第31回勉強会(2009年7月30日) |
今問われる、ドイツの脱・原発政策
報告:澤井正子さん (原子力資料情報室)
2000年、ドイツは国策として「脱原発」を決め、政府と電力業界は原発の新規建設・操業を禁止し、既存原子炉も段階的に廃止することに合意しました。そして2002年の改正原子力法により、この合意は成文化されました。背景には、社会民主党と緑の党の連立による前政権の政治的意思に加え、重大な事故が起こる危険性の高さから原発に反対した国民の強い意思がありました。
このドイツの脱原発政策は、今年9月末の総選挙を前に岐路を迎えています。
地球温暖化対策などで、原発の見直し機運が世界的にみられる中、電力会社や右派政党から、ドイツの「孤立」を訴える声が上がっているのです。しかし、連邦環境省の世論調査では、依然として国民の約3分の2が、脱原発政策の継続を求めています。
今回は、こうしたドイツの状況と、それに対比した日本の現状について、原子力資料情報室の澤井正子さんに、お話しいただき、活発な議論を行いました。
またFoE Japanから、BUND(FoEドイツ)の原発関係の活動を紹介しました。
- 環境ドイツ語キーワード 「Atomkraft」 (原子力発電)
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第30回勉強会(2009年1月30日) |
自治体が取り組む温暖化防止戦略~日独のベンチマーク研究から
報告:竹内恒夫さん (名古屋大学大学院 環境学研究科 教授)
07年8月、ドイツ連邦政府は、温室効果ガス排出量を2020年までに40%
削減すると、政策と対策からなる野心的な目標を決定しました。しかし、この目標は、ドイツ連邦政府の取組みだけで達成できるものではありません。
連邦政府は、技術開発やその技術の普及を促進させるための投資政策を行います。
一方で、ドイツの自治体は、交通部門、建築部門、エネルギー部門など、 地域において発生する温室効果ガスの排出量を削減できる様々な可能性をもっており、ここ数年で気候政策の方針を定め実行に移す自治体が増えてきました。
そこで、こうした自治体の気候政策を、G8加盟国の中でも特に力を持つ、また温室効果ガスの排出に責任を持つ産業国である日本、ドイツ、アメリカで研究開発・交流して進めていく「日独米気候政策自治体パートナーシッププロジェクト」が2007年から始まりました。参加自
治体相互の理解を深め地域の気候政策の成果を評価するためのベンチマーク(指標)開発などを進め、現在は日独米の約60の自治体が参加しています。
今回は、日本側の実施機関である名古屋大学の竹内恒夫先生より、お話を伺い、各自治体の取組みから学び、日本の自治体の気候政策強化に求められる方策を探りました。
>日独米気候政策自治体パートナーシッププロジェクトについて
環境ドイツ語キーワード 「Kommunaler
Klimashutz」 (自治体)
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第29回勉強会(2008年7月25日) |
持続可能なまちづくりに向けて~ ドイツの環境首都コンテスト
報告:山口美奈子さん (ドイツ オルデンブルク大学卒)
日本でも「環境のまちづくり」に取り組む多くの自治体からモデルとして注目されるドイツの「環境首都」。
これらの環境首都は、どのような取組みを行い、その称号を得たのでしょうか?
1989年から1998年までドイツでは、ドイツ環境支援(Deutsche Umwelthilfe)という環境組織が主体となり市町村を対象に「自然・環境保護の連邦首都(環境首都)」を選出するコンテストを行っていました。
2001年からは、環境だけでない「持続可能性」に注目した「持続可能な都市コンテスト」が3回実施され、その後現在は気候政策、自然保護など分野ごとに自治体の取組みを評価するコンテストが行われています。
今回は、ミュンスター、エッカーンフェルデ、フライブルク、ハムなど、90年代、コンテストで環境首都となった都市の取組みを映像で紹介するとともに、その後、より「持続可能性」に重点をおいて実施されたコンテストの内容や成果を、現地で調査してきた山口さんに報告いただきました。
またあわせて、ドイツのコンテストを参考に2001年から実施されている日本の「環境首都コンテスト」についてもご紹介しました。
環境ドイツ語キーワード 「Kommune」 (自治体) |
第28回勉強会(2008年6月25日) |
ドイツの野心的な気候変動政策~2020年に40%削減「統合エネルギー・気候プログラム」
報告:アドリアン・ニチェさん (在日ドイツ大使館 経済・環境担当 一等書記官)
京都議定書第一約束期間に入りましたが、抜本的な対策がとられず目標達成が危ぶまれる日本。
一方で欧州各国は、科学の警告に基づく長期的視野に立った排出削減目標を設定し、その達成に向けて、経済的インセンティブを用いた効果的な排出削減を進めています。
ドイツでは、環境税や再生可能エネルギーの固定価格買取り制度が機能し、温室効果ガスの削減は着実に進んでいますが、さらに2007年8月には、2020年までに1990年比で40%削減する目標を発表しました。同12月には目標達成のための具体的な施策のパッケージである「統合エネルギー・気候プログラム」を閣議決定しました。
今回は、ドイツ政府の立場から、この気候・エネルギー政策パッケージを中心に、ドイツの野心的な気候変動政策の内容やビジョンについて伺います。
