温暖化と森林
国連気候変動枠組み条約・京都議定書における森林吸収源について
はじめに
植物は光合成を行い、大気中の二酸化炭素を吸収してその炭素を有機物として根や幹、枝などに貯留し成長します。中でも森林を形成する樹木は、大気中の二酸化炭素を大量に吸収し、幹や枝葉に固定し成長します。このように森林には温暖化を促進させる大気中の二酸化炭素を吸収し固定する「貯蔵庫」としての重要な役割を果たしています。森林を適切に管理して森林が吸収する炭素量を増やすことにより、大気中の二酸化炭素濃度の上昇を緩和することができます。また、生産過程で膨大な二酸化炭素を排出する金属製などの産業資材を、省エネルギー的な木材製品へ代替することや、化石燃料の代わりに、端材・廃材をバイオマスエネルギーとして利用することも温暖化緩和に有効です。
① 森林の適正な管理や植林などによる炭素吸収源の強化による気候変動の緩和効果
② 森林減少や森林劣化による炭素排出を防止することによる気候変動の緩和効果
③ 金属製などの産業資材を、省エネルギー的な木材製品へ代替する省エネ効果
④ 化石燃料の代替として森林のバイオマス資源利用を促進することによる気候変動の緩和効果
これらの理由から、気候変動交渉では森林等の陸上部門(「土地利用、土地利用変化及び林業部門(Land Use, Land Use Change and Forestry:LULUCF)」と呼ばれる)が持つ炭素吸収量能力を高めることや炭素排出を抑制することが地球温暖化防止に貢献するとして注目されてきました。吸収源の範囲に関しては、土壌内の炭素量も吸収源として検討の余地があるとされており、その範囲が拡大される可能性があります。
これらの吸収源活動は、省エネルギー化や再生可能エネルギーの技術開発等と比較すると、低コストで行える緩和対策であり、一般的には費用対効果の高い方策とされています。また途上国では、大規模な森林管理・植林プロジェクトを実施しうる潜在性を持っており、先進国が資金を提供し、共同で温暖化対策を途上国内で実施するクリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism:CDM)としても注目されています。
しかし一方で、巨大な吸収量を各国の温室効果ガス削減目標達成のために用いることを認めると、先進国を中心に、化石燃料由来の二酸化炭素の排出削減が軽視されることが懸念されます。京都議定書の第一約束期間である2008年から2012年までの5年間で日本は6%の温室効果ガスの削減を約束していますが、実にその約3分の2に相当する3.8%(注1)は森林による二酸化炭素の吸収で達成する計画です。(注2)
また、森林や土壌の吸収量の把握は、不確実性や非永続性が極めて高いため、十分なモニタリングシステムが確立されなければなりません。
(注1)二酸化炭素の3.8%削減量は炭素の重量でいえば、1300万炭素トンに相当する(二酸化炭素換算では、約4800 万CO2トン)
(注2)残りの2.2%は、京都メカニズム(排出量取引、CDM、JI)を利用することや、国内におけるエネルギー効率改善や新エネルギー導入などによる削減(いわゆる「真水」の削減)、で削減目標の達成を目指しています。
京都議定書の下での吸収源ルールの概要
京都議定書本文
吸収源に関連する京都議定書関連条項は主に第3条において示されています。京都議定書の第一約束期間では、LULUCF分野による二酸化炭素吸収量を温室効果ガスの排出削減目標達成の手段として組み入れることを、第3条3、および、第3条4で限定的に認めており、第3条7は基準年排出量とLULUCF分野の関係性を述べています。 3条3では、1990年以降の新規植林、再植林及び森林減少に限って、温室効果ガスの吸収量や排出量を京都議定書の国別削減目標達成のために用いることを定めています。
3条4では、農業土壌、土地利用変化及び林業分野(LULUCF)におけるその他の活動(「森林管理」活動、「植生回復」活動、「農地管理」活動、「放牧地管理」活動)については、原則としては第2約束期間以降から適用ですが、これらを各国の任意の判断により第1約束期間からも適用可能とすることを規定しています。
3条7では、国別の排出割当量を作成する際、基準年となる1990年の排出量には「森林管理」活動からの吸収を含まず(付属書A参照)、1990年にLULUCF分野が純排出源となっていた国々については、約束期間の割当量算定に当たって、基準年の排出量に土地利用の変化による排出量を追加することを規定しています。
LULUCF分野に関する京都議定書3条の本文は、こちらをご覧下さい。
>環境省ホームページ 京都議定書本文(PDF)
マラケシュ合意(16/CMP.1決定)
京都議定書の採択時には、LULUCF分野の具体的運用ルールは決まっていなかったため、特に上述の3条3、3条4について細則を決める必要がありました。このルールの合意が最も困難を極めた交渉の一つでした(吸収源交渉の経緯 参照)。ここではそのマラケシュ合意の中から要点を紹介します。
