COP29で市民団体がオーストラリア・日本・韓国に化石燃料事業における協力の停止を求める

脱化石燃料
Photo: Masayoshi Iyoda @ 350.org

2024年11月15日
プレスリリース
COP29で市民団体がオーストラリア・日本・韓国に化石燃料事業における協力の停止を求める

FoE Japan、Solutions for Climate Australia、Asian Peoples Movement on Debt and Development(APMDD)、 350.org JapanやDon’t Gas Asiaなど日本や韓国、オーストラリア、南・東南アジア等を拠点に活動する団体は、COP29の会場でアクションを行い、オーストラリア・日本・韓国に対して化石ガスインフラの拡大にこれ以上支援を行わないよう求めた。アクションでは、#NoMorePublicMoneyForFossilGas (化石ガスにこれ以上公的資金を投入するのはやめて)や #SayonaraFossilFuels (さようなら化石燃料)などと書かれたプラカードが掲げられた他、ピカチュウの着ぐるみも使いアピールが行われた。また、オーストラリアでの化石ガス採掘に対する先住民族の抵抗について力強いスピーチもあった。 

韓国と日本は、 化石燃料に対する公的支援の額が世界で2番目と3番目に多く、2020年から2022年まで毎年平均でそれぞれ約100億ドルと約70億ドルを新たな石油、ガス、石炭事業に費やしてきた。韓国と日本の政府は、今も数十億ドル規模の支援を海外の化石燃料事業に注ぎ込み続けており、化石ガスの採掘にも支援を行っている。支援事業には、オーストラリアでの炭素爆弾(開発により大量の温室効果ガス排出が予想される事業)と呼ばれるバロッサやスカボローガス田事業やモザンビークLNG事業などが含まれる。

国際エネルギー機関は、各国が気候変動公約を守ることでLNG需要が今後数十年で大幅に減少すると報告し、LNGの供給過剰を予想しているにもかかわらず、 日本と韓国は「エネルギー安全保障」のためと称して自らの汚い投資活動を正当化している。しかし、最近の調査によると、日本はすでに国内需要の減少に直面しており、他国、特に東南アジアに輸入した化石ガスを転売している。 

転売を続けるため、日本は輸入インフラに対する大規模な投資を行うことで、南アジアと東南アジアにおける化石ガスの需要創出を目論んできた。エネルギー政策の立案に「技術協力」を行い、ガス事業の寿命を延ばす技術も推進している。日本と韓国は両国とも、炭素投棄(もしくは炭素回収・貯留(CCS)として知られる)や水素混焼などの技術も熱心に推進している。これらの技術はコストが高く、まだ技術的に確立していないばかりか、今後数十年にわたり化石燃料インフラを維持することにつながる。

一方、オーストラリアは、日本と韓国の需要を自らの化石ガス拡大と輸出の口実に利用し、「オーストラリアのガスが東京に光をともしている」と主張している。アジアのエネルギー需要を満たすどころか、オーストラリアによるガス拡大は、先住民族コミュニティの権利を侵害し、気候危機を悪化させ、オーストラリアだけでなく世界中のコミュニティと生態系に壊滅的な影響をもたらしている。オーストラリアは現在、世界第2位のLNG輸出国であり、オーストラリアの化石ガスの大部分は日本、韓国、中国が受け入れている。

最近の研究によると、ガス業界や投資国がLNGをより良い代替燃料または移行燃料として宣伝しているにもかかわらず、輸出されたLNGは石炭よりも多くの温室効果ガスを排出している。 LNGの温室効果ガスの排出量は他のどの化石燃料よりも規模が大きく、ガス産業は生態系を破壊する。またLNG開発は多くの人権問題にも繋がっている。LNGは気候変動の解決策ではない。アジアのエネルギー移行において、LNGは主要な役割を担うべきではない。

市民団体からのコメント

「アジアが気候崩壊に向かうますます危険な道に直面する中、今下される決定が将来の世代に影響します。私たちに必要なのは、気候変動に対する野心的な取り組みであり、日本、韓国、オーストラリアなどの国々による中身のない約束ではありません。これらの国が、科学的根拠に基づいて行動し、化石燃料の利権に囚われないようにすることが不可欠です。先進国は、気候危機の一因となっている自らの責任を認識し、化石ガスや誤った気候変動対策を推進することで状況を悪化させることをやめなければなりません。日本、韓国、オーストラリアはアジアをさらに化石燃料依存に引きずり込むのをやめ、この地域を再生可能エネルギーによる未来に導く手助けこそすべきです。」 Sharif Jamil, Waterkeepers Bangladesh コーディネーター, Asian Peoples’ Movement on Debt and Development (APMDD) メンバー

オーストラリアの先住民族は何千年もの間、自らの国の守護者であり、何十年にもわたって破壊的な化石ガスの採掘から国を守ってきました。しかし、日本と韓国による資金支援と偽りの需要に支えられて、オーストラリアは汚染をもたらす化石ガス開発を拡大しアジアに輸出し続けている。この三国間協力は地域社会ではなく企業利益に貢献し、地域のエネルギー移行を妨げています。これらの企業がガスからグリーンな輸出に移行し、化石燃料に別れを告げる時期はとうに過ぎています。」Erin Ryan, Solutions for Climate Australia シニア国際キャンペーン担当

「トランプ氏の大統領復帰に伴い、世界的な脱炭素化の取り組みを主導し、気候変動対策資金を提供し、化石燃料への資金提供を終わらせるという日本の責任はこれまで以上に大きくなっています。しかし、日本はアジアやその他の地域で化石燃料に対する大規模な投融資を続けています。日本の公的金融機関である国際協力銀行(JBIC)は、2016年以降、化石ガス事業に186億ドルという巨額の資金を提供してきました。日本は化石燃料への投融資をやめるべきです。これは、気候変動対策と資金の流れを一致させるために不可欠なステップです。」長田大輝, FoE Japan キャンペーナー 
「日本政府は、化石燃料の段階的廃止、100%再生可能エネルギーへの公正な移行、そしてCOP29での野心的な気候資金合意を求める市民の声に直面しています。気候資金への日本の貢献は、世界有数の化石燃料投資国として気候危機に対する日本の責任の大きさを反映するものでなければなりません。しかし、化石燃料への資金支援をやめるどころか、日本は依然として、グリーントランスフォーメーション(GX)の名の下に、化石ガス、炭素回収貯留、石炭アンモニア混焼、さらには有害な原子力エネルギーなどの誤った解決策に資金を提供しています。日本は、化石燃料産業や原子力産業が広める危険な技術ではなく、市民が主導する気候変動の解決策、つまりコミュニティ主導の再生可能エネルギーへの支援を強化する必要があります。」伊与田昌慶, 350.org 日本担当キャンペーナー

 

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