【Protect VIPプレスリリース】日本のLNG推進、フィリピンのエネルギー危機への脆弱性の原因と指摘
2026年4月30日から5月2日にかけ、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)議員連盟の最高顧問である岸田文雄元首相が、同議連の訪問団とともにフィリピンを訪問する予定です。その中で、ガス関連開発が盛んなバタンガス州も訪問先に含まれるとの報道が流れています。これを受け、同地域で日本の官民が推進してきたガス開発の影響を受けてきた漁民コミュニティや市民団体が、日本によるガス開発への資金提供に対し抗議の声を上げました。

以下、影響を受けてきた漁民たちと市民団体のネットワークである「Protect VIP」によるプレスリリースの和訳です。
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日本のLNG推進、フィリピンのエネルギー危機への脆弱性の原因と指摘
Protect VIP
プレスリリース | 2026年4月30日
この木曜、地域コミュニティや市民社会団体は、日本がフィリピンにおける液化天然ガス(LNG)産業の参入と拡大に果たしてきた役割を強く非難しました。同産業は現在、米国およびイスラエルによるイラン攻撃を受けて、電力料金の高騰を招いています。
日本の岸田文雄氏元首相をはじめとする国会議員らが、今週、バタンガスにあるLNG施設を訪問予定とされています。2019年には、日本の輸出信用機関である国際協力銀行(JBIC)は、大阪ガスと共同で1億ドルを出資し、フィリピン初のLNG輸入ターミナルの開発を後押ししました。
「米国とイスラエルによるイラン攻撃の戦争開始からわずか1か月で、LNG価格は91%も上昇し、一般のフィリピン人の家計を圧迫しています。日本の国会議員らが、あたかも私たちの国民の利益を念頭に置いて行動してきたかのように装ったり、またしても起きた地政学的危機の責任から逃れようとしたりすることは許されません。LNGや化石燃料は常に価格変動が激しく、世界的な価格ショックの影響を受けやすいものです。過去5年間にわたり、イリハンLNGターミナルを支援し、LNG産業のさらなる統合を推進してきた日本こそが、このエネルギー危機への脆弱性を直接私たちの足元にもたらしたのです。」と、シンクタンクCenter for Energy, Ecology and Development(CEED)の事務局長であるGerry Arancesは述べました。
イリハンのガスハブおよびLNGに依存する既存・計画中のその他の施設は、生物多様性の豊かなヴェルデ島海峡(VIP)に面するバタンガス市に位置しています。この海峡におけるガス開発の集中は強い反対運動の的となっており、漁民や環境団体は2023年、JBICによるLNGへの資金提供をめぐり異議申し立ても行いました。
「ガス開発は、私たちの『海のアマゾン』とも称されるこの海域を危険にさらしており、地域コミュニティや重要な生態系が生計手段や安全に対する脅威に直面しています。VIP周辺のコミュニティはLNGや、石炭よりクリーンな代替手段であるという見せかけの主張をかねてより拒否してきました。再生可能エネルギーの豊富な潜在力をまだ十分に活用していないフィリピンにとって、この主張はまったく当てはまりません。」と、「Protect VIP」キャンペーンの主要な呼びかけ人である Edwin Gariguez神父は述べました。
日本は、特に「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」を通じて、東南アジア諸国におけるLNGやその他の化石燃料技術の推進と資金提供を積極的に行ってきました。AZECは、アジア地域の「脱炭素化の加速」支援を掲げる日本主導の枠組みです。
「今回予定されている岸田元首相率いるAZEC議連によるバタンガス訪問は、東南アジアでのガス開発のさらなる推進につながる動きとして、強く懸念されます。これまで日本の官民は、JBICによる資金提供や東京ガス、大阪ガスの出資を通じて、同地域でのガス開発に関与してきており、ヴェルデ島海峡(VIP)に生計手段を依存する漁師ら地域コミュニティの生活に深刻な影響を及ぼしてきました。AZEC構想は脱炭素を掲げつつも化石燃料依存を長期化させるものです。エネルギー危機に苦しむコミュニティを、気候・環境・社会への影響や電気料金の高騰といった多重の負担にさらに追い込む「名ばかりの支援」は直ちに止めるべきです。」とFoE Japanのキャンペーナーである波多江秀枝は述べました。
日本の国会議員の訪問を受けて、バタンガス市で地域コミュニティによるLNG反対の抗議活動が行われる中、VIP沿岸のコミュニティでは、再生可能エネルギーの導入推進や海峡全体での野心的な取り組みを通じて、化石燃料への依存継続に挑戦する動きも広がっています。東ミンドロ州では、教会、地域コミュニティ、市民社会が政府や金融・企業関係者とともに、初の「REnew Mindoro Investments Summit(REnewミンドロ投資サミット)」を開催しています。これは、ミンドロ島を100%再生可能エネルギーで賄うという広範なビジョンの一環であり、海峡全体におけるエネルギー移行を目指すものです。
「今回のエネルギー危機は、ガスや石炭、石油といった化石燃料への依存から脱却する必要性を私たちに突きつけています。ミンドロやVIPでは、一般のフィリピン人がその転換を実現するために団結しています。現在、私たちの教区ではコミュニティに恩恵をもたらす屋上太陽光システムの契約を進めており、地域コミュニティ自身が施設の共同所有・運営を通じてクリーンエネルギーを推進しています。また、再生可能エネルギーへの障壁を取り除き、資源の動員を確実にするため、さまざまなセクターと連携しています。これが日本の国会および私たちの政府へのメッセージです。フィリピンにとって進むべき道は再生可能エネルギーなのです。」と、Gariguez神父は述べました。

