プレスリリース・意見書
ALPS処理水、トリチウム以外核種の残留~「説明・公聴会」の前提は崩れた
ALPS処理水にヨウ素129、ストロンチウム90など、トリチウム以外の核種が残留していることがメディアの報道(注)により明らかになりました。
FoE Japanおよび原子力規制を監視する市民の会が東京電力の公開データから確認したところ、ヨウ素129、ストロンチウム90、ルテニウム106に関して、以下のように告示濃度超えが確認されました。
・ヨウ素129…(告示濃度限度:9 Bq/L)2015年4~9月では、既設ALPSで最大121Bq/Lを観測しており、増設ALPSでも基準値超えが続出。2017年4月~では、既設ALPSで最大27.83Bq/L、増設ALPSで最大62.24Bq/Lを観測 (東電のデータをもとに、FoE Japanおよび原子力規制を監視する市民の会が確認) |
東京電力に確認したところ、いずれも原因は、ALPSの稼働率を上げるため吸着材の交換頻度を意図的に下げたためとのことです。 (2015年は、敷地境界線の空間線量率を下げるため、2017年以降は、フランジ型タンクから溶接型に移すため、とのことでした。)
しかし、今月開催される説明・公聴会の資料では、ヨウ素129など、トリチウム以外の核種については、告示濃度限度以下となっています。
これは、2016年11月11日の第1回「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」の資料が流用されたもので、トリチウム以外の核種が告示濃度以下となっている2014年9月20-28日のデータをつかっています。
なぜ、2015年および2017年の告知濃度限度超えしているデータを避け、問題がないデータを選んだのでしょうか?
いずれにしても、同小委員会においては、トリチウム以外の核種については、検討されていません。
以上のことから、原子力規制を監視する市民の会およびFoE Japanの2団体は、「説明・公聴会の前提が崩れた」とし、小委員会での検討をやり直すことを求める要請書を、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会事務局宛てに提出しました。要請書は、以下からご覧ください。
注)共同通信「基準値超の放射性物質検出/トリチウム以外、長寿命も」2018年8月19日配信など