【抗議声明】日本がG7首脳宣言を骨抜きにすることは許されない ~インドネシア・バングラデシュへの新規石炭火力支援は合意違反

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
メコン・ウォッチ

日本政府はG7コーンウォール・サミットの首脳宣言を受けて石炭火力発電の輸出支援方針を6月17日に改訂し、「排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を2021年末までに終了する」(※1)と表明した。それにもかかわらず、日本政府がインドラマユ石炭火力発電事業(インドネシア)及びマタバリ石炭火力発電事業フェーズ2(バングラデシュ)の本体工事に対する国際協力機構(JICA)を通じた新規円借款をこの新方針の適用外としていることに、私たち市民団体は強く抗議する。

日本政府がG7首脳宣言の内容を反故にしている実態は、日本の市民団体が、上記2案件の方針適用可否を外務省に確認したところ判明した(※2)。外務省の回答によれば、2案件は既に実施に向けた手続を行っている案件であり、新規の案件ではないためG7首脳宣言の適用対象ではない、とのことだった。

しかし、外務省はこれまで、「実施に向けた手続を行っている」案件も「新規案件」と解釈し、更にそうした新規案件の停止を判断した事例もある。例えば、汚職問題でベトナムやインドネシア向け政府開発援助(ODA)を一時停止した際、新規案件の採択を停止した(※3)。現在、エンジニアリング・サービス借款の貸付を実行中であるインドラマユ、及び、協力準備調査を実施中であるマタバリ2について、「実施に向けた手続を行っている」ことが「新規」案件ではないとして新方針の適用対象外にすることは一貫性を欠いている。

また、2案件とも本体の建設工事の着工には至っておらず、本体借款の採択もなされていないことから、これらの支援を今後行わない、つまり、石炭火力発電への直接支援を2021年末までに終了することは十分に実現可能だ。

そもそも、G7首脳宣言では、国際的な公的資金を2050年ネットゼロ目標と整合させることにコミットしており、石炭火力発電の新設支援を行うことはこの合意に反している。上述のような偏った論理は国際社会では到底通用せず、日本が世界的な脱炭素の取組みを弱体化させているとして、今年のG20やCOP26をはじめとした国際的舞台で再び非難の的になることは必至だ。

したがって、日本政府はG7首脳宣言における「新規」支援の解釈を見直し、インドラマユ及びマタバリ2石炭火力発電の本体工事への円借款の採択を行わないことを表明するべきである。

脚注
※1:経協インフラ戦略会議「ポストコロナを見据えた新戦略の着実な推進に向けた取組方針」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keikyou/dai51/siryou3.pdf
※2:JACSESが6月14日に外務省に問い合わせたところ、6月25日に外務省から回答が寄せられた。
※3:外務省「政府開発援助(ODA)事業をめぐる不正腐敗の防止に向けた日・ベトナム両国の更なる取組」https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_001075.html
外務省「政府開発援助事業をめぐる不正腐敗の防止に向けた日・インドネシア両国の取組」https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_001695.html

本件に関するお問合せ先

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝
tanabe@jacses.org

国際環境NGO FoE Japan、波多江秀枝
hatae@foejapan.org

(※)インドネシア・西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電事業
200万kW(100万kW ×2基)の超々臨界圧石炭火力発電所を建設(275.4 haを収用)し、ジャワ-バリ系統管内への電力供給を目的とする。1号機(100万kW)に国際協力機構(JICA)が円借款を検討予定(インドネシア政府の正式要請待ち)。すでにJICAは2009年度に協力準備調査を実施し、基本設計等のためにエンジニアリング・サービス(E/S)借款契約(17億2,700 万円)を締結(2013年3月)。現在もE/S借款の支払いを続けている。E/S借款は「気候変動対策円借款」供与条件が適用されたが、2014年の第20回気候変動枠組条約締約国会議(COP20)では、同石炭火力事業を気候資金に含んだ日本政府の姿勢が問題視された。

 

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