現地レポート
緑化活動、来年の準備へ
今年の緑化作業は夏でひと区切り、秋からは来年の準備に入ります。10月下旬、農民が収穫作業を終えるころ、来年の活動を相談に現地へ出かけました。
活動地でも目立つマツの緑 (南ガラタシ村) |
道路沿いのポプラはほとんどが葉を落とし、細い枝をすっと伸ばした姿でした。場所によっては葉をつけた一群もあり、黄色が空色に映えます。たまに見かけるマツの緑は、色彩の薄いこの季節、とくに目に飛び込んできました。
村に入ると、ちいさな荷台に刈り取ったトウモロコシを、それの何倍もの高さにまで積み上げたトラクターがよたよたと走っていきます。今年は雨が多く、たくさん収穫できたようです。
家庭農牧場、新たな支援先へ
来年の活動に向けて、活動地のダチンノール村やヤミンアイリ村をはじめ、家庭農牧場支援を希望しているいくつかの場所を訪れました。家庭支援は、ずっと応援を続けているマンハン地区を中心に計画し、現場を見て回りました。
村落から少し離れると 白い砂漠が広がっていた |
さらさらの砂に大きな砂丘、草はわずかにシャーミー(砂漠に最初に生える草)があるぐらいです。移動の際はジープが何度となく砂にはまりました。砂丘を越えるのにひと苦労、途中で止まってはバックしてやり直し、次は角度を変えて駆け上がり、あと少しのところでまたストップ、といった具合でした。
まだこういう場所があるのかと驚きました。近年は、地元政府による放牧制限や土地政策が進み、どこへ行っても「緑が増えた」と感じていたのです。周辺の緑化地のように緑を取り戻してほしいです。マンハンでは、2家族や3家族共同で緑化する計画の5カ所を応援する予定です。
☆家庭農牧場募金(来年支援分)は2月まで受け付けています
>詳細はこちら >家庭農牧場レポート
「緑守る対策を」――地方政府に提案
こちらで活動を始めて11年目になります。活動地は14の村に広がり、それぞれで緑の回復が見られ、共通する課題も見つかりました。そこで今回は、庫倫旗と科左後旗の2つの旗政府(*)を訪問し、これまでの活動を報告しました。
緑化の経過を説明するスタッフ(右) |
苗木が育ち、草が回復していく様子、家畜に苗木や草を食べられた跡、ポプラを伐採した後に萌芽更新させて育てているところ、家畜が入って萌芽した芽まで食べられてしまった場所――さまざまな場面を写真でまとめた資料を見てもらい、緑化の経過と課題を知らせました。
政府でも以前から放牧制限などの砂漠化防止策を実施しており、私たちの活動と課題をよく理解してくれました。
現地では緑化の動きが広まる一方、生活のために緑の利用は欠かせません。砂漠に逆戻りさせないためのしくみがあるといいのでは?活動を通して考えていたことも提案しました。
生活困窮者は家畜のえさを補助できないか、伐採しても繰り返し育てる指導を、緑化の技術を持った住民から学ぶ場をつくれないか、木を伐採して使う事業者が木を育てるしくみはどうか・・などです。
「提案は政府の考えていることとよく似ています」、科左後旗の方が丁寧に説明してくれました。「これから具体的な対策を作っていきます。現場で感じたことをまた教えてください」。
11月に入ると外の空気は日に日に冷たくなり、冬の気配を感じます。真冬はマイナス20℃にもなるというから大変です。緑化作業は凍った地面が融ける4月上旬頃に始まります。それまでに、資材の調達や最終調整をして、また住民と地元政府と連携して活動を進めていきます。
*)旗=日本でいう「市」にあたる。緑化活動は、地元政府(村の上の行政区「ガチャ」あるいは「鎮」)と連携して進めている。旗は鎮の上の行政区分。