・ 森林の定義:「森林」とは、その場での成熟時に最低2-5メートルの樹高に達する可能性のある樹木種で10-30%以上の樹冠率(または同等の群体レベル)を有する最低面積0.05-1.0ヘクタールの土地である。森林は、様々な高さの樹木と下生えが地面の大きな割合を覆っている閉鎖林(closed forest)形式と疎林(open forest)とのいずれかで構成される可能性がある。樹冠率10-30%にまだ達していない、または樹高2-5メートルに達していない若い自然の立ち木や全ての林地も、森林の定義に含まれ、また通常は森林地の一部を形成するが、伐採のような人間の干渉あるいは自然原因の結果、一時的に木のない状態(unstocked)となっていても森林に戻ることが期待されている地域も、同様である。
→面積0.05~1.0ha以上、樹冠率10~30%以上、樹高2~5m以上の土地。伐採や災害により一時的にこの条件を満たさなくなた土地でも、森林に戻ることが期待されていれば森林とされます。
・ 選択可能な活動:附属書Ⅰ締約国は第一約束期間において、3条4項の下、新規植林、再植林、森林減少以外に、下記人為的活動のいずれか、またはその全てから生じる排出源による人為的な温室効果ガス排出と吸収源による除去を計算に入れることを選択できる:森林管理、植生回復、農地管理、放牧地管理。
→各国の裁量に基づき、目標達成に上記4つの活動を用いるかどうかを選択できます。
・ 「森林管理」活動の計上方法(グロス-ネット方式):第一約束期間においてのみ、<~中略~>3条4項に規定する森林管理から発生する<~中略~>締約国の割当量への加算および減算が、下記付録書に示す数値の5倍を超えないこととする。
→(国別の排出割当量を作成する際、基準年となる1990年の排出量には「森林管理」活動からの吸収を含まない3で)、約束期間の目標達成には森林管理による吸収量を含みます。
・ 割引率と上限値:「森林管理」活動による吸収量の計算に85%の割引率等を適用する。さらに各国の状況(これには、京都での約束達成にどれだけの努力が必要かの程度、および実施されている森林管理方法が含まれる)も考慮する。
→90年以降の間伐等による人為的活動効果と90年以前の間伐等による効果、CO2増加や窒素沈降に伴う施肥効果、林齢構成の変化など「森林管理」における吸収量の増加には人為的かどうかを区別する手段が未だありません。よって吸収量全体に85%の割引率をかけ、大きな森林を持つ国は吸収量が数値目標に比べ過大になってしまうことや、長期的には固定された炭素が再び排出されるリスク(森林における吸収が一時的なものであるため)を回避しています。
(注3)付属書Aには林業分野は含まれていない
吸収源活動の説明
現在、議定書第一約束期間では、3条3の「新規植林」「再植林」「森林減少」による排出・吸収量の計上報告が義務化され、3条4「森林経営」や「植生回復」、「放牧地管理」、「農地管理」各国が任意で選択可能になっています。
3条3活動の説明
新規植林-Afforestation-(義務報告)
「少なくとも50年間森林とはなっていなかった土地を、植林、蒔種、そして/または自然の蒔種源の人為的な増強を通して、森林地へ直接に人為的に転換すること(地球産業文化研究所による決議16/CMP.1 別添(ANNEX)パラ1(b)仮訳)」をいいます。「新規植林」の認証には過去50年以上の間ずっと森林の定義の閾値以下であった土地であることを示すデータの提出が求められています。
再植林-Reforestation-(義務報告)
再植林は、「森林地であったが非森林地に転換されていた土地の、植林、蒔種、そして/または自然の蒔種源の人為的な増強を通した、森林地への直接で人為的な転換である。第一約束期間では、再植林活動は、1989年12月31日の時点で森林地を含んでいなかった土地での再植林に限定される(地球産業文化研究所による決議16/CMP.1 別添(ANNEX)パラ1(C)仮訳)」と定義されています。森林基準値(林冠率、樹高及び最小土地面積)を満たしていなかった場所に、1990年1月1日以降に再び植林したという活動に限定され、それ以前の植林活動はこの範疇には含まれません。よって、1990年以前より植林を精力的におこなってきたとしても、吸収源として認められないため、その時間軸の境界を巡っては、様々な意見の相違がみられます。
森林減少-Deforestation-(義務報告)
「森林減少」は、「森林地から非森林地への直接で人為的な転換(地球産業文化研究所による決議16/CMP.1 別添(ANNEX)パラ1(d)仮訳)]と定義されています。3条3で「森林減少」による炭素の排出は報告が義務とされていますが、天然林を皆伐しても、森林が将来的に回復すると見込まれると認められた場合、森林減少として計上されないという課題があります。
3条4活動の説明
森林経営-Forest Management-(任意、日本選択)
