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70年生のスダジイの林
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常緑樹で、日光が入りにくい
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下層植生があまり見られない
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落葉樹との混合林は明るかった
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人の暮らしと関わって循環していた自然=里山。
人々の暮らしの変化で、かつての里山はどう変わっていったのだろう?
4月24・25日に開催した里山体験ツアー。新緑の美しい南伊豆を訪れ、自然の中、里山の昔と今を知り、これからの里山について考えることができました。
里山の昔と今
東大の演習林「樹芸研究所」には、昔、薪炭林(=薪や炭に使うため伐採し、切り株から新しく芽が伸び、また使うため伐採、を繰り返す林)として利用されていた林があり、ここが今、どう変わったかを見学することができました。
薪炭林の多くを占めていた落葉樹は競争に負け、次第に常緑樹のスダジイが増えています。今回、見学したシイ林は、70年生のシイ林と50年生のシイと落葉樹の混合林でしたが、シイだけの林は地面に日が届かないため、下層には緑が少ない様子でした。
南伊豆の地域では、自然に植生が変化すると最終的にはスダジイの林になるそうです。
里山ってなんだろう?
常緑のスダジイが他の植物との競争に勝ったように、自然の状態で、植生は変化していくものです。
「里山」は、人の手が入っていたために、植生の変化が進まなかった自然、ともいえるのです。
伐採して育てる周期が、常に林を若返らせ、明るい林を維持していました。地面には日が当たり、下層植生が豊かになる。それが結果的に、豊かな土壌をつくる、豊かな水を貯える、という働きを生み出していました。
これからの里山を考える
むかしは、人は自然を利用して暮らすことができ、自然は人に利用されることでいい状態を保っていました。日本の里山は、本当にうまい具合に、人と自然がお互いに、いい影響を与えあっていたことがわかります。
今、その関わりは薄れ、自然に植生の変化が進んでいますが、このままだと、昔のような、人が住みやすい自然じゃなくなっていくのかな、ということを感じました。
そんなことを考えると、生活のなか、身のまわりに自然のものを取り入れたり、自然を利用することが、これからの里山の循環を生み出すのに大切なことだと思いました。
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