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ツアーレポート 岐阜・郡上八幡 林業体験ツアー

村落に住み、そこで生業(なりわい)を営む人たちと交流し、彼らの自然保護と伝統文化の継承への取り組みを学ぶツアーシリーズ。今回は8月20日〜22日、岐阜県の東白川村でFSC森林認証林、および施設の見学、郡上市で林業体験、そして愛知県の森林ボランティアの活動見学と、バラエティに富んだ3日間でした。

東白川村 / 郡上市明宝 / 愛知県足助町

 

東白川村森林組合の安江さん。

東白川村森林組合

> https://www.rd.mmtr.or.jp/~hinoki/

東白川村は岐阜県の東南部に位置し、東白川村森林組合は東白川の民有林の森林所有者による協同組合です。この地域は銘木「東濃ヒノキ」の産地として有名で、良質の木材が主に中京圏に供給されています。

この森林組合が近年注目されているのは、2003年の3月にFSC(森林管理協議会)森林認証を取得したことによります。

FSCは森林認証制度の一つで持続可能な状態で適切に管理された森林に対して認証を行なう制度です。日本での森林認証の導入は2000年に三重県の速見林業の取得を皮切りとして、現在15の団体・事業体が認証を取得しています。東白川村森林組合は日本で7番目の取得地となりました。

東白川村では、域内の製材工場、プレカット工場など、設備を充実させ、「東濃ヒノキ」ブランドにさらなる付加価値を付けて市場に提供しています。その効果は、特にプレカット工場に表れていました。工場は年内の予定が一杯でフル稼働しているそうです。林業不況を感じさせない状況です。

残念ながら、それら製材工場、プレカット工場はまだFSC認証を受けていないため、これらの工場で加工された木材にFSCラベルを貼ることはできませんが、今後、FSCなど認証材の市場での認知度が高まってくれば、認証取得も考えていく、とのことです。


これから間伐を予定している林分。さすがに林内が暗い。  FSC森林認証の原則5に相当する「山川海思いやりの森」  製材協同組合。東白川のFSC材はほとんどここで製材される。
製材工場内の粗引き機。皮を剥いた後、すぐに加工する。  プレカット工場。不況知らずのフル操業とのことです。  防腐剤が注入された加工済み材。部材の番号も全て自動印刷。

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林内での水野さんからのレクチャーに傾聴する参加者

郡上市明宝

> https://www.yamaiki.com/

21日は、郡上市明宝を本拠に活動するプロのきこり集団、NPO法人Woodman Workshopの方々に日本森林についてのレクチャーと森林施業の一つである間伐について指南していただきました。

Woodsman Workshopはきこり集団ですが森林整備のみならず、林業への就業者相談、森林体験、そして環境教育など、森林・林業を軸とした幅広い活動を行っています。

まず事務所にて参加者みな車座になってWoodsman Workshop代表の水野さんから日本森林・林業についての概要を説明していただきました。 様々な現場にて施業をされていることもあり、より現実的な問題点などが挙げられ、日本の森の抱える根深い問題を再認識しました。昨日訪問した東白川村のような攻めの林業に取組むことのできる体力のある林業地とは、違った意見・見解も多く、問題の全体像を把握するのにとても参考になりました。

次に、近くの雪害林を見学しました。岐阜県は降雪地であり、植林地に降り積もった雪の重みが生育している樹木が折れてしまうなどの害を与えることがあるそうで、そんな雪害を受けた木々は、立ち枯れや、半分にボキッと折れているものばかりでした。 雪害は場合によっては大規模に起こることもあり、その片付け・復旧作業は多大な困難と危険が伴うそうです。

頭の体操が終わると、いよいよ間伐体験です。プロさながらチェーンソーでの伐採ではありませんが、受け口、追い口といった理論的な伐採方法のレクチャーをしていただき、3班に分かれ手ノコにて2本ずつ伐採しました。 伐採後の作業がしやすいように伐倒方向にも配慮し、ロープをかけて皆で協力しての作業はなかなかの作業量です。

伐採して林内に光が射しこみ、明るさを実感すると「間伐」の重要性がより深く理解できました。

 
事務所でのレクチャーの様子。  雪害林見学の様子。 間伐体験の前のレクチャー。下層植生がほとんどないヒノキ林です。
根曲がりしたヒノキ。暗い林内です。

 計画班、ロープ張り班、伐採班に分かれて難しい伐倒にトライ。

 作業後にまとめを事務所にて。

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「森トピア」と名づけられた足助きこり塾の活動地

愛知県足助町

> https://page.freett.com/yamorikyou/index.html

最終日の22日は矢作川水系森林ボランティア協議会(矢森協)の丹羽さんに案内していただいて、矢森協メンバーの「とよたオイスカ山守の会」と「足助きこり塾」の活動地を見学しました。

近年、特に日本において森林管理を考える際、「流域」という管理単位を用いることが多くなってきました。それは、毎年のように起こる河川の氾濫などの災害と森林管理の遅れとの関係が指摘されていること、また、その水系に降った雨が集められ、河川となることから場所は違っても同じ名前の川の流域にいる住民として上下流域の意識の一体化が期待できるということなどが考えられます。

矢作川水系森林ボランティア協議会は矢作川水系で以前から森林ボランティア活動に従事してきた6団体からなる組織です。矢作川水系においても、森林管理の遅れにより荒れている山があるようで、矢森協はそのような森林に対して所有者と相談しながら管理を行っていくことを目的としている団体です。

はじめに訪問したのは「とよたオイスカ山守の会」。豊松小学校の学校林整備の最中のところにお邪魔して、見学および、昼食会を兼ねた活動についての説明もいただきました。

次に訪問したのが「足助きこり塾」の活動地。「森トピア」という名にふさわしいちょっとした環境教育施設のような憩いの場でした。理解のある山主さんの協力により、この地にて、間伐体験や木工教室など、様々なイベントを行なっているそうです。ここで伐採された間伐材はログウェル日本などの手に渡り、立派な木材として市場に出て行きます(注)

「足助きこり塾」のメンバーの方々がとても楽しそうに作業の説明をしてくださる姿がとても印象的でした。

: フェアウッドマガジン第6号「フェア・ウッドを進めるには日本の林産業の効率アップも重要」を参照ください


とよたオイスカ山守の会の河野さん

 説明に傾聴する参加者。

 昼食会&活動説明会の様子。右は豊田市職員の原田さん。
森林についての様々な意見交換もありました。  「森トピア」。ベンチもメンバーの手作りだそうです。  自然観察にはもってこいの湿地。
ブランコもありました。 きちんと伐採&搬出作業も行なわれています。  間伐された小径木も捨てられず、きちんと使われます。

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〜 おまけ 〜

歴史ある美しい城下町、岐阜県郡上市の夏の風物詩、郡上おどり。夜通し続く盆踊りには、大勢の観光客も訪れます。観光客と土地の人とが入り混じって、夜通し続くイベントに歓喜します。
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