森林経営とは「森林に関連する生態学的機能(生物多様性を含む)や森林の経済的及び社会的な機能を持続可能な形で満たすことを目的とした森林の管理と利用のための施業システム(環境省による決議16/CMP.1 別添パラ1(f)訳)」と定義されています。この「森林経営」の定義は一般論にとどまっているため、各国が各々の森林の経営実態に応じて、現状を把握し、独自に適用することとなっています。日本の林野庁では、「持続可能な方法で森林の多様な機能を十分に発揮するための一連の作業」と定義しており、例として育成単層林、育成復層林、天然生林の3つの管理方法を挙げています。
>参照:林野庁ホームページ「京都議定書での森林吸収の考え方」
ただし、林野庁は、国内森林面積の約70%に相当する面積の1750万haで、適切な森林経営がなされなければ、冒頭に述べた1300万炭素トンの吸収の獲得は不可能としています。日本では、この国内の「森林経営」によって得られる吸収源に大きく依存しており、目標達成への生命線ともいえます。
植生回復-Revegetation-(任意、日本選択)
「新規植林」及び「再植林」の定義に該当しない、最小面積0.05ha 以上の植生を造成することを通じ、その場所の炭素蓄積(carbon stocks)を増加させる直接的人為的活動(環境省による決議16/CMP.1 別添(ANNEX)パラ1(e)訳)をいいます。「森林経営」と同様に、この「植生回復」の定義も、普遍的な解釈は存在していないため、日本では、「植生回復」を「1990年以降に行われる開発地における公園緑地や公共緑地、又は行政により担保可能な民有緑地を新規に整備する活動」と定義しています。
以上、日本で吸収源対策として、活動とみなされている「新規植林」「再植林」「森林減少」「森林経営」「植生回復」について説明してきました。 また、日本が吸収源参入のための活動として第一約束期間では選択を見送った「農地管理」や「放牧地管理」については以下のとおりです。
農地管理-Cropland Management-(任意)
「農作物が育てられる土地、および作物生産のためとってある土地または一時的に利用されていない土地での実践方法システム(地球産業文化研究所による決議16/CMP.1 別添(ANNEX)パラ1(g)訳)」をいいます。京都議定書におけるLULUCF活動(土地利用・土地利用変化・及び林業)において、1990年以降に開始されたものに限り、温室効果ガスの吸収源として認められています。
放牧地管理-Grazing Land Management-(任意)
「植生と生産される家畜の量とタイプを操作することを目指した、家畜生産に用いられる土地での実践方法のシステム(地球産業文化研究所による決議16/CMP.1 別添(ANNEX)パラ1(h)訳)」をいいます。こちらも京都議定書におけるLULUCF活動(土地利用・土地利用変化・及び林業)において、1990年以降に開始されたものに限り、温室効果ガスの吸収源として認められています。
第一約束期間における吸収源ルールの問題点
2001年のマラケシュ合意では、追加的な活動として、「森林管理」「放牧地管理」「植生回復」の4つの活動を第一約束期間での利用を国ごとに選択できることになっています。国によって吸収量が膨大となる「森林管理」については各国ごとに利用上限値を設定しましたが、特に吸収源の利用を最大限活用したいがために、強硬な交渉姿勢をとっていた日本・カナダ・ロシアに対しては、例外的に、大幅な吸収量が認められました。数値目標を実質に弱める作用があり、京都議定書最大の「抜け穴」となったと言わざるをえません。
・ 現在の吸収源の課題の一例(1)
3条4は削減目標達成のために「森林管理」を目標達成に各国任意で適用できることを認めていることです。日本は、第一約束期間のうち3.8%を「森林管理」により達成できるため(注4)、基準年の1990年の総排出量からわずか2.2%のみを、CDMを含むエネルギー由来の排出を削減すればよいということになりました。自国内での排出抑制に対する姿勢が格段に弱まってしまうという弊害を生みました。3条4項活動は任意であるため「森林管理」が純吸収源になる国は、この活動を選択し、純排出源になる国は「森林管理」を選択しないという、本来の森林管理の排出を評価しない不公正なルールになってしまいました。
・ 現在の吸収源の課題の一例(2)
3条3で森林劣化の定義が不足しており、+3条4項が任意適用であるという現在の京都議定書は問題です。森林の定義は「面積0.05~1.0ha以上、樹冠率10~30%以上、樹高2~5m以上の土地と定義されています。伐採や災害により一時的にこの条件を満たさなくなった土地でも、森林に戻ることが期待されていれば森林とする」と定められています。もともと森林の炭素機能に焦点が当てられた森林定義には、天然林と人工林の区別がなく生物多様性の価値が軽視されています。また、実際の森林減少・劣化が3条3の「森林減少」のカテゴリーに入らず、また3条4の「森林管理」活動は任意であるため、これを選択していない場合は、京都議定書の下では、実際の森林減少・劣化による排出が計上されていないという問題を抱えています。
