(仮称)地球を守れ 横須賀ゼロカーボン推進条例についてのパブリックコメント

気候変動

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横須賀市では、2021年7月9日〜7月31日にかけ、「脱炭素に関する条例の制定について」のパブリックコメントを募集しています。
*横須賀市の脱炭素条例案へのパブリックコメントの詳細はこちら:
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/1210/cof/380/index.html

★なぜ横須賀市脱炭素条例へのパブコメが大事なの?

横須賀では2019年以降、石炭火力発電所の新設が進んでいます。 このまま工事が進んで2023年に稼働開始となった場合、726万トンCO2/年が排出されます。
しかし、横須賀市は「新しい石炭火力から排出されるCO2は横須賀市の排出に含めない」としており、その理由は曖昧なままです。
このような不明確な部分があるままで、市民は横須賀市の脱炭素計画を応援・参加できるのでしょうか?

FoE Japanでは、上記観点から、下記の通りパブリックコメントを提出しました。


本パブリックコメント案件に利害関係を有する理由

気候変動は地球上の全ての市民に関わる問題であり、本条例案の前文でも記載されているように、脱炭素社会への移行は世界が一丸となって取り組むべき課題であるため。

条例案への意見

条例前文

● 第4段落「…令和3年1月には、2050 年までに二酸化炭素排出量実質ゼロとすることを目指す姿勢を示しました。」について、パリ協定について言及した前段落との繋がりを示した方がより市民の理解を得られるものと考える。したがって、「…令和3年1月には、パリ協定の1.5度目標達成のために、2050 年までに二酸化炭素排出量実質ゼロとすることを目指す姿勢を示しました。」とすることを提案する。

● 第5段落の冒頭に「気候変動の影響の更なる悪化を防ぐためには、2030年までの対策が人類の未来を決定づけます。」の一文を追加することを提案する。条文の前文は、条例の意義を宣言するものである。気候変動の影響は日々深刻化しており、更なる被害を防ぐためには、できるだけ早い段階での脱炭素化及び中期目標が必要である。また、2030年までの対策が人類の未来を決定づけると言われている。危機の意識や早急な対応の必要性を広く市民や事業者に共有するためにも、2030年までの対策の重要性を明示する必要がある。

条文について

● 条文全体について、各条文の随所に「温室効果ガスの排出の抑制等」という表現が見られる。今年の温対法の改正で「抑制」から「削減」に修正されている。本条例も「抑制」から「削減」に修正すべき。

● 定義について。条文に出てくる「吸収源」の定義がないので、定義すべき。

● 「市民団体」は定義が曖昧であり、不要である。

● 5条〜8条について、「市民→事業者→市」の順になっているが、改正温対法では、「国→事業者→国民」の順となっている。本条例も「市→市民団体→事業者→市民」の順番にする。まずしっかり市が責務を果たした上で、きちんと事業者に働きかけるという構図が必要。

● 6条「…他の者が実施する地球温暖化対策に協力するよう努めなければならない」を「…他の者が実施する地球温暖化対策に協力しなければならない」と変える。

● 8条2項「市は、市民、事業者及び市民団体が脱炭素社会への意識及び関心を高め、地球温暖化対策に 積極的に取り組むことができるよう、社会的気運が醸成されるための取組みに努めるとともに、必要な措置を講ずるものとする。」について、「市は、市民、事業者及び市民団体が脱炭素社会への意識及び関心を高め、地球温暖化対策に 積極的に取り組むことができるよう、社会的気運が醸成されるための取組みに努めるとともに、必要な措置を講じなければならない。」と変更。

● 8条3項「市は、市の事務及び事業に関し、地球温暖化対策のために必要な措置を講ずるものとする。」について、「市は、市の事務及び事業に関し、地球温暖化対策のために必要な措置を講じなければならない。」と変更。

● 9条「再生可能エネルギーの普及やエネルギーの使用の合理化の促進、温室効果ガスの排出量のより少ない移動手段の選択等、温室効果ガスの排出の抑制等に関する施策を推進すること」を「再生可能エネルギーの普及やエネルギーの使用の合理化の促進、化石燃料の使用の抑制、温室効果ガスの排出量のより少ない移動手段の選択等、温室効果ガスの排出の抑制等に関する施策を推進すること」と太線部を追記。

● 10条第5項「市長は、本市の区域内における温室効果ガスの総排出量並びに地球温暖化対策の実施状況及びその評価について、年次報告書を作成し、公表するものとする。」を「市長は、本市の区域内における温室効果ガスの総排出量並びに地球温暖化対策の実施状況及びその評価について、年次報告書を作成し、公表しなければならない。」と太線部を変更。

● 14条第3項「地球温暖化対策により削減され、又は吸収された温室効果ガスの量を、他の者の温室効果ガスの削減の量とみなすことができるようにする取引を促進するための施策」は削除。気候危機対策のために求められるのは絶対的な温室効果ガスの排出量の削減であるため。特に、海外とりわけ途上国の事業から排出削減量を購入することは、事業国での人権侵害や土地収奪等リスクがあり、日本の先進国としての責任と世界の公平性の観点から認められるべきでない。また、吸収は一時的に炭素を固定する施策であり、将来にわたって炭素を固定する恒久性がなく、他の社会環境問題を抱える事業が多いので、取引を通じた排出削減量として認められるべきではない。

● 18条の条例の見直しについて、見直しの期間を「5年」ではなくエネルギー基本計画の見直しの3年に合わせて少なくとも3年に1回見直すようにする。

本条例案と石炭火力の関係について

● 横須賀市は、久里浜で建設中の石炭火力から排出されるCO2について、過去は計上してきたにもかかわらず、今後は市の排出として計算に入れないとしている。市及び市内で事業を行う事業者の責務として、石炭火力からの排出はきちんと継続して市の排出として計上するべきである。

● 事業者JERAは2050年ゼロエミッションを掲げている。しかし、横須賀で建設が進む発電所については、いつゼロエミッションになるのか、具体的なロードマップが市民に提示されていない。JERA全体のロードマップとしても、2030年までに発電時の排出原単位の削減、2040年にアンモニア専焼を目指すというものであり、気候危機を真摯に受け止めているとは言えない。市はJERAの方針を無批判に受け入れているが、気候危機から市民の命をまもるためには、しっかりJERAの主張を検証する責務がある。

● そもそも、横須賀市は久里浜で建設が進む石炭火力事業の継続を認めるべきではない。今年6月に開催されたG7の首脳会合においても「石炭火力発電が温室効果ガス排出の唯一最大の原因」と合意している。横須賀市が本当にゼロカーボンシティ宣言を目指しているのであれば、同事業からの排出を計上しないという小手先の解決方法ではなく、同事業の継続は認めるべきではない。


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