<#衆院選2026>各党マニフェストを比較!【原発・エネルギー編】~各党の特色は? 昨年との違いは?

2月8日に投票日が迫る衆議院選挙。「原発・エネルギー」に関して主要各党のマニフェストを比較してみました。

(満田夏花)

<各党マニフェストの主な内容と従来との違い>

主な内容従来との違い
自民再稼働を進める/次世代革新炉の建設/核燃料サイクル推進昨年のマニフェストを踏襲
中道将来的に原発に依存しない社会を目指しつつ、安全性が確実に確認され、実効性のある避難計画があり、地元の合意が得られた原発の再稼働/次世代技術の開発促進(立憲)2025年マニフェストの「2050年までのできるだけ早い時期に原発ゼロ」という文言はなくなり、条件付きながら再稼働容認を明記
(公明)「原発依存度を低減」としていた2024年マニフェストと概ね同じに
維新早期再稼働/審査の効率化/廃炉ロードマップの見直し/国・地方自治体・事業者の責任を法的に明確化//次世代革新炉への建て替え概ね昨年のマニフェストを踏襲。「福島県民への甲状腺検査は希望者のみとし、過剰診断と風評による負の影響を無くす」という記述はなくなった
国民早期再稼働/審査の合理化・効率化/次世代革新炉の開発・建設/自衛隊による原子力施設の迅速な保護概ね昨年のマニフェストを踏襲
共産原発ゼロ基本法/再稼働・新増設は認めない/核燃料サイクルから直ちに撤退/廃炉ロードマップの見直し/事故の後始末費用は汚染者負担原則で概ね昨年のマニフェストを踏襲
れいわ原発や関連施設は使用を禁止、国が事業者から買い上げ、廃炉/廃炉ニューディールで支援/被災者の健康管理は、国が健康診断の費用を負担概ね昨年のマニフェストを踏襲
参政次世代原子力・核融合などには積極的に国として投資/FIT制度、再エネ賦課金を廃止する概ね昨年のマニフェストを踏襲
2024年マニフェストの「既存原発の活用」はなくなっている
保守再エネ賦課金の廃止/わが国の持つ優れた火力発電技術の有効活用 (原発については記述なし)注)概ね昨年のマニフェストを踏襲
社民再生可能エネルギーの普及で脱原発を進める/原発再稼働には反対概ね昨年のマニフェストを踏襲
みらい2030年での原子力比率20〜22%/国主導で再稼働支援策/核融合技術の研究開発投資を強化/次世代型原子力(SMR、高温ガス炉など)の技術開発と普及

注)日本保守党は、マニフェストには記載がありませんが、党首が「停止中の原子力発電所は安全点検後、速やかに再稼働すべき」と発言しており、原発に関しては積極的な姿勢だと思われます。

>前回(参院選2025)のマニフェスト比較はこちら

私見①:マニフェストに足りていないもの

私見②:「国民的議論」はどこにいった?

自民党

以下のように、第7次エネルギー基本計画などでみられる政府方針と同様の内容です。昨年の参院選から目立った変化はありません。

  • 再生可能エネルギーの主力電源化を徹底、省エネの促進
  • 原発の再稼働を進める
  • 次世代革新炉の開発・設置
  • 「核燃料サイクル」を推進
  • 非効率な石炭火力のフェードアウト、水素・アンモニアやCCUS等を活用した火力の脱炭素化

参照:自民党政策BANK

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中道改革連合

公明党と立憲民主党の衆議院議員により結党された中道改革連合。

注目された原発をめぐる政策については、「将来的に原発に依存しない社会を目指しつつ、安全性が確実に確認され、実効性のある避難計画があり、地元の合意が得られた原発の再稼働」としました。

一方で、「次世代技術の開発促進」と書いてありますが、原発の新設については明確にしていません。記者会見では、記者が「次世代技術の開発促進」について質問すると、次世代革新炉などを念頭に「将来的な選択肢を奪わない」旨の回答をしています。

また、核燃料サイクル政策をどうするのかについても明確にしていません。

緻密な議論と実現可能性の検討を積み重ねて、数値目標も積極的に取り入れて組み立てられていた、従来の立憲のエネルギー政策はあとかたもないな、という印象です。

両党の従来のマニフェストからどのように変わったのでしょうか。

立憲民主党は、2025年参院選のマニフェストでは、「2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル達成を目指す」としていましたが、そうした文言は中道の公約からは落ちてしまいました。また、2024年衆院選のマニフェストでは、「全ての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定を目指す」としていましたとが、2025年にその記述はおち、今回、条件付きながら再稼働容認を明記しました。

一方、公明党は、2024年のマニフェストでは、「可能な限り原発依存度を低減しつつ、将来的に原子力発電に依存しない社会をめざします」としており、自民党と比較すれば原発に対しては慎重な立ち位置でした。しかし、昨年の参院選のマニフェストではこれは削除され、さらに、「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・設置に取り組む」としていたので、今回の中道の政策は、従来の公明党の、自民党よりは少し慎重というポジションに戻った感じです。