・ 現在の吸収源の課題の一例(3)
3条7では、1990年にLULUCF分野が純排出源となっていた国々については、約束期間の割当量算定に当たって、基準年の排出量に土地利用の変化による排出量を追加することを認めています。つまり、基準年の排出量にはLULUCF分野は含まないとしながら、LULUCF分野が純排出の国については特別にこれを基準年に含めることを許可することによって、例えばオーストラリアなど、基準年付近の森林減少量が約束期間の森林減少量よりも大きかった国は、基準年から約束期間にかけて森林減少が減った分、実質的なエネルギー起源の排出削減努力を行わなくても全体で見ると削減したことになてしまっています。このルールによりオーストラリアのエネルギー起源の排出削減努力が実質的に弱められてしまっています。
京都議定書における「吸収源活動」という目標達成ツールは、以下の吸収源交渉の経緯での説明の通り、妥協の産物として生まれたという背景もあります。現在のような吸収源の課題が次期枠組みにて再発することのないよう、注意深くルール作りを見ていく必要があります。
(注4)EU,途上国が譲歩し、日本の3.9%(当時)は上限や割引率がほとんど適用されることなく認められてしまった
吸収源交渉の経緯
吸収源の取り扱いは議定書交渉の中で最も解決が難しい問題でした。京都会議COP3の前には、吸収源についての各国の考え方は大きく二つに分かれていました。少なくとも第一約束期間には吸収源は含めるべきでないと主張したのがEU、日本、途上国など過半数の国で、含めるべきとしたのが米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどです。中国とブラジルを筆頭にした非付属書Ⅰ国(途上国)は、吸収源を含めることに強力に反対しました。削減目標は明確で透明性がありはっきりと同定させる必要があり、吸収源を含めることはそうした意図を覆す可能性に繋がるという理由からでした。
しかし「吸収源に関する問題を決着れば、交渉担当者はそれぞれの数値目標を具体的に計算できるため、数値目標に関する交渉を前に進めることができる」という戦略に影響されたせいか、交渉はEUの立場の変化等から徐々に一定の吸収源活動を受け入れる方向に動いていき、COP3で京都議定書に吸収源活動を含めることが決まりました。
日本政府はCOP3においてはEUとともに吸収源活動を含めないポジションでした。しかし、COP3以降、日本は周知の通り自国の排出削減目標達成のために、吸収源活動に大きく依存することになります。山形・石井(2001)は政治的にアピールできる野心的な数値目標を掲げるためにも、また、議定書を批准可能にするためにも、吸収源の導入が必要であるとの認識がCOP3からCOP6までに大勢を占めたことを示唆しています。京都議定書採択時には、3条3と3条4についての計算方法の詳細は決まっていませんでした。計算次第では、目標排出量を大幅に変えることができることから、吸収量の変化の算定方法がCOP3以降の重要な検討課題になりました。
COP6では吸収源の取り扱いをめぐるEUとアンブレラグループ(注5)の対立がCOP6の決裂の原因の一つとなりました。EUなど実質的な排出削減を最重視する国々は、3条4の活動の吸収量を認めることに以下の理由から強い懸念をしめしました。
① 大きな森林を持つ米国等は吸収量が数値目標に比べ過大になってしまうこと、
② 森林における吸収が一時的なものであり、長期的には固定された炭素が再び排出されるリスクが高いこと
一方で、川島・山形(2000)によれば、米国、日本、カナダ、オーストラリアにとっては第一約束期間から3条4の吸収量を算定することが、議定書批准のための前提条件となっており、3条4の吸収量を十分に確保することが極めて重要であるという政治判断があり、政治的に妥協できない状況となっていました。COP6の最終日の深夜から早朝にかけての交渉を経ても議論は対立したままで、結局交渉は決裂しました。この決裂の数ヵ月後、米国が京都議定書からの離脱を表明しました。
COP6は決裂しましたが、非公式な交渉は引き続き行われました。各国は(森林)吸収源活動による排出削減量がどの程度化石燃料由来の排出削減分の代替として用いられるか(吸収源活動の吸収量の算入上限値)が議論の焦点となりました。COP6の決裂から半年後に行われたCOP6再会合の結果、3条4の対象活動の種類と、算入上限値はEUと途上国が譲歩し、日本、カナダ、オーストラリア、ロシアの提案がほぼそのまま採択されました。EUや途上国が譲歩せざるを得なかった理由の一つに、議定書の発効条件がありました。議定書を批准した附属書I国の1990年の二酸化炭素排出量の合計が、全附属書I国の55%以上に達するという条件があったため、(米国が議定書を離脱した中で)日本を含めたアンブレラグループの批准が必要でした。
