原発輸出
ベトナムとの原子力協定
■ベトナムの原子力政策
ベトナムはエネルギーの大半を石炭火力などの化石燃料と大型水力から得ていますが、原子力の導入を検討しています1。
ベトナムが計画しているニントュアン省に建設される原子力発電所2基中一基については、2010年に日本が協力に合意し、その後2011年に日ベトナム原子力協定が調印されました。日本政府は、国税合計25億円を費やして日本原電に実施可能性調査を委託。このうち5億円は復興予算が流用されました2。
また、日本とのパートナーシップのもとですすめられているニントュアン第二原子力発電所以外に、ロシアとともに第一発電所の建設計画が進められています。ですが、2016年現在、原発の建設に関しては何度も延期がされてるのが実情です。
■問題点
- ベトナムの民主主義
ベトナムでは、原発に懐疑的な知識人が原発への反対が理由で弾圧を受けたり3、住民に十分な情報が行き渡っていないなどの問題点が明らかになっています。表現の自由が脅かされたり、透明性のない状況では、住民への安全は担保されませんし、第三者の監視の目も働きません。
- 立地予定のニントュアン省タイアン村周辺には豊かな自然が
ベトナム初の原発建設が予定されているニントュアン省には、豊かな自然が広がっています。また立地サイトには自然保護区であるニンチュア国立公園が隣接しています。ウミガメの産卵地にもなっており、エコツーリズムも盛んだそうです。ひとたび事故がおきれば、自然への影響は甚大ですし、近隣で漁業を営む村民にとっては、温排水等による被害も懸念されます。
- 住民の理解や合意のないまま進められる計画
住民らは「国家事業なので仕方ない」と言いますが、調査では移転による生活の変化に対する不安の声も沢山聞こえてきました。移転計画についても明らかになっていません。
- 原子力発電を取り巻く倫理的諸問題
そもそも原子力発電には非倫理性が内在されているといえます。原子力発電所の事故は、福島やチェルノブイリの甚大な被害をみても明らかなように、受け入れられるリスクではありません。ひとたび事故が起これば、周辺地域は居住不能となり、食料安全保障や健康に多大な影響を及ぼします。また放射能汚染は人類の技術によってコントロールできるものではなく、放射性廃棄物は長い年月管理されなくてはならりません。
1. https://www.foejapan.org/energy/news/120625.html
2. https://www.foejapan.org/energy/news/pdf/130823_1.pdf
3. https://www.foejapan.org/energy/action/120603.html
関連情報
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>ベトナム原発建設予定地を調査レポート(2011.11.21)
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