石炭火力の問題点

化石燃料

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日本で今石炭火力発電の新規建設計画が問題になっている、と聞いて不思議に思う方も多いかもしれません。石炭火力発電がなぜ今問題になっていて、何が問題なのか、いっしょに見ていきましょう。

電力自由化の負の側面?石炭火力の新規計画ラッシュ!

震災後、日本のエネルギーをめぐる状況は大きく変わりました。原子力発電の再稼働は見通せなくなり、電力システム改革が議論されました。
この流れの中で電力会社各社や大手の新電力は、競争力を確保するために、安く電気をつくれる発電できる自社の電源を求めるようになります。そこで注目されたのが、天然ガスや石油に比べて安価な石炭火力発電です。
2016 年から始まった電力小売全面自由化では、多くの新規電力会社が参入し激しい競争が起こるようになりました。各社とも「少しでも安く」販売しようとし、そのために安価な電源が必要となったのです。
2012 年以降、燃料費が安いとされる石炭火力発電の新規建設計画が相次ぎました。 2017 年10月現在、 45 基(うち4基はすでに稼働)、原発約 20 基分(約 2000 万 kW )にも相当する計画が日本各地にひしめいています。
これほど多くの新規建設計画があるのは、先進国の中では日本だけです。

*Japan Beyond Coal:https://beyond-coal.jp/

石炭火力発電、何が問題?

1.大気汚染、健康影響
石炭を燃やせば、 CO2 だけでなく SOx (硫黄酸化物)や NOx (窒素酸化物)、 PM2. 5 や水銀など有害な大気汚染物質が排出され、健康影響が懸念されます。「クリーンな」と言われますが、大気汚染物質の排出が以前の石炭火力よりは少ないというだけで、どんなに性能がいい装置を使っても大気汚染物質は出てしまいます。
さらに小規模の発電所の場合は、環境アセスメントもなく、排出規制基準も甘いものとなっています。
建設予定地は住宅地や人口密集地が近い場合が多く、広範囲の住民の健康や生活、周囲の干潟等、自然環境への影響も懸念されます。

 LNG(天然ガス)石炭火力太陽光や風力
二酸化硫黄(SO2)なし70m3N/hなし
窒素酸化物 (NOx)28m3N/h50m3N/hなし
粉じんなし20kg/hなし
なし石炭の 1 割29 万トン/年なし
電源別大気汚染物質の比較(100万kWh あたり)

*気候ネットワーク作成(LNGは現在環境アセスメント中の五井火力発電所更新計画の準備書を、石炭は千葉袖ヶ浦火力発電計画の方法書の記載をもとに算定)

2.すでに電気は足りている
現在計画されている石炭火力発電の設備容量の合計は約 2000 万 kW 、原発 20 基分相当です。しかも、稼働予定は 2020 ~ 2025 年頃のものが多数。
今すでに省エネが進みつつあり、これからさらに省エネ、再生可能エネルギーを進めていくというときに、これほどの新規電源が必要なのでしょうか?
建設しても十分に使われず「座礁資産」になる恐れもあり、事業者の経営にもリスクです。世界の投資家はすでに「ダイベストメント」(化石燃料からの投資撤退)に動いています。

3.石炭火力推進は原発推進にもつながる!?
2016 年 11 月に発行し日本も批准したパリ協定では、世界の気温上昇を 2100 年までに 2 ℃未満、できるだけ 1.5 ℃以下を目指し抑えていくことが合意されています。
石炭火力は、 CO2 排出係数が高い電源です。仮に日本で 40 基以上の石炭火力発電所がこれから建設されるとすれば、国際的にも先進国としての責任を放棄することとなってしまいます。
電力業界は、「非化石電源」を活用し、発電 1kWh あたりの温室効果ガスの排出を天然ガスレベルに抑えていくとしていますが、この「非化石電源」には原子力が含まれます。この大義名分により、原子力の再稼働や 40 年超の運転も推進されようとしているのです。日本では石炭火力発電の新規建設と原子力とがセットで推進されるという構図が鮮明で、パリ協定を受けて動く世界の流れとはまったく逆行しています。
途上国でも日本でも気候変動影響は深刻ですが、日本は石炭火力を進めながら「原発で温暖化対策」と言うのでしょうか。

4.石炭は輸入燃料。採掘に関する環境破壊も問題です。
日本で使われる石炭のほとんどが、オーストラリアやインドネシアから輸入されたものです。石炭は採掘時にも様々な問題を起こしています。火災や爆発事故などがたびたび起こり、劣悪な労働環境の炭鉱も数多くあります。炭鉱事業が壊滅的な環境破壊をもたらすケースもあります。

私たちにできることがあります

1)見学会や学習会に参加する 現地や東京での勉強会を随時企画しています。
百聞は一見に如かず!ぜひご参加ください。

2)環境アセスメントの意見書を提出する
環境アセスメントに対する意見書はだれでも出すことができます。意見の数や内容は記録として残されます。
意見募集が始まったら、「石炭火力を考える東京湾の会」や FoE Japan からも呼びかけます。
事業者が開催する説明会に参加することも可能です。こちらも機会があれば呼びかけます。

3)まわりの人にも伝える
全国の、そして東京湾周辺の石炭火力建設計画は、まだまだ知られていません。
このウェブページやリーフレットを活用して、ぜひみなさんも周りの方に伝えてください。

4)安さだけでない選択を!
安さだけで電力会社を選ぶと、結局は石炭火力発電や原発につながってしまいます。
再生可能エネルギーや地域を重視する電力会社を選びましょう。
パワーシフト・キャンペーン  https://power-shift.org/

●参考
Don’t go back to the 石炭  https://sekitan.jp/
石炭火力発電所新設マップ  https://sekitan.jp/plant-map/
No Coal Go Green – JBIC の石炭発電融資に NO! https://sekitan.jp/jbic/

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