参照:2026主要政策 | 中道改革連合(略称:中道)公式

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日本維新の会

原発推進姿勢が鮮明です。

国民と維新は、「原子力規制の審査の効率化」を掲げていいます。折しも、浜岡原発の地震動評価の不正が大きな問題になっており、かつ原子力規制委員会がそれを見抜けなかったことによる原子力規制への信頼が揺らいでいるなか、「原子力規制の審査の効率化」をしても大丈夫なのでしょうか。

一方で、福島第一原発事故の廃炉のロードマップの見直しや、電力・ガス取引監視等委員会の強化など、興味深い公約も混じっています。

昨年のマニフェストには、「福島県民への甲状腺検査は希望者のみとし、過剰診断と風評による負の影響を無くす」という項目が入っていました。甲状腺検査については、強制ではありませんし、それによって甲状腺がんの早期発見が実現している面がありますので、「これ、どうなの?」と思ったものです。しかし、今年のマニフェストからはなくなっています。

  • 原発の早期再稼働
  • 原子力規制委員会の審査の効率化
  • 国・地方自治体・事業者の責任を法的に明確化
  • 原子力人材の確保
  • 高レベル放射性廃棄物の最終処分場確定を着実に進めるための期限を明示した工程表を作成
  • 除染廃棄物を30年以内に福島県外に撤去する目標を見直し、実行可能なロードマップを策定
  • 電力・ガス取引監視等委員会を公取委と同じ三条委員会に格上げ

参照:維新八策2026 個別政策集|日本維新の会

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国民民主党

原発推進姿勢が鮮明です。「原子力施設への武力攻撃を想定し、自衛隊による原子力施設の迅速な保護を可能とする」などとしているのが特徴です。昨年からのマニフェストからの変更は特になさそうです。ポイントは以下の通りです。

  • 運転期間は運転開始から原則40年としつつ、科学的・技術的根拠に基づく厳格な運転期間を適用
  • 安全基準を満たした原子力発電所の早期再稼働
  • 審査プロセスの合理化・効率化等
  • 次世代軽水炉や小型モジュール炉(SMR)、高速炉、高温ガス炉、核融合炉、浮体式原子力発電等次世代革新炉の開発・建設(リプレース・新増設を含む)の推進
  • 放射性廃棄物の処理や使用済燃料の再処理の推進
  • 原子力施設への武力攻撃を想定し、自衛隊による迅速な保護を可能に

参照:政策各論 4.自分の国は「自分で守る」 | 国民民主党 特設サイト2026

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日本共産党

「原発・石炭火発から省エネ・再エネへ転換」「再稼働をやめ、原発・核燃サイクルからの撤退」などとしています。共産党の政策は、現状認識や公約の根拠などが書き込まれ、分厚いものとなっているのが特徴です。文字を読むのを苦にされない方は、ぜひ読破してみてください…。ポイントは以下の通りです。昨年からの変更は特に見当たりません。

  • 「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」を実現する
  • 原発を再稼働させず、新増設も輸出も認めない
  • 核燃料サイクルからただちに撤退する
  • 汚染水の海洋放出を中止し、タンク増設などの対策を取りつつ、汚染水の発生抑制に取り組む
  • 賠償打ち切りを撤回し、全面賠償と除染をすすめる
  • 事故の後始末費用は汚染者負担原則で
  • 原発立地地域も再エネ関連産業で再生をはかる

参照:政策 | 日本共産党

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れいわ新選組

原発については「即時使用を禁止の上、国が事業者から買い上げる」としています。主なポイントは以下の通りです。文言が変わっているところはありますが、昨年のマニフェストから大きな転換はなさそうです。

  • 原発や関連施設は即時、使用を禁止。その上で国が事業者から買い上げ、廃炉を行う国営の組織をつくり、最先端の技術を用いて慎重に廃炉を進める
  • 原発立地地域が原発廃止によって経済的打撃を受けないよう、「公正な移行」を徹底する。「廃炉ニューディール」で地域の産業・雇用を維持
  • 原発被災者である福島県民の健康管理については、国が健康診断の費用を負担する
  • 福島第一原発の汚染水の海洋投棄を中止。ヨウ素129などの核種除去技術が確立するまで陸上で保管する。
  • 核燃料サイクル事業を即時中止
  • 脱原発・脱炭素までは既存の火力発電所を活用し、段階的に廃止する
  • 10年間で官民あわせて200兆円のグリーン投資

参照:基本政策 – れいわ新選組

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参政党

「高コストの再生エネルギーを縮小し、FIT制度、再エネ賦課金を廃止する」としているのが特徴です。

原発に関しては、「次世代原子力・核融合・新たな火力・水力・バイオマス・水素・地熱など、民間投資だけでは賄えない分野には特に積極的に国として投資」するとしています。

