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2004年
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愛知・豊田 サプライチェーン見学ツアー体験記
「やはり本や映像から学ぶのと、実際、現場の人と話すのとではインパクトが違います」
瀧本 佳子さん
私はNGO、NPOなどに属しているわけでもなく、10年ほど前から広く環境問題に興味を持ち、ただ自分の生活の中で出来る事をひそかに続けている主婦です。
●夏場は自宅のエアコンを一切つけず(国内の消費電力の記録更新に加担したくないため)、
●なるべく肉類やエビを食さず、旬の野菜と玄米中心の生活をし、
●マイカーを持たず、
●新聞の、原発、地球環境問題などの記事をスクラップしている
...といえば、イメージわかっていただけますでしょうか。そんな働く30代の子持ちの主婦です。
自分が仕事で多く紙を使うこともあり、以前より興味があった日本の森林の現状をほんの少しでも自分の目で見て、それに関わる現場の人々の声を自分の耳で聞いてみたいと思い、たまたまインターネットで見つけたFoE Japanのツアーに参加しました。
FoE Japanの事は聞いた事もなかったし、NGOの方々や森に関わる人と直接話をしたこともなく、ましてや森に入って間伐するなどは全くの初体験でした。
今回のツアーで一番印象に残ったのは、足助町木材協同組合の小径木加工工場の河合茂男社長さんの一言。「皆さん、何か小径木材が売れるアイデアはないですか?教えてください」には身につまされました。
よく「新エネルギーが地球を救う!」とか「地球が喜ぶ商品です!」とか、大衆のハートをつかむための大げさな、夢のような言葉を耳にしますが、購買意欲を落とさないためや、人々に本当はそんな程度じゃ到底問題が改善しない事を知らせて落胆させないための数々の嘘っぱちだと思います。
そんな「チョー・ポジティブコピー」も多少は必要かと思いますが、今はまるで敗戦前に”日本軍優勢”と国民が信じさせられていた頃みたいに感じます。
そうわかってるつもりでも、私もそんな夢を信じたくなる一般消費者の一人。今回は何か将来に繋がる、根本的で具体的な 知られざる解決策があるんじゃないかと期待しつつ、ツアーに参加していました。
しかしながら、河合社長さんの「役所くらいにしか売れないんです。どうしたらいいのかね。」という言葉が突き刺さり、そして今だ私を苦しめています。
善意や理想だけじゃ、資本主義社会ではご飯は食べられません。経済的に回していく仕組みづくり、それができてこそエゴイスティックな力に負けずに自ら立ち続けることができものと私は思います。
しかし中国など、海外から輸入される安くて径も太い木材や、木材チップを燃やすより安くて手軽な灯油、そんなものにどうやって対抗するのだろう? ものの価値と、金額との関係がおかしくなってしまっている現在、何をもってその弊害をとめられるのでしょう??
私: 「お箸にできないのですか?」
河合さん: 「小径木は節が多すぎて使い物にならない」
私: 「紙の原料には?」
河合さん: 「こんなハンパな少量の木材、どこも引き受けてくれない」
高い人件費と、整備の行き届いていない林道。そんなペナルティー付きの国産材、どうしても値が上がります。採算が合わないのです。薄っぺらなエコブームぐらいじゃ多くの消費者の財布のひもはゆるみません。そんな間にも、どんどん日本のあちこちで森がダメになっていくのですが・・・・。
結果的にこのツアーに参加した事は私にとっては正解でした。しかし、しばらく頭は混乱し、数人の一般人の力じゃどうにもならないような現状の重みに苦しめられ、今もそれは続いています。
「私に何か出来る事はないかしら?」
その答えを求めて参加したツアーでしたが、答えを見つけるどころか、かえってやり場の無いイライラが増したのです。でもこうやって、以前よりずっと日々考え、苦しむ事が実は大きな第一歩なのかもしれないと、やっと今になって思います。やはり、本や映像から学ぶのと、実際、現場の人と話すのとではインパクトが違います。私は頭でだけ理解したつもりになっていました。
一生の職業として、日本の森と関わろうとする方々や、森の現実から逃げず小径木材を利用する知恵をしぼり出し、少しでも現状を良くしようとしている方々に出会えたことは大きな財産です。そんな方々がとても眩しく見えました。
私も簡単に答えを出そうとか、つらくなって見切りを付けたりせず、日々の生活を送りつつも 森林問題を長〜〜く意識の隅に置き、せめて人に伝えたり 良いアイデアが降りてくるのを待ちます。あまりにも無力な自分に歯ぎしりしつつ・・・。
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