オンラインフォーラム:「原発回帰GX法」が意味すること~今後に向けて(6/20)

原発2023.7.10

資料>満田 >まさの >阪上 >松久保

今国会において、原発回帰に大きく舵をきった2つのGX関連法が成立しました。
中でも、「GX脱原発電源法」(原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法などの改正案を束ねたもの)は、原発運転期間の上限に関する定めを原子炉等規制法から削除し、運転期間の実質延長、原子力産業へのさまざまな支援を法制化したものです。
昨年末から今年1月にかけて、多くの市民がパブリック・コメントを提出しましたが、そのほとんどは反映されませんでした。
国会審議も十分つくされたとはいえません。それでも国会審議を通じて明らかになってきたこともあります。
一方で、法律の成立ですべてが終わるわけではありません。省令などで今後決められることも多くの残されています。今後とも市民の監視の目が必要です。

このたび、原発回帰のGX法の成立過程や国会審議を改めてふりかえり、今後、私たちに何ができるのかを考えていくため、オンラインフォーラムを開催します。

日時:2023年6月20日(火)18:30~20:00
オンライン会議システムzoomを利用
内容:
・原発回帰GX法の成立過程と内容…満田夏花(FoE Japan)
・パネルディスカッション:
 1.GX法成立でみえてきたものとは?
 2.国会審議で明らかになったこと、明らかにならなかったこと
 3.今後何をしていくべきか

 パネリスト:
 まさのあつこ(フリージャーナリスト)
 阪上武(原子力規制を監視する市民の会)
 松久保肇(原子力資料情報室事務局長)

・参加者もまじえてディスカッション

以下からお申込みください。
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZIoduuqrj0vEtIzKG6dkU__goJnG95fSHqs

参加費:無料
主催:国際環境NGO FoE Japan

【解説】GX脱炭素電源法とは?

今期国会で成立した原発推進GX法は2つあります、(1)GX推進法、(2)GX脱炭素電源法(※)です。※原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再エネ特措法の改正案5つを束ねたもの
(1)については、詳しくは⇒「GX推進法案を通してはならない5つの理由
(2)については、以下をご覧ください。

1.原子力基本法の改悪:「原発の活用」を国の責務に

第二条の2に、電気の安定供給の確保、脱炭素社会の実現などのために原子力を活用することを、国の責務として盛り込みます。
また、原発立地地域の住民や国民の理解の促進、地域振興などを促進することも盛り込んでいます。
さらに第二条の3に、原子力にかかる人材の育成、産業基盤の維持、強化、再処理等、使用済燃料の貯蔵、廃止阻止の円滑な実施のための地方公共団体との調整などを盛り込んでいます。
「国の責務」として盛り込むということは、税金その他公的資金を、上記のような原発推進のために投入するということです。初期段階にあり、これから伸びていく、社会的にも望ましい産業を育てるためであれば、国費を投じていくこともありうるでしょう。しかし、すでに開始から50年以上も経過しており、斜陽産業である原子力にここまで手厚い保護をすることに合理性はあるのでしょうか。

2.原子炉等規制法から運転期間の上限に関する定めを削除し、電気事業法に移す

現在、老朽化した原発の安全確保のために、原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法には2つの仕組みが盛り込まれています。
1つめは原発の運転期間を原則40年とするルール。原子力規制委員会の審査を合格した場合、1回に限り20年延長できます。
2つめは、30年を超えた原発について10年ごとに審査を行うルールです。
この1つ目の運転期間に関するルールを、「原子炉等規制法」から削除し、経済産業省が所管する「電気事業法」に移すというものです。
「電気事業法」に移すことにより、原子力を規制する立場の原子力規制委員会ではなく、原子力を利用する立場の経済産業省が、原発の運転期間に関する決定権をもつことになります。

3.運転停止している期間を、運転期間から除外できるようにする

除外できるのは、東日本大震災発生後の新規制基準制定による審査やその準備期間、裁判所による仮処分命令その他事業者が予見しがたい事由によって生じた運転停止期間などです。

4.30年を超える原発についての劣化評価を、法律に格上げする

今までも、「高経年化技術評価」として、30年を超えた原発について10年ごとに劣化評価に基づく審査を行っていました。これは、原子炉等規制法の下の規則により位置づけていました。これを、原子炉等規制法に格上げし、若干の変更を行います。たとえば、いままで「10年ごと」としていましたが、「10年を超えない期間ごと」としています。
政府は、これをあたかも新しい制度を盛り込むかのような説明をしており、メディアもそのように報じていますが、30年を超える原発の劣化評価は、従来も行ってきた制度であることに注意が必要です。

原発の運転期間については、こちらもご覧ください👉「Q&A 原発の運転期間の延長、ホントにいいの?

 

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