・エナジー社は間もなくガスタービンなどの設備を納入し、生産行動を加速させる可能性があります。一方、ドイツ銀行は既にトタル・エナジーズによるモザンビークLNG事業の資金調達を支援しています。深刻な人権侵害と調査が継続中であるにもかかわらず、シーメンス・エナジー社とドイツ銀行がこの事業を支援していることは言語道断です」と述べています。

Friends of the Earth FranceのLorette Philippot氏は、「いかなる犠牲を払ってでもモザンビークLNGを再開させようとするトタル・エナジーズの強引な戦略は、解決策をもたらさないばかりか、さらなる人道的・環境的災害を引き起こす恐れがあります。長年にわたり、地域社会は、治安部隊と反政府勢力に挟まれ、フランスの石油大手が残してきた締め付けの代償として、命を落としてきました。トタル・エナジーズは耳を傾けようとしませんが、人権は利益よりも優先されるべきです。2020年にトタル・エナジーズに信頼を寄せた公的および民間の銀行は、もはや同社の度重なる失敗に目をつぶることはできません。彼らは共犯者となることを拒否しなければなりません。さもなければ、彼ら自身もその結果に直面することになるでしょう」と述べています。

BankTrackのDiogo Silva氏は、「トタル・エナジーズは、既に所有する莫大な利益を最大化するために、またしても破壊的な事業を推進し、多くの人々の命を犠牲にしています。今こそ、商業銀行が気候、人権、そして自然保護について自らの言葉に伴う行動をすべき時です。スタンダード・チャータード、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル、みずほ、三菱UFJ、三井住友、スタンダード・バンク、そして関係するすべての商業銀行に対し、この事業への支援を撤回するよう強く求めます。そして、英国、フランス、日本、南アフリカの市民社会は、これらの銀行に対し、唯一の合理的かつ可能な限り正しい行動、すなわちモザンビークLNG事業からの撤退を迫るべきです」と述べています。

連絡先:
Daniel Ribeiro, Justiça Ambiental / daniel.ja.mz@gmail.com
Lorette Philippot, Friends of the Earth France / +33 640188284 / lorette.philippot@amisdelaterre.org
Sonja Meister, urgewald / +49 176 64608515 / sonja.meister@urgewald.org
Diogo Silva, BankTrack, diogo@banktrack.org
Antoine Bouhey, Reclaim Finance, antoine@reclaimfinance.org

こちらのプレスリリースは、Justiça Ambiental!, Reclaim Finance, Friends of the Earth France, urgewald, BankTrackにより作成されました。

プレスリリース英語原文はこちら:https://foejapan.org/en/issue/20251009/26182/

 

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