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ツアーレポート 森づくりから家づくりまで『宮城・志津川の森』
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日本各地の森を訪れ、森林・林業の現状を知る林業視察ツアー。11月8〜9日・1泊2日の日程で、宮城県を訪れました。志津川町の林業家・佐藤久一郎さんの案内で、佐藤さんの山林をはじめ、丸太の加工場、製材所、地域材を使ったモデル住宅など、森づくりから家づくりまでの現場を見てまわりました。
宮城ブランド材住宅 / 太陽熱で木材乾燥 / 林業地見学 / 製材所見学 / そのほか
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宮城ブランド材住宅 見学
仙台市泉区に建てられた、地元・宮城の木をふんだんに使った住宅3棟を見学しました。
“宮城の杉を使ってほしい”という思いから、7つの林家・工務店で運営している「宮城ブランド材開発協同組合」と、地元の大工・工務店など職人さんから成る「仙台家づくり職人の会」によってできたモデル住宅です。(さすがは伊達正宗のゆかりの地、地元産のスギを「杉政宗」と名付けていました。)
これらの住宅では、水まわりなどに特殊な木材が使われていました。乾燥後、熱と圧力による特殊加工を施して作った人工埋もれ木の「エステックウッド」。木の風合いを持たせつつ、伸縮が起こりにくい、腐りにくい、化学物質も一切使っていない、などの特徴をもつそうです。
※埋もれ木・・・半化石化した木材。
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「杉正宗」をふんだんに使用した住宅を見学する参加メンバー。
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台所には水に強い「エステックウッドが使われていた。
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エステックウッドと無垢材のサンプル。コストが高いので、場所を選んで使用すると良い。
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エステックウッドのおフロ!ただ残念ながらスギではなく米ヒバを使用。
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「杉正宗」をふんだんに使った和室。
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和室で、協同組合の方たちと意見交換。 合計で3000haの山林を所有する林家兼工務店集団。
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OMソーラーの木材乾燥について
説明する石田さん
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太陽熱で木材乾燥
塩釜市では、地元の伊藤工務店が設置した「太陽熱木材乾燥庫」を見に行きました。ここではOMソーラーを手がける建築家・石田信男さんが案内してくれました。
OMソーラーは、屋根で太陽の熱を集め、その下の空気層の温められた空気を、ダクトで室内に送るしくみです。このしくみを利用して、倉庫の一部を改築し、木材乾燥室としたものです。ちなみに温風を送るファン(200W)もソーラー発電でまかなうとのこと。
室内は、ビニールで仕切ることができ、樹種や太さの違う木材でも、部屋ごとに温度を調節することができ(50℃〜常温)、5〜6週間で乾燥度15%以下にまでできるそうです。
実際に木材を乾燥する際には、最初に24時間110℃の人工乾燥を行ってからこの太陽熱乾燥室を使用すると、木材のリグニンが溶けて、われやねじれを防ぐことが出来るということです。
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石田さんが設計した伊藤工務店のオフィスもOMソーラー仕様。デザインもとても素敵だった。 |
OMソーラーの仕組みを勉強。ロフトに設置されていたダクト。太陽熱で温められた空気を室内へ。 |
OMソーラーを使った木材乾燥室の入口。フォークリフトで持ってきて、ここでトロッコに載せる。
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乾燥室の中。トロッコ1台に家1軒分の木材を載せられるそうだ。
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ここから温かい空気が室内に送りこまれる。 |
壁は、外側の透明板と中の黒い鉄板の間に空気の層がある。トタン板を使ったとても簡便な保温構造。 |
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佐藤さんの山林見学
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林業地見学
志津川の林業家・佐藤久一郎さんの案内で、林業地を見学しました。「みやぎ住まいづくりの会」と「杜の家づくりネットワーク」のメンバーと合流しての見学会となりました。
佐藤さんの山林では、スギ・ヒノキ・マツの人工林で、若齢林(10〜20年)、壮齢林(40〜50年)、老齢林(90〜130年)を見ることができました。良質の大径木生産を目標にした長伐期施業で、下刈り、除伐、間伐、枝打ちを計画的に行なっており、とても美しく豊かな人工林でした。
”スギ林は暗くうっそうとしている”というイメージを完全に覆すように、林内を歩くと杉の木だけでなく、ホオノキや桜など広葉樹の中低木を残し、その下に潅木類、その下にシダ類、その下にコケ類というように、多段層の豊かな生態系の森になっていました。このような森になると、スギの木も良質のものが作れるそうです。
もう一つの特徴は、伐採したあと2ヵ月半ほど葉がらし乾燥してから玉切りし、製材所でさらに天日乾燥させるということ。なるべく秋に伐採するようにしており、材として出荷できるのが翌年5月頃になるということで、じっくり時間をかけているので、大手ハウスメーカーのような短期間での家造りには向きませんが、風合い・材質とも非常に良質な材木を作ることができます。
志津川は小さな林業地。面積が小さいため、全国ブランドにはならないそうですが、目の詰まった、風合いのよい材ができます。
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50年生ヒノキ林。よく手入れがされ、地面まで光が届く。 |
55年生のスギ林。こちらも地面にシダ類などが覆う。
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山を見て家づくりをしてもらおうと、施主さんに来てもらい、「大黒柱はこれ」と選んで伐採してもらう。 |
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間伐がされていない隣のスギ林は、真っ暗になっており、ひと目で違いがわかった。 |
130〜90年生の杉の美林。樹高は4-50mに達する。 |
山の会高橋さんの山林。きれいに間伐された85年生の杉林。これまでに5回間伐。 |
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製材所見学
丸平木材様の協力により、丸太の加工場と製材所を見学させていただきました。丸平木材は従業員が20人、年間5000m3の生産量です。扱っている木材はスギが7割、ヒノキ・さわらが1-1.5割、残りが外材とのこと。仕入れは原木市場を通さずに森林組合から直接買うか、林家と直接契約しているそうです。
山から運び出された丸太は、皮をむきます(皮のついた丸太のままだと乾かないので)。板状などに挽いて乾燥させ、製材所では、様々な大きさに加工されます。
材1本1本の性質を考えながら、どの部材に使用するかを決めていくそうです。
最終的に余った部分はチップにして製紙工場に売っているそうです。
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りんごの皮むきのように、ぐるぐるぐるとむく。 |
板状に挽いた材が積まれていた。天然乾燥中。 |
サーモンピンクのような色。風合いのよい志津川の材。 |
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これが人工乾燥機。 |
丸平製材所の中。 |
いろんな厚みに製材できる。 |
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志津川の森林組合で懇談会
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そのほか
2日間の行程では、このほかにも色々なものを見て来ました。また、現地の「志津川山の会」のみなさんとの交歓会や、「杜の家づくりネットワーク」「みやぎ住まいづくりの会」のみなさんとの懇談会、そして訪問した先々でいろんな方から現場の声を聞くことができました。
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「クラフトショップ もくもくハウス」に立ち寄る。
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荒沢神社の境内にある樹齢800年の「太郎坊の杉」。
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廃校になった小学校を改装した宿「さんさん館」に宿泊。
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荒島という小さな島を、佐藤さんに案内していただいた。なんとこの島も佐藤さんが所有。
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この島で、北限のタブの天然林をみることができた。
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タブの木々を下から見上げたところ。
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