連続セミナー:ミャンマーからの声を聞く 第4回「危機を切り抜ける もっとも弱い立場の人たちに人道援助を届けるためには」
ミャンマーでは2021年2月1日のクーデター未遂以降、軍による市民への弾圧や、激化する軍と少数民族革命勢力との衝突により、国内避難民が290万人に達する混乱状態となっています。軍による弾圧で死亡した人は5,000人近くに達しています。日本はミャンマーに対して最大の援助国でありながら、未遂クーデター以降も政府開発援助(ODA)を継続しているほか、軍のビジネスに関係する事業に公的資金を供与したままで、その影響力を正しく行使しているとはいえません。また日本では、自治を求める少数民族と呼ばれる人びとの暮らす地域の状況、多様な背景を持つ人びとの声が十分に知られてきませんでした。
この連続セミナーは、「#ミャンマー軍の資金源を断て」キャンペーン団体(メコン・ウォッチ、アーユス仏教国際協力ネットワーク、国際環境NGO FoE Japan、日本国際ボランティアセンター、武器取引反対ネットワーク)がプログレッシブ・ボイスと共催するもので、ミャンマーからの声を日本に伝えるため企画しました。現地の情勢や紛争の歴史的経緯、いわゆる少数民族居住地域での状況、日本政府や社会に対してミャンマーの市民社会の求めることは何かを、各地で活動してきたミャンマーの活動家・NGOスタッフなどをゲストスピーカーに迎えてお話を聞き、議論を深めていきます。
第4回「危機を切り抜ける もっとも弱い立場の人たちに人道援助を届けるためには」
ミャンマーの人道状況は悪化の一途をたどっており、ミャンマー軍が国の全域で行う残虐行為が原因で数百万もの人が避難民となっています。ミャンマー軍による作戦は2021年2月の未遂クーデター以降に特に強まり、現地で活動する諸団体は、実際の国内避難民の数が国連が発表する数の倍にものぼるという、いっそう憂慮すべき事態を伝えています。このような人道危機の中、日本は2021年2月以降に合計1億950万ドルの人道支援を行っています。しかし、ミャンマー軍が支援物資を不当に利用することで政治的、軍事的に利益を得ている可能性があることについて、懸念が高まっています。最前線で活動する人道支援者たちは、ミャンマー軍の残虐行為の影響をもっとも強く受けている地域におり援助をもっとも必要としている人たちに援助が届いていない、と警鐘を鳴らしてきました。一方、諸民族の抵抗組織らは、国境地帯の主要な町を含め、支配する地域を広げ続けています。現地のチャンネルを通じた直接の支援、特に国境を拠点とする援助の提供が、これまで以上に重要となっています。これらの問題は、3月にミャンマーに新たに3,700万ドルの人道支援を行うと表明した日本にも大きく関係してきます。
「連続セミナー:ミャンマーからの声を聞く」第4回では、カレン女性機構(KWO)会長のクニョーポー氏をスピーカーに迎え、国内避難民が増え苦境が続いているカレン州の現状のほか、最前線にいる人道支援者の活動状況や、日本政府を含む国際社会への現地からの要望を伝えていただきます。加えて、著名な東南アジア地域の人道支援者であり、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)元所長のアデリーナ・カマル氏もスピーカーに迎えます。カマル氏には、ミャンマーを暴力によって支配しようとするミャンマー軍に最前線で抵抗している人道支援者たちに光を当てつつ、もっとも必要としている人たちに援助を直接届けるにあたっての課題や対処法についての見解を述べていただきます。
日時
2024年5月18日(土) 18:30-20:00
会場
オンライン開催(ウェビナー)Zoom
言語
英語(日本語同時通訳付き)
参加費
無料
申込
zoomのシステムから登録をお願いします
https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_OJltJ224TH6ENvDhHjduBQ
スピーカー
クニョーポー(Naw K’nyaw Paw)氏
アデリーナ・カマル(Adelina Kamal)氏
スピーカー略歴
クニョーポー氏:カレン女性機構(KWO)会長。タイ・ビルマ国境で生まれ、11歳で難民となる。ジェンダー公正や社会正義、人権、民主主義、子どもの保護などに20年以上取り組み、女性や難民、国内避難民について国連でも提言を行ってきた。その活動に対して多くの賞を受けており、なかでも2019 年には米国務省の「世界の勇気ある女性賞」、2021年には広範な人権侵害が見られる地域で女性や子どもの自由と命を守る活動をする女性に授与されるアムネスティ・インターナショナルのジネッタ・セーガン賞を受賞した。
アデリーナ・カマル氏:人道支援者。災害対策の専門家でもあり、国際政策に関して独立した分析や戦略立案を行う。ジャカルタのASEAN本部に勤務したのち、2017年から21年までASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)初の女性所長を務め、ASEANでの勤務経験は25年を超える。AHAセンター所長退任後は各国政府や国際・地域的組織に助言を行う。現在はメルボルン拠点の人道指導センターの理事を務めるほか、東南アジア女性平和調停者の運営委員会委員でもある。20年12月からロンドンを拠点とする海外開発研究所の人道政策グループの諮問委員会委員、22年3月からはインドネシア大学の災害対策の修士課程コースで定期的に客員講師を務める。
共催
「#ミャンマー軍の資金源を断て」キャンペーン団体(メコン・ウォッチ、アーユス仏教国際協力ネットワーク、国際環境NGO FoE Japan、日本国際ボランティアセンター、武器取引反対ネットワーク)、プログレッシブ・ボイス
問合せ先
メコン・ウォッチ info@mekongwatch.org
参考
「
クーデターの影響を受けたミャンマー国民に対する追加的人道支援」(2024年3月8日付外務省報道発表)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_00462.html “Myanmar: Dire humanitarian and human rights situation compounded by military’s restrictions on aid" (2023年6月30日付国連人権高等弁務官事務所記者発表)
https://www.ohchr.org/en/press-briefing-notes/2023/06/myanmar-dire-humanitarian-and-human-rights-situation-compounded On the Third Anniversary of the Coup, KPSN Calls for Urgent Humanitarian Assistance in Kawthoolei(2024年1月31日付カレン平和支援ネットワーク報告書)
https://www.karenpeace.org/report/on-the-third-anniversary-of-the-coup-kpsn-calls-for-urgent-humanitarian-assistance-in-kawthoolei/ 「届かないミャンマー避難民への届かないミャンマー避難民への人道支援 赤十字は国軍との関係が深いから…日本にできることは人道支援 赤十字は国軍との関係が深いから…日本にできることは」(2024年4月20日付東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/322391