【声明】横須賀火力発電所1号機の営業運転開始に抗議~速やかな稼働の中止を~

気候変動

6月30日、神奈川県横須賀市にて、2019年から建設されてきた横須賀火力発電所1号機の営業運転が開始されました。これを受け、FoE Japanは以下の共同声明を発出しました。

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【声明】横須賀火力発電所1号機の営業運転開始に抗議
~速やかな稼働の中止を~

6月30日、神奈川県横須賀市にて、2019年から建設されてきた横須賀火力発電所1号機の営業運転が開始された*1。本発電所は、東京電力フュエル&パワー株式会社と中部電力株式会社が共同出資して設立した株式会社JERAによって計画され、株式会社JERAの子会社のJERAパワー横須賀合同会社を通じて進められてきた石炭火力発電所である。

計画当時から地元市民が、気候危機や大気汚染への影響を懸念し、反対の声を継続的にあげてきたなかでの営業運転開始は、誠に遺憾である。

横須賀火力発電所1号機は、現在試運転中の2号機と合わせると石炭の燃焼によって年間726万トンもの温室効果ガスを排出し、気候変動の悪化をさらに進めるものである。気候危機は日に日に深刻化している。6月上旬に制御不能とされたカナダでの森林火災は今なお続いており、同森林火災による大気汚染は大西洋をわたり、スペインにも影響がひろがっている。また、インドでは45℃を超えるような猛暑が続き、100名以上が命を落としている。

パリ協定に掲げられている1.5℃目標達成のためには、先進国は石炭火力発電所を2030年までに廃止する必要があると言われている。国際エネルギー機関(IEA)も、新規の炭鉱開発やガス・石油の上流開発を拡大することは、2050年ネットゼロ達成への道筋と整合しないことを示しており、今年4月に開催されたG7の「2035年までに発電部門の大宗を脱炭素化」する合意にも反する。

事業者であるJERAは、本発電所を「超々臨界圧発電方式(USC)を採用した高効率な石炭火力発電所」としているが、高効率とはいえ温室効果ガスを排出することには変わりない。株式会社JERAは、2020年10月、「JERAゼロエミッションロードマップ2050」を公表している*2。アンモニアは、化石燃料ガスから精製される予定で、脱化石燃料を求める世界の潮流とはかけ離れるものである。また、2030年代に20%混焼、2050年までに専焼化をめざすという計画通りに仮に進んだとしても、それまで石炭の燃焼は続く。技術的にも高コスト・高リスクで温室効果ガス削減につながらない。

日本の「高効率石炭火力を使い続ける」政策は誤りである。横須賀火力発電所が今稼働を開始し、今後数十年にわたって石炭を燃焼させ続けることは、日本の後ろ向きで愚かなエネルギー政策を象徴している。

FoEJapanは横須賀石炭火力発電所1号機の営業運転開始に対して抗議するとともに、速やかな稼働の中止を求める。

【脚注】

*1:株式会社JERA「横須賀火力発電所1号機の営業運転開始について」2023年6月30日、https://www.jera.co.jp/news/information/20230630_1554

*2:JERA「2050年におけるゼロエミッションへの挑戦について」2020年10月13日、https://www.jera.co.jp/news/information/20201013_539

【参考情報】

・横須賀火力発電事業について:https://foejapan.org/issue/tag2/yokosuka/

 

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