プレスリリース：UKEFとAtradiusに続き、金融機関はモザンビークLNGから撤退を
モザンビークのカーボ・デルガード州で進むトタル・エナジーズ社によるモザンビークLNG事業に関与する公的金融機関および民間金融機関に対し、人権に関する懸念からすでに事業からの撤退を決めた英国輸出信用保証局（UKEF）、およびオランダの輸出信用機関であるアトラディウス信用保険会社（ADSB）に続き、金融支援を直ちに撤回するよう求める書簡を送付しました。詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
プレスリリース：UKEFとAtradiusに続き、金融機関はモザンビークLNGから撤退を
Justiça Ambiental!
Reclaim Finance
BankTrack
Friends of the Earth Japan
Friends of the Earth France
書簡は複数の市民社会団体が、事業に関わる約30の公的金融機関および民間金融機関に送付し、本事業に関わっているとされる深刻な人権侵害、悪化する治安、モザンビークにもたらされる経済的不安定性、また事業に関与する機関にとって増大する法的リスク、未解決の移転に関する苦情、そして一層明白になりつつある環境リスクの重大性を指摘しました（1）。
12月上旬に英国輸出信用保証局（UKEF）、およびオランダの輸出信用機関であるアトラディウス信用保険会社（ADSB）が、治安および人権リスクの高まりを理由に同事業への融資から撤退するという画期的な決定に至った背景もあり書簡は送付されました。オランダ政府が委託した人権侵害の疑惑に関する調査および本事業に関連する治安状況の評価も、12月上旬に公表されました（2）。
「モザンビークで人権侵害に対処する、あるいは当局が人権侵害への認識を得ること自体が困難であり、またリスクも伴う状況を踏まえると、フランスのような他の場や管轄でこれらの犯罪が調査されることが重要になります。被害者およびその家族のために正義が実現されるべきであり、関与したすべての当事者に対する責任追及が行われる必要があります。」- Daniel Ribeiro, Justiça Ambiental!
「モザンビークLNG事業に関連する人権侵害を指摘する報告書や調査結果が次々と明らかになっています。被害者、および影響を受けたコミュニティが、親会社の本拠地があるフランスにおいて、司法へのアクセスと救済を受ける権利を保障されなければなりません。トタルエナジーズはすでにフランスの裁判所で2件の刑事告発に直面していますが、金融機関も、この破滅的なガス事業から撤退しなければ、法的リスクにより一層さらされることを今こそ認識すべきです。」Juliette Renaud, Coordinator, Friends of the Earth France
「オランダ政府が公表した報告書は、深刻な人権侵害を記しており、銀行がそれを見て見ぬふりをすることは許されません。クレディ・アグリコルおよびソシエテ・ジェネラルは、この現実に目を覚まし、地域コミュニティと地球規模の気候の利益のために、撤退すべき時です。」Antoine Bouhey – デファンド・トタルエナジーズ コーディネーター/Reclaim Finance
「輸出信用機関は、銀行や企業をリスクから守るために存在しています。その輸出信用機関が、モザンビークLNG事業はリスクが高すぎるとして支援を拒否しているのであれば、金融機関―とりわけ、UKEFやAtradiusによるカバーを受けていたStandard Charteredのような機関―も、同じ結論に至り、この事業への支援を撤回する必要があります。これは単なる財務上のリスクの問題ではなく、基本的な責任の問題です。戦争犯罪への関与が疑われている企業と、いかなる銀行も関係を持つべきではありません。」- Rieke Butijn, BankTrack気候キャンペーナー兼リサーチャー
モザンビーク政府は先週、トタルエナジーズに対し事業再開を求めましたが、同社が11月上旬に提示した修正予算案については、現在も監査の途上にあります。トタルエナジーズからモザンビーク政府に提案された、45億米ドルのコスト増およびコンセッション期間の延長を含むとされる案は、モザンビークにもたらされる利益の減少および遅延につながるとの懸念の声や警告の声が出ています（3）。
書簡は、金融機関に対し、機関が持つ人権、ESG、ならびに気候に関するコミットメントに照らし、事業に伴う高いリスクを検討するよう求めました。さらに金融機関に対し、2026年1月15日までに書簡に対する正式な回答を行うことを求めました。
注釈
(1) ECCHR, 18 November 2025, TotalEnergies faces criminal complaint for complicity in war crimes, torture and enforced disappearance in Mozambique; Le Monde, 15 March 2025, French prosecutors launch manslaughter probe against TotalEnergies over Mozambique attack; TotalEnergies, 20 November 2025, Mozambique LNG: Clarification by TotalEnergies ; TotalEnergies, 2025, Chronology of exchanges between TotalEnergies and media about Mozambique LNG; West and Lépiz, 2021, Too Late to Count: a financiaSocio-economicl analysis of Mozambique’s gas sector; Justiça Ambiental!, August 2025, Energy projects fuel hunger in Palma; Moz24H, 15 August 2025, Palma residents want Totalenergies out of Afungi – Moz24h; Justiça Ambiental, 14 May 2025 Resettlement Chaos continues at Afungi gas site; US DFC IAM, 13 August 2025, IAM Assessment Report Rovuma LNG Project, Mozambique; Data Desk, 27 August 2025, Dredging in Palma Bay, Mozambique; Engelbrecht CA, et al, (2025), True Risk: The environmental risks of deep-sea gas exploitation in the Rovuma Basin of Cabo Delgado, Mozambique.
(2) 英国輸出信用保証局（UKEF）の決定は、「事業および英国納税者の利益に関する包括的な評価に基づく」ものであり、2020年以降リスクが著しく増大していることを明確に認めている。UK Parliament, 01 December 2025, Written questions, answers and statements – UK Parliament
またオランダ・アトラディウス信用保険会社（ADSB）の撤退は、オランダ政府が委託したオランダ国際関係研究所（Clingendael）による詳細な調査およびPangea Riskによる治安評価を受けたもの。Human rights violations by Mozambican security forces in the context of the Mozambique LNG project | Clingendael; Netherlands Ministry of Finance, 01 December 2025, Antwoord op vragen van de leden Hirsch, Van der Lee en Teunissen over de exportkredietverzekeringen voor een LNG-project in Mozambique | Tweede Kamer der Staten-Generaal
(3) CDD, 29 October 2025, Mozambique LNG will resume, but with even fewer expected benefits for Mozambicans; ISS, 10 November 2025, Terrorism takes its toll on Mozambique’s gas revenue | ISS Africa ; Bloomberg, 09 December 2025, Mozambique Leader Chapo Says Total Should Restart LNG Project – Bloomberg
