【パラワンの森を守ろう!】鉱山問題に取組むフィリピンNGOから署名協力のお願い

開発と人権

 パラワン島は、フィリピンにおける最後の生態系フロンティアとも呼ばれ、豊かな原生林が残されている場所です。パラワンの森林は生態系だけでなく、そこで暮らす多くのコミュニティに恩恵をもたらすとともに、重要な炭素吸収源にもなっています。しかし、鉱山開発、単一栽培プランテーション、計画性のないインフラ事業が、パラワンの森林を劣化させてきました。

 日本で暮らす私たちも、このパラワンでの森林破壊に無関係ではありません。パラワン島南部のリオツバ・ニッケル鉱山で採掘された鉱石は、1970年代から日本に輸出され、建築や厨房用品に必要なステンレス鋼に加工されてきました。また、同地で2005年から住友金属鉱山等が始めた製錬事業は、リチウムイオン電池の生産に欠かせない事業として継続されています。

 そして、上記のビデオでも紹介されているように、気候変動対策として推進されている電気自動車等に必要なリチウムイオン電池の需要が高まる中、いま、リオツバ・ニッケル鉱山の拡張計画が、豊かな森林とそれに依存して生活してきた先住民族、農家の皆さんの生活を更に脅かしています。

 今回、私たちとともにリオツバ・ニッケル鉱山の問題に取組んでいるパラワン州の環境法律支援センター(ELAC)、そしてELACが参加する現地NGOネットワーク「Save Palawan Movement」から、以下の署名運動(※)への協力を求める声が届きました。署名の内容は、ニッケル鉱山開発やプランテーション開発等から森林を守る行動をとるよう、フィリピン政府・自治体に求めるものです。私たちの生活にも深く関わるパラワン島の森林を守るため、皆さんからのソリダリティ(連帯)と署名のご協力をよろしくお願いします。(※現地では、紙面での署名運動が行われています。)

以下は、署名サイトのリンクと署名内容の和訳になります。

署名サイトと署名内容の和訳

▼署名サイト: https://www.bataris.org.ph/petitions/let-s-save-palawan-s-forests

宛先: フィリピン政府およびパラワン州の地方政府関係者

パラワンの森を守りましょう!

 パラワンの森林は、高い生物多様性を持つ豊かな生態系によって世界的に知られていますが、鉱山や単一栽培プランテーション(農林業用プランテーション)、計画性のないインフラ事業によって継続的な脅威に晒されています。これらの事業の結果、伐採される木々の本数は増加し、森林の破壊はさらに進んでいます。

 現在までに、ニッケル鉱山会社はパラワン州南部の7つの町で、鉱物探査や開発活動を推進することが許可されています。政府のデータに基づくと、探査、開発、利用行為に係る申請や発行済みの鉱物協定は、1万ヘクタール以上の原生林や二次林の地域に関わるものです。

 アブラヤシ、ココヤシ、ゴムなどの単一栽培プランテーションは、天然林の地域での拡大が許可され、約8,000ヘクタールに及んでいます。また、プランテーション会社がジョイントベンチャー契約や認可を発行され、約3,500ヘクタールの天然林で事業を行っています。費用便益分析や生物多様性評価が行われていないにもかかわらずです。科学的調査や、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC) を含む、コミュニティとの真の協議の結果も得ないまま、政府が天然林の農業用プランテーションへの転換を許可することは、不合理であると私たちは考えます。

 6車線の高速道路、大型ダム、埋め立てなどの計画性のないインフラ事業は、伐採される木の本数を増やし続け、森林を破壊する結果を招いています。

 また、パラワン島は気候変動の影響に対して非常に脆弱です。2021年12月、プエルトプリンセサ市の北部の村々とパラワン州の北部の町は、超大型台風オデット(国際名「ライ」)により未曾有の被害を受けました。この強力な台風により、多くの森林地帯や野生動物が壊滅的な被害を受けました。また、同州では、エルニーニョの影響による大雨で洪水も発生しています。

 パラワンは独自の特別法である「パラワンのための戦略的環境計画法」(共和国法第7611号)により、ゾーニング戦略を規定していますが、一部のコアゾーンや利用制限ゾーンは、大規模鉱山や単一栽培プランテーションの活動を許可するためにすでに転換されたり、転換が提案されたりしています。

 Save Palawan Movementは、パラワンの天然林を脅かしてきた、そして今もなお脅かし続けている採掘事業の継続を決して許してはならないと考えています。森林は先住民族にとって、食料、医療、衛生的な水、非木材林産物といったものの重要な供給源です。また、森林は多くの農地の灌漑を支える水源地でもあります。マングローブ林は海洋生物にとって豊かな生育地であり、野生生物の生息地であり、また高潮に対する重要な緩衝地帯となっています。

 パラワンの森林とそれによって提供される様々な生態系サービスが非常に大きな価値を持つことは、様々な研究によって明らかにされています。例えば、マンタリンガハン山景観保護区(MMPL)の総合経済価値評価(TEV)調査では、人びとにとっての生態系の価値(2,660億ペソ)は鉱物の価値(150億ペソ)をはるかに上回ることが強調されました。

 パラワン南部での20年以上にわたる鉱山開発によって、破壊された膨大な森林が修復されていないこと、ニッケルラテライトに浸水した農地が修復されていないこと、生物多様性や生計手段、健康への脅威が対処されていないことが証明されています。

なぜこれが重要なのか?

 パラワンは、緑豊かな原生林と豊かな生物多様性で知られる、私たちの唯一かつ最後の生態系フロンティアです。フィリピンの絶滅危惧種475種のうち、105種が生息しています。IUCN(国際自然保護連合)の分類に基づくと、105種は絶滅の危機に瀕しており、67種はフィリピン固有種です。また、パラワンの森林は生態系サービスを提供し、パラワンの多くのコミュニティに恩恵をもたらすとともに、重要な炭素吸収源として国全体にまでその恩恵が及んでいます。しかし、鉱山開発、単一栽培プランテーション、計画性のないインフラ事業は、長い間、パラワンの森林を劣化させてきました。

 パラワンの女性、若者、農民、漁民、先住民族、そして住民は再び手を取り合い、パラワンの森を守るため、パラワンの天然林を保護するための法律を支持し、パラワンの森の破壊を続ける許可、認可、法的措置の発行を止めるよう、国や地方政府に対して呼びかけます。

▼署名はこちらのサイトに、以下の情報をアルファベット・数字で書き込んでください。

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