「国が投資」するのは、「研究開発」にとどまるのか、それとも「建設」にまで及ぶのかどうかは明記されていません。

ちなみに、「高コストの再生エネルギーを縮小」としつつ、バイオマスや地熱など「高コストの再生エネルギー」については国として投資することは、やや矛盾しているのではないかと思いました。

注)党としての公式見解ではないものの、参政党の代表の神谷氏は「非核三原則の見直し」や核共有(ニュークリアシェアリング)について検討すべきという趣旨の発言を国会でしており、街頭演説で原子力潜水艦の配備について言及しています。

参照:参政党の政策カタログ一覧 | 参政党 -sanseito-

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日本保守党

日本保守党の公約は、全般的に、かなりシンプルなものとなっています。。

エネルギーに関しては、参政党と同様、「再エネ賦課金の廃止」を掲げています。

2024年のマニフェストでは、原子力の支援が記載されていましたが、2025年および今回のマニフェストでは、原発に関しての記載はありません。

一方で、百田尚樹党首が「停止中の原子力発電所は安全点検後、速やかに再稼働すべき」と発言しており(注)、原発に関しては積極的な姿勢だと思われます。

参照:日本保守党の重点政策項目 – 日本保守党|日本を豊かに、強く。

注:2026 POLLS: Conservative Party to Focus on Foreigner Policies | Nippon.com

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社会民主党

従来の方針通り、「再生可能エネルギーの普及で脱原発を進める」「原発再稼働には反対」としています。

現在公開されているマニフェストは、かなり簡略なものとなっており、時間がなかったのかな?と思わせるものでした。同様のポジションをとる共産党などと比べて、「ワンフレーズ」となっており、説明が足りていないのが残念です。

しかし、同党の福島みずほ党首などの従来の国会での発言や活動などから、原発再稼働・新設反対、核燃料サイクルからの撤退といった同党の姿勢は、周知の事実ではあります。

【いまだから社民党】第51回衆議院議員総選挙 衆院選2026

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チームみらい

「2030年での原子力比率20〜22%の達成を目指し、国主導で再稼働支援策を整備します。2030 年時点で 25基以上の運転を実現できるよう、手続きの迅速化と地域支援を両立させます」としています。

「2030年での原子力比率20〜22%」は第6次エネルギー基本計画に沿った内容なので、政府の方針通りといえます。しかし、福島第一原発事故から15年で、再稼働した原発は12基(再稼働した後、いったん停止した柏崎刈羽原発を除く)なので、25基以上の運転というのは、かなり野心的な目標です。

また、「核融合技術の研究開発投資を強化」「次世代型原子力(SMR、高温ガス炉など)の技術開発と普及」を掲げています。

参照:チームみらいビジョン 声が届くマニフェスト

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私見①:マニフェストに足りていないもの

今回は史上まれにみる、急展開の選挙となりました。このため、前回のマニフェストを十分に検討して、アップデートする時間がなかったとしても無理はありません。

また、あえてシンプルにしているのかな、というような党もあります。

しかし、個人的には、キャッチフレーズ的な勢いのよい公約ではなく、かかげる政策の根拠や必要性、現状認識をしっかりと示すべきではないかと考えています。「どうせ、きちんと書いてもみんな読まないから…」というのでは、ちょっと困ります。根拠や背景、必要性などを知りたい人がアクセスできるように、きちんと書き込むべきでしょう。

全体として、原発推進をかかげる政党がふえてきました。その理由として、電力の安定供給やエネルギー安全保障といったものが多そうです。しかし、原発が果たして本当に電力の安定供給やエネルギー安全保障につながるのか、疑問です。そうしたことも、本来、選挙戦の中で、あるいは国会の場できちんと議論してもらいたいものです。

原発推進をかかげる以上、以下の点については、具体的なデータを示して説明すべきではないかと思いました。

  • 増え続ける放射性廃棄物をどうするのか (参考:行き場のない「核のごみ」
  • 民間では担いきれない原発の建設コストをどうするのか
  • 「次世代革新炉」は実現可能なのか
  • 福島原発事故の廃炉をどのように行うのか

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私見②:「国民的議論」はどこに行った?

中道改革連合の設立に伴い、立憲民主党は「2050年までのできるだけ早い時期に原発ゼロ」という前回のマニフェストをあっさりと転換しました。一方で、立憲民主党の幹部も含む少なからぬ議員は、与党・民主党として福島第一原発事故を経験し、2012年、野田政権のときに、大規模な「国民的議論」を経て「2030年代に原発ゼロを目指す」という政策決定を行っています。この国民的議論に大きな関心を抱き、積極的に参加していた身としては、十分な議論を行わず従来のマニフェストを放棄したことは残念です。

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まとめ表

▶️ マニフェスト比較【気候変動対策編】はこちら

 

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