こうしてCOP6再会合での合意(ボン合意)から半年後のCOP7において、吸収源活動の細則も定めた「マラケシュ合意」が採択されました。3条3の下では「新規植林」「再植林」の吸収量の計上と「森林減少による炭素排出の計上」が義務づけられ、3条4の下で「森林管理」、「放牧地管理」、「農地管理」、「植生回復」の中から吸収源活動を各国が選択可能とされ、裁量が認められるかたちで収斂することになりました。この3条4の4つの活動のうち、日本は「森林経営」と「植生回復」の活動を吸収源活動として選択することとなります。
(注5)アイスランド、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、ノルウェー、ロシア、ウクライナおよび日本の9カ国。ここでは特に米国、日本、カナダ、オーストラリアが主体
参考資料
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・石井 敦、山形 与志樹「京都議定書における吸収源: ボン合意とその政策的含意」
https://www-cger.nies.go.jp/publication/D029/D029.pdf
・大矢 釼治「CDM森林プロジェクトと農村生活向上戦略」『名古屋産業大学論集』(4)pp.83-91 2004年
・気候ネットワーク「よくわかる地球温暖化問題 新版」中央法規 2009年4月
・小林 紀之『温暖化と森林 地球益を守る-世界と地域の持続可能ビジョン』日本林業調査会 2008年
・高村 ゆかり、亀山 康子「京都議定書の国際制度―地球温暖化交渉の到達点」信山社出版 2002年
・滑志田 隆「地球温暖化問題と森林行政の転換」論創社 2007年12月
・S.オーバーテュアー、H.E.オット『京都議定書~21世紀の国際気候政策~』2001年
・川島康子、山形 与志樹「気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)の概要」2001年
https://www-cger.nies.go.jp/cger-j/c-news/series/cop/cop6.pdf
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・環境省「京都議定書3 条3 及び4 の下でのLULUCF 活動の補足情報に関する報告書」
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/hosoku/KP-NIR_J-1.pdf
・環境省「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/kpeng_j.pdf
・環境庁「気候変動に関する国際連合枠組条約京都議定書(和文)」環境庁地球温暖化対策研究会暫定訳-
https://www.env.go.jp/earth/cop3/kaigi/kyoto01.html
・(独)森林総合研究所 「ロードマップ(道案内解説書)新規植林/再植林クリーン開発メカニズムAfforestation/Reforestation Clean Development Mechanism(A/R CDM)」https://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/cdm/roadmap.pdf
・(財)地球産業文化研究所-
「政策立案者向け要約 ~土地利用、土地利用の変化、林業~気候変動に関する政府間パネルの特別報告書」
https://www.gispri.or.jp/kankyo/ipcc/pdf/srlulucf.pdf
・林野庁 「京都議定書での森林吸収の考え方」
https://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/ondanka/b-2.html
・林野庁 「森林吸収源対策について」
https://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h19-2gatu/rinseisin/0205s5.pdf
・林野庁 「地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策」
https://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/ondanka/10kanen.html
・農林水産省農林水産技術会議「地球温暖化の防止に関わる森林の機能」農林水産研究開発レポートNo.8(2003)
https://www.s.affrc.go.jp/docs/report/report8/1.pdf
・財団法人 地球産業文化研究所決定 「11/CP.7 土地利用、土地利用の変化、林業 仮訳」
www.gispri.or.jp/kankyo/unfccc/pdf/cop7_11.pdf