再生可能エネルギーの持続可能性に関するFoE Japanの見解
世界における再生可能エネルギーの成長はめざましく、風力と太陽光の累積設備容量は、それぞれ原発を抜き、急上昇を続けています。
国内でも、FIT制度により再生可能エネルギーへの投資が進み、東電福島第一原発事故の悲惨な事故を契機とした脱原発への願いから、再エネへの期待が高まっています。
FoE Japanは、脱原発、気候変動の防止の観点から、また地域分散型で市民参加が可能であることから、再エネは重要なエネルギー源だと考えています。
一方で、各地で大規模ソーラー発電による乱開発が生じていること、バイオマス発電の原料として、木材チップ、パーム油、パームヤシ殻が海外から輸入され、輸入先で森林破壊や人権侵害を引き起こす可能性があること、国内においても放射能汚染された木材の燃焼によって、放射性物質の再拡散を引き起こす可能性があることを危惧しています。
これらの観点から、FoE Japanとして、再生可能エネルギーの持続可能性に関する見解をまとめました。
1. エネルギー需要の削減を大前提とし、電力・熱利用のバランスの最適化が必要である。そのための社会システムの変革が必要である。
2. 再生可能エネルギーの形態としては、以下の方向性が望ましい。
1) 燃料等が地産地消であること
2) 地域住民が主体的に、計画・経営に参加できること
3) 社会的・経済的な便益が地域に分配される仕組みであること
4) 小規模で分散型であること
3. 事業計画・開発に当たっては以下が確認されていることが必要である。
1) 森林や泥炭地などの転換を伴っていないこと。大規模で深刻な気候・生態系の攪乱を伴っていないこと
2) 食糧生産のための資源(農地、水を含む)を圧迫していないこと
3) 地域住民の権利(土地、水、居住、食料、文化、安全、健康などへの権利)や労働者の権利を侵害していないこと
4) 環境・社会影響に関し、ライフサイクルにわたって、調査、評価、予測、対策が行われていること。計画段階で影響を受ける人々に対してこれらの情報が公開された上で協議が行われ、事前の合意が得られていること
5) 燃焼などに伴い放射性物質の拡散を伴わないこと
4. 事業実施に当たっては以下が確認されていることが必要である。
1) 排水、騒音、農薬、廃棄物など、環境管理が適切に行われていること
2) 情報開示が適切に行われていること