COP19・CMP9(ポーランド・ワルシャワ会合)
COP19ワルシャワ会合を終えて
先進国は2020年削減目標を即時強化すべき
FoEJapanブリーフィング
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ワルシャワで開かれていた国連気候変動枠組条約会合(COP19)と京都議定書締約国会合(CMP9)は、一日延長し23日土曜夜に閉幕しました。ポスト2020体制を決める2015年の合意に向けた将来枠組交渉の通過点として、将来枠組みの構成や次期目標提出のタイムテーブルを決めることが期待されていましたが、
構成案は削除され各国目標の提出時期の詳細も明らかにならずに終わりました。
現在の先進国の低い2020年削減目標と、増大する途上国ニーズへの支援拡大を拒む先進国の姿勢とが問われています。
日本は、削減から一転して排出量増加目標を出し、先進国の低い2020年の削減目標をさらに弱めました。また会合前は資金COPとよばれ途上国支援強化が会合のテーマにあげられていましたが、政権交代で温暖化対策が反転したオーストラリアの途上国支援拒否と受け取れる姿勢やアメリカを中心に先進国が支援体制強化に合意せず、それに対しフィリピンの巨大台風にみられるような異常気象と被害拡大に危機感を持つ途上国が新興国を中心に結束しました。
先進国は3年前のカンクン合意で途上国に新規の報告義務を課し、2020目標で先進国を大きく上回る削減量を打ち出している途上国にさらに削減義務を負うよう求めていますが、新たに設置された緑気候基金など支援機関はまだ準備中か活動を始めたばかりで、資金が流れ始めるのも2014年末と見られています。
日本は会合期間中に160億ドルの2年間の支援を約束しEUも同様の拠出表明をしましたが途上国側の不信を和らげるには至りませんでした。現在出されている削減目標では合意された目標の今世紀末2℃未満を大きく上回ることになるため、日本をはじめ先進国の国内対策の強化が求められています。
ワルシャワ会合ではカンクン合意の中核である各国の新規報告義務の詳細ルールが固まり、一連の熱帯林の減少や劣化への対策(ワルシャワREDDプラスフレームワーク)に合意し本格的に資金を出す準備が整いましたが、後者では先住民の権利を侵害する可能性や将来大規模なオフセット事業となることが懸
念されます。
資金支援ではカンクンで合意に盛り込まれた2020年までに年間1000億ドルの追加支援の引き上げを達成するための作業部会の設置、ロードマップの作成を途上国は求めましたが先進国側が応じず、作業計画は打ち切られ資金に関し隔年の閣僚が話し合う場を設けるに留まりました。
また日本の二国間クレジットなど日欧が押し進める国際オフセット市場づくりの交渉は、あまりに低い先進国の国内削減努力をさらに弱めることになるため途上国の多くが反発し、交渉は来年に持ち越されることになりました。
フィリピンや小島諸島の国々などとりわけ脆弱な途上国が求めていた、気温や海面の上昇に伴って起きる長期的かつ不可逆な損失や損害に対応する国際機関の設置は本会合のもう一つの主要論点でした。アメリカが最後まで反対をしましたが損失と損害のためのワルシャワ国際メカニズムが採択されました。これ
は従来の適応対策の枠を踏み出すものですが執行委員会の下に実効ある体制を持てるかどうかは今後の交渉に委ねられています。