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日本の森が危ない!間伐材を使ってください。

長良川の源流へ 岐阜・森林ツアー報告

森づくりに取り組んでいる人たちの声を聞き、日本の森林・林業を考えようと、今年は各地の森を訪れるツアーを企画、開催しています。8月21〜24日、岐阜県・郡上八幡を訪れました。城下町の風情が残る歴史ある街でもあり、観光コースと林業体験コースの2つを組み合わせたツアーとなりました。

現地では、林業で自立できる市民団体をめざし活動中の「NPO法人 Woodsman Workshop」水野さんのご協力で、林業地の見学や間伐体験、岐阜大演習林の見学、地元の森林組合・林政担当者への訪問など、林業の現状を目の当たりにし、森と向き合う人たちの思いにふれる、貴重な体験ができました。

林業地・雪害地見学 / 岐阜大演習林 / 林業体験 / 意見交換会 / 郡上おどり

 


林業地・雪害地見学

水野さんに案内していただき、林業地・雪害地を見学しました。
郡上郡では昨年の冬に豪雪があり、多くの雪害が発生したそうです。

右の写真は、林道から見た雪害地です。間伐不足のため、十分な光を受けることができず貧弱に育った木が、雪の重みに耐え切れず折れています。
対照的に、林道側の木(手前の列)は光が当たり、雪の重みに耐えられるほどの強さを持っているため、雪害をまぬがれています。

間伐不足は、全国で大きな問題となっています。今回、郡上郡とその近辺を車で移動する際、間伐の行き届いている人工林は、ほとんど目にすることができませんでした。

補助金を使って間伐した材を市場に出しても赤字になる現実、補助金制度と現場の問題との乖離、山主の山に対する意識の変化、山村と都会との関係・・・間伐不足の森林からは、林業が抱えるあらゆる問題が見えてきました。

 
雪の重みで木がしなり、幾重にも折れ重なって倒れている。
雪の重みでしなった木は、多方向から力がかかるため、伐採した時、どちらにはね返るか予想がつかない。
雪害木の処理は、死亡事故が起こるほどに危険な作業だそうだ。
 人工林の施業と間伐の必要性につ 
  いて、水野さんから説明を受けた。
 説明に聞き入る参加者。
間伐をした区域。林内には明るい光がさし、木の幹も太く美しく見える。
 間伐をほとんどしていない区域。
左の写真と比べ、林内はとても暗い。木の根は半分むき出したような状態。
 間伐をした区域としていない区域の
 境界がはっきりと分かる。
 

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岐阜大演習林

岐阜大学農学部付属演習林は、益田郡萩原町にあり、「位山(くらいやま)」と呼ばれる地域にあります。標高は1000m近くもあり、スギ・ヒノキの人工林や ミズナラ・ブナ・アスナロなどの天然林があるそうです。

人工林でも演習林の中で最も古いものは、安政年間に植栽されたスギであるそうで、実際に見ると若い林分とは大きさが全く違って、圧倒的な迫力でした。

演習林の一部は散策道になっていて、そこを伊藤先生の説明を受けながら散策しました。広葉樹のブナ林では、くねくねと曲がる枝や葉のつき方、足元に散らばる落ち葉など、それまで見て来た真直ぐなスギ・ヒノキの森とは違いを非常に大きく感じました。

また、演習林から尾根の向こう側の国有林はカラマツ林となっていて、両者の森の緑の違いや形の違いがコントラストになっており、非常に面白く感じました。

 
     

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林業体験

水野さんの指導のもと、ヒノキの間伐作業を体験し、約20本の木を間伐しました。

木を切り倒す方向を考えて、鋸で木の両側に切り込みを入れ、倒します。

檜の枝は、堅く折れにくいので、枝が他の木に掛かってしまうと上手く倒れません。ワイヤーを使って木を少しずつ回し、引っかかった枝を外して倒していきます。

今回教わったのは、「鋸谷(おがや)式」という間伐法でした。
1本の木を支点に、4mの釣竿をぐるっと回し、円の中の木の数と木の太さがわかると、何本残すという数が出ます。あとは、細い木、曲がっている木、間隔も見ながら伐る木を選びます。

間伐の方法には、もう一つ「巻き枯らし」という方法があります。巻き枯らしは、木が吸い上げる水の通り道を断ち、自然に枯らすという方法です。木の幹一周、幅10センチ程度、木の皮を剥がします。10年程度で自然に枯れていくそうです。

 
釣竿の支点・基準となる木を決め、その枝に触れている木の本数を確認する。
4mの釣竿を使う鋸谷式。林業現場よりも森林ボランティア活動での普及が目立つ。
切り込みを入れるのに苦戦。倒したい方向に倒せるか、が決まってしまう難しい作業だ。
まわりの木に引っかかってしまった。こうやって木を回して倒す。
「巻き枯らし」も体験。こんなふうに、
外側の形成層を切断する。
樹皮をはがすのは、けっこう楽しいのだが、これはやりすぎ?
緊張したチェーンソーの体験。 間伐したら、林の中が明るくなった。 上を見上げると、光の入る隙間ができていた。
 

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意見交換会

意見交換会では、地元の森林組合・林政担当者など、森林・林業に携わる方に集まっていただき、林業の置かれている現状や取り組みについて、また、現在制度づくりが進められている森林認証制度について、お話を伺いました。

■メモ1 『岐阜県の森林・林業の実態』

@森林の概要
岐阜県は県土面積の82%を森林が占める日本屈指の森林県。うち、人工林は45%、ヒノキ林とスギ林がおよそ3:2の割合。

A森林・林業の現状
木材の需要、生産量とも年々減り、昭和45年の3分の1にまで落ち込んでいる。

山の管理は今では、補助金なしでは採算が合わず、できない状況だが、その補助金をもらうには、5ヵ年施行計画の作成が必要。しかし今、山に行かなくなって、自分の山を知らないため、手を放してしまう山林所有者が多くなっている。

また、施業計画については、森林簿という過去のデータをもとに作成するのだが、この森林簿が実はすごくおおまかなもので、3〜4割しかあっていないのでは、とも言われている。

■メモ2 『森林認証制度について』

@県産材認証の取り組み
住宅や大型公共施設を建てる場合、県産材を使うと助成が受けられるなど、県産材の優遇制度がある。

A林業関係者の認識
森林認証制度は、森林所有者には浸透していない。
所有者にとっては、もう手を放しているから関心がない、これが現場の実情のよう。

B認証制度導入にあたっての条件・要望
岐阜県では、東白川村でFSCという国際的な認証を取得。
県有林でも
認証をとったらどうか、という話も一部であるが、認証取得の費用が高いこと、材を出しても消費者がいないとまわらないことなどの課題がある。
導入には、製材や流通など、業界が一体となり、管理された森の木材を使うしくみづくりが必要。

C認証制度によって期待される効果は?
都市住民に対しては、森林に関する知識の啓発ができ、所有者には、管理し続けなければいけないことを再認識できる、という効果が期待される。

 


郡上おどり

夜、郡上八幡の街中を探索に行きました。
ライトアップされた八幡城と大きな提灯が印象的な、美しい街並みでした。

そして町の中心では、『郡上おどり』という盆踊りが行われていました。
地元の人も観光客も関係なく、みんなが一体になって踊る楽しい盆踊りでした。私たちも、2・3曲踊ってきました。

 
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