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インドとの原子力協定
[updated 2015.11.16]
インドの核施設地図 (出典:インドの原子力施設(図1) 2015/11/16閲覧) |
インドは人口12億人、面積は世界第7位の約330万平方キロの大きな国。「世界最大の民主主義国家」と呼ばれたりもするインドと日本の二国間原子力協定締結交渉が2010年に始まりました。ですが、インドは核不拡散防止条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)に加盟せず、核を保有する国。核廃絶を掲げる日本がインドと原子力協定を結ぶ姿勢には矛盾しているとの批判の声もあります。その他にもたくさんの問題を抱える日インド原子力協定とインドの原発事情についてまとめました。
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問題点①日本の非核政策を脅かす
長年、日本は唯一の戦争被爆国であるということもあり、核廃絶活動に取り組んできました。原子力協定を結ぶ際も、核不拡散の観点から、NPT非加盟国とは締結をしてきませんでした。ですが、インドはNPTにもCTBT(包括的核実験禁止条約)にも加盟せず、核兵器を開発しています。インドとの原子力協定締結は、インドの核保有を認めてしまうことともなり、日本の核廃絶を目指す姿勢とは矛盾します。
問題点②インドの原子力発電の安全性
インドには長い核技術研究の歴史があり、インド全国に核施設がありますが、多数の事故が報告されています。健康被害も深刻で、インド最古の原発が立地するタラプールでは、多くの人が苦しんでいますが、政府は補償措置をとっていません。ウラン鉱山での健康被害も報告されています。2012年にはラジャスタン原発で2度も放射能漏れ事故があり、IAEAが安全性を向上させるよういくつかの点を勧告しています1。
問題点③3インドの民主主義と市民による反核運動
長年、インドでは根強い反核と脱原発の市民活動が行われて来ました。福島の原子力事故もあり、安全性への懸念、健康被害、原発立地における強制的な土地収用、文化的な喪失を理由に多くの市民が反対活動を展開しています。しかし、長年反対運動が続いて来たクダンクラムでは、 福島原発事故以降に反対運動が再加熱した際、反対運動の中心の一つであった村には戒厳令が敷かれ、ハンストや不服従行動に参加した100人以上の村人が逮捕される事態となっています。原発の社会環境影響を評価する上で地域住民の方の意見はとても重要です。
インドの脱原発活動を行うリーダーたちと (2015.11.4撮影) |
そもそも原子力発電には非倫理性が内在されているといえます。原子力発電所の事故は、福島やチェルノブイリの甚大な被害をみても明らかなように、受け入れられるリスクではありませ\んひとたび事故が起これば、周辺地域は居住不能となり、食料安全保障や健康に多大な影響を及ぼします。また放射能汚染は人類の技術によってコントロールできるものではなく、放射性廃棄物は長い年月管理されなくてはならりません。
注釈
1. IAEA Leads Operational Safety Mission to Rajasthan Atomic Power Station 3 and 4
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