【プレスリリース】
気候問題に取組む市民グループ、三井住友銀行のGCF認証申請取り下げを歓迎
~ SMBCの申請却下をGCF理事会に求めた要請書には70近い国から約300団体が賛同
気候変動の問題に取組む市民社会からの反対の声が高まるなか、三井住友銀行(SMBC)は緑の気候基金(GCF)の認証申請を取り下げました。日本のメガバンクであり、石炭関連事業への主要な融資者であるSMBCが、2021年の次回GCF理事会まで同申請を見送る決断をしたのです。
「取り下げの理由としては、SMBCが今回の申請について上げられた懸念を鑑みて、よりしっかり準備をして申請したいからという旨が説明されました。私たちは今回の動きを歓迎します。今後も、引き続きSMBCの認証拒否を求めていきます。」とAsian People’s Movement on Debt and Development(APMDD)のコーディネーターLidy Nacpilは述べました。APMDDは、今回のSMBCの認証申請に抗議するキャンペーンをリードしてきた団体です。
「私たちは、この段階での勝利を宣言します。しかし、私たちは、気候問題のため最も重要なことを要求するキャンペーンを推進し続けます。つまり、SMBCが石炭から完全に撤退することです。」とNacpilは付け加えました。
8月21日までに69ヶ国の293団体(国際ネットワークを含む)が賛同したGCF理事らへの公開書簡では、途上国の石炭事業に長年融資を続け、世界第3位の石炭火力発電事業への融資者でもあるSMBCの認証申請に強い反対の意が示されました。
「私たちはSMBCの認証に強く反対し続けます。公開書簡で述べたとおり、SMBCの過去の経歴、大きな議論を呼んでいる石炭火力発電所への継続的な関与、そして不十分な石炭方針を鑑みれば、SMBCがパリ協定の貢献に強くコミットしているとしたGCF認証パネルの調査結果に私たちは賛成できません。」とNacpilは述べました。
公開書簡はまた、所謂クリーン・コールや超々臨界圧技術を用いたものであっても石炭火力には融資を行なわないと宣言するとともに、進行中の案件から速やかに引き上げ、あらゆる石炭事業から完全に撤退することで、ビジネス戦略をパリ協定と整合させるという真のコミットメントを示すよう、SMBCに求めています。
「現在、SMBCは問題が指摘されているベトナム・ブンアン2への融資を検討中であり、インドネシアのチレボン2やバタンなど、アジアで建設中の石炭火力発電所への融資を続けています。このような実態があるため、SMBCの認証は到底受け入れられるものではありません。SMBCの石炭方針が世界でまったく通用しないものであることが、今回のGCF認証申請への抗議の声でも明らかになりました。」と、国際環境NGO FoE Japanの開発金融と環境チーム 波多江 秀枝は述べました。
「影響を受けるコミュニティーや市民社会がSMBCの認証に抗議する声は世界中に広がっています。まさに今、私たちはSMBCに対し、パリ協定に沿う形で石炭火力発電所へのあらゆる支援を速やかに止めるよう、強く要求していくときです。」と波多江は付け加えました。
「私たちは、チレボン石炭火力・拡張計画(2号機)の建設に長年反対してきたチレボンの住民に代わり、今回のSMBCの動きを歓迎します。チレボン拡張計画は、違法性や贈収賄の他、環境・人権問題が指摘され続けてきました。」とWALHI(インドネシア環境フォーラム/FoEインドネシア)のキャンペーン・マネージャーであるDwi Sawungは述べました。
チレボン拡張計画では、住民の抗議や土地紛争から事業を擁護するため、地元の政治家に賄賂が支払われたと言われており、事業者らへの調査をインドネシア汚職撲滅委員会が続けています。「この贈収賄事件によって、SMBCを含む同事業の融資者らは警告を発せられてきました。」とSawungは述べました。
「SMBCはバングラデシュのマタバリ島における2案件にフィナンシャル・アドバイザーとして関わっています。バングラデシュは気候問題において脆弱国であるにもかかわらず、計画中の石炭火力が最も多い国の一つになっています。SMBCがGCFの認証機関になるのは相応しくありません。」とCLEAN(Coastal Livelihood and Environmental Action Network-Bangladesh)の事務局長Hasan Mehediは述べました。
GCFは途上国における気候変動対策に資金供与を行なう最大の基金であり、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)の主要な資金メカニズムです。認証機関はプロポーザルを提出し、承認プロセスを経て、GCFからの基金を受け取り、管理することができます。
調査によれば、2017年から2019年にかけて、SMBCは80億米ドルもの融資を石炭火力発電開発企業に対して行ないました。UrgewaldとBanktrackは石炭産業に係るグローバルな金融機関について報告書(2019年12月)を発表。その中で、2017年から2019年の間に石炭火力発電開発企業へ融資を行なった金融機関として、みずほ、三菱UFJ、三井住友が、融資額ランクの世界第1位から3位までを占めていたことを明らかにしました。これら日本の三大メガバンクは、2017年から2019年の間に、393億米ドルもの融資を石炭火力発電開発企業に行なっています。
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(翻訳:国際環境NGO FoE Japan)