【プレスリリース】ENEOSのミャンマーからの撤退は一定の前進 イェタグン・ガス田の責任ある形での廃坑を求める
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メコン・ウォッチ
国際環境NGO FoE Japan
Justice For Myanmar
ENEOSホールディングス(以下「ENEOS」)は5月2日、ミャンマーからの撤退を発表しました。
ENEOSのニュースリリースは、同社がミャンマーにおける「社会課題への対応を含めた現下の情勢」を検討したと述べましたが、人権・環境面での同社の責任については言及しませんでした。
メコン・ウォッチ、国際環境 NGO FoE Japan、Justice For Myanmar (JFM)は、ミャンマー国軍に資金を提供してきた事業からのENEOSの撤退を一定の前進とみなしながらも、この撤退が責任ある形で行なわれるかについて依然として懸念を持っています。
私たちは、ENEOSほかイェタグンの事業パートナーに対し、透明性を確保し、現地のコミュニティや市民社会のステークホルダーとの協議を行なった上で責任ある撤退を行なうよう強く求めます。
ENEOSと事業パートナーはミャンマーから撤退するにあたり、近い将来枯渇が予想されるこのガス田について、閉鎖に向けた適切な処置を取るべきです。そうすることで将来の収益がミャンマー国軍に流れず、人権や環境への継続的な影響も回避されることになります。
ミャンマー石油ガス公社(MOGE)は、非合法軍政の支配下にある限り、環境に配慮すれば莫大なコストのかかるガス田閉鎖に向けて適切な対応を取るとは考えられません。従って、これまで事業から収益を上げてきた日本の企業と政府はガス田の閉鎖に責任を持ち、環境・社会的悪影響に対して修復・救済策を取るべきです。
ENEOSは、日本政府と三菱商事株式会社とともにJXミャンマー石油開発株式会社を通じてイェタグン・ガス田に投資しています。
私たちは、ENEOSと三菱商事の株主および日本政府に対し、責任ある撤退とイェタグン・ガス田の廃坑が行なわれるようにするために積極的な役割を果たすよう求めます。
メコン・ウォッチ、国際環境 NGO FoE Japan、JFMなどのNGOの連合は2022年1月、ミャンマーで問題のある事業に投資を続けているENEOSと三菱商事を含む日本企業4社の主要株主125機関に要請書を送付しました。これらの株主は今こそエンゲージメントを行なうべきです。
日本政府は、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」の下で国として人権を保護する特に重要な役割を担っています。
ENEOSの撤退は、事業パートナーである三菱商事、ペトロナス、PTTEP各社による撤退発表に続くものです。
メコン・ウォッチの事務局長、木口由香は次のように述べました。「今回の発表では、撤退後に事業が継続されるのか、また、各社が廃坑についてどのような責任をとるのか、といった重要な情報が明らかにされていません。撤退する各社は、環境や人権に配慮した撤退を行うのはもちろんのこと、ミャンマーの人々と国際社会に対し説明責任を果たすべきです。」
JFMのスポークスパーソン、Yadanar Maungは次のように述べました。「ENEOSホールディングスは、ミャンマーの人びとや世界中の活動家からの継続的な圧力を受けてミャンマーのテロリスト軍政とのビジネスを終了させることにしました。ENEOSは今こそ、信頼できる形で撤退と廃坑を行なうことで人権・環境面の責任を果たすべきです。その際、ENEOSは国民統一政府(NUG)や、パイプライン周辺のコミュニティを含む主要なステークホルダーと密接に協議するべきです。ミャンマー軍政はテロ組織であり、ミャンマーの政府ではありません。ENEOSは声明などで軍政を『政府』であるかのように扱って軍政に正当性を与えるのを止めるべきです。」
連絡先
Yuka Kiguchi, Mekong Watch(メコン・ウォッチ 木口): info@mekongwatch.org
Yadanar Maung, Justice For Myanmar: media@justiceformyanmar.org