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サハリン石油・天然ガス開発事業
――ある日、あなたが買い物に行ったら、サランラップが品切れになっていました。
向かい側の棚にはお弁当箱があるはずなのにそちらも品切れになっています。
その後、精肉を見に行くとなんと肉が並んでいません。
トレーが切れているため家から容器を持ってきてほしいと言われてしまいました。 ――――
このようなことが、実際に将来起こってもおかしくないのです。原因は何でしょうか?
私たちのいちばん身近にあるエネルギー資源、石油の枯渇です。
私たちはクリーンなエネルギーを求めつつも、生活の大きな部分を石油・天然ガスに依存しています。
いまの私たちの消費社会を維持するために、化石燃料開発を続けていることも事実です。
その開発の一つにサハリンでの石油・天然ガス開発事業があります。この開発が、現地の環境や社会にどんな影響をもたらすのか、そして私たちとどんなつながりがあるのか、皆さんも考えてみてください。
サハリン開発と日本
日本は長年、石油総輸入量の9割近くを中東に頼ってきましたが、エネルギー安全保障や安定確保の観点から、エネルギー供給国の多様化や自主開発に取り組んできました。その一環として、サハリン石油・ガス開発があります。9つの開発計画があり、そのうち開発が最も進んでいるのがサハリン1・2です。
サハリン1・2では開発を担う事業者、融資機関、輸出先のいずれにも日本が深く関わっています。また国際協力銀行、日本貿易保険、欧州復興開発銀行など、公的融資機関による資金支援が行われています。
大規模な資源開発は、開発地域や周辺の環境に大きな影響を与えるため、慎重さと正確さをもって進めなければなりません。しかしこれらの事業では、その配慮を欠いたまま進められてしまったこともありました。
絶滅危惧種のコククジラ |
例えば次のような問題がありました。
-希少な野生生物や生態系への影響を回避・最小化できる計画
ではなかった
-策定された計画が適切に実施されなかった
-事業の初期段階から、日本の市民を含むステークホルダーとの
開かれた対話が不十分だった
環境への負担を最小限に
これまで、人間の生活を最優先にして開発行為が進められてきました。でも、サハリンやオホーツク海の豊かな自然が傷ついてしまったら・・・。私たちが払う代償はあまりにも大きいかもしれません。
日本に深く関わる開発だからこそ、環境への負担を最小限に、そして影響を受ける住民の声が開発計画に反映されるように、というのが私たちの願いでした。
サハリンの自然が十分に守られるように、事業者が市民と対話を進めていくこと、そしてサハリン3以降の開発を見据えたサハリン全体の生物多様性保全対策ができることが重要だと考えます。