環境対策を一つのチャンスとしてとらえ、具体的なしくみづくりに向けて動いているドイツ。そこに日本の気候変動政策への示唆として、気候政策・環境政策を、人間活動の根幹に関わる最優先で取り組むべき課題と見据え、経済的なプラスも生み出しつつ進めようとしているドイツの姿勢を伺いました。
環境ドイツ語キーワード 「Klimaschutz」 (気候保護)
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第27回勉強会(2007年11月9日) |
「環境法における市民参加と環境団体訴訟」
報告:大久保規子さん (大阪大学大学院法学研究科教授)
ドイツでは、各種の開発計画・事業に伴う環境破壊を防止し、その影響を緩和するため、
市民やNGOの参加が大きな役割を果たしています。特に自然保護の分野では、一定のNGOに、20年以上前から特別の参加権が保障され、自然の代理人として、自然を守るために訴訟を起こす権利も認められてきました。
その中には、BUND、NABU等、数10万の会員を有する大きなNGOもあり、多くのボランティアが環境保全活動を行うとともに、水や廃棄物の専門家、法律の専門家等が常勤スタッフとして働いています。
これらのNGOは、外部の専門家の協力も得ながら年間何百もの意見書を作成し、訴訟でも高い勝訴率を維持し、法律違反行為の予防と是正に寄与しています。これら長年の活動実績を踏まえ、最近の法改正では、従来よりも幅広く団体訴訟が認められるようになりました。
今回の勉強会では、ドイツの制度の最新動向や事例を紹介いただきながら、日本の制度と比較し、考えました。参加者の関心も高く、充実した議論がなされました。
環境ドイツ語キーワード 「Das Gericht」 (裁判)
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第26回勉強会(2007年9月29日) |
気候政策ボードゲーム「KEEP COOL」~体験ワークショップ
報告:加藤太一さん (東京大学大学院博士課程 / 中部温暖化対策学習会)
ドイツでは、様々なボードゲームが環境教育に使用されています。中でも「KEEP COOL」は、気候変動政策に関する国際間交渉を模擬したボードゲームで、ドイツ国内の学校でも広く活用されるなど最も成功している環境教育ツールの1つです。
プレーヤーは世界6つの国・地域に分かれ、それぞれ自分の国・地域の経済発展と世界全体の情勢とのバランスをみながらゲームを進めます。
地球全体の平均気温の上下によって地域ごとの気候変動影響も考慮しなければならず、プレーヤー同士で自由度の高い様々な交渉を繰り広げることができます。
ゲームの説明を伺ったあと、2つのグループに分かれて実際にゲームをやってみました。上手に各国の協力を得ながら自らの目標を達成して勝利するケースもあれば、気候変動が進みすぎて勝者なしでゲームオーバー(地球破滅)寸前のケースも見られました。
国際交渉を疑似体験しながら気候変動について考える「KEEP COOL」の面白さを実感できたひとときでした。
環境ドイツ語キーワード 「Spiel」 (ゲーム)
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第25回勉強会(2007年8月7日) |
「子どもたちのまちづくり~ミニ・ミュンヘン」
報告:卯月盛夫さん (早稲田大学教授、建築家、都市プランナー)
※ミニ・ミュンヘン研究会
「ミニ・ミュンヘン」は、8月の3週間だけ存在し、7歳から15歳の子どもたちだけで運営する「子どものまち」。市民権を得た子どもたちは、自分のやりたい仕事を探し、働き、「ミミュ」というお金をもらい、好きなことに使います。
大人のまちと同じように、デパート、食堂、新聞社、市役所、裁判所などあらゆる職場があります。
市長や議員の選挙もあり、自分たちで法律もつくります。ときには行政の方針に反対するデモ行進も発生します。
ミュンヘンで始まり、20年の歴史を持つ「子どものまち」は、ドイツ国内や欧州の40以上の都市で開催されています。子どもの自治、まちづくり、地域通貨など様々な面から注目され、日本でも各地で広がりを見せています。「ミニ・ミュンヘン」の魅力の中に「環境先進国ドイツ」の根底にある「ひとづくり」のあり方を伺うことができました。
環境ドイツ語キーワード 「Kinderspielstadt」 (子どもたちの遊びのまち)
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第24回勉強会(2007年3月9日) |
「ドイツの自然保護」
報告: 勝井 明憲さん (東海大学 NPO法人浮島沼自然・里つくりの会)
ドイツ人と日本人における自然観の違いには、"sein"(存在すること)と "haben"(持つこと)があります。ドイツ人は自然を人間が持つのではなく、自然が存在し、人間がそれを残すことが大切だと考えています。この価値観があるがゆえに、行政も技術・開発を自然保護とのバランスを取れた形で進める方向をとっています。
ポツダム近郊の町ブロドウィンでは、数百の農家のうち、170の農家がこれまでの工業的農法をやめてエコ農業を始めました。デメーターというエコ商品の最高品質を証明するロゴ表示を保持していることも、牧草から製品化まで全て農場内で行い、農場から1km以内の敷地では化学肥料や農薬を禁止する徹底ぶりからも伺えます。ブロドウィンの農作物の多くは大都市ベルリンで販売されています。ベルリンにはエコ食品を愛好する消費者が非常に多く、これが経営に成功している背景ともいえます。
環境政策の舞台がベルリンからEU本部のあるブリュッセルに移り、ドイツへの補助金削減など、ドイツ国内の環境政策も徐々に財政的に厳しくなってきました。その中で、都市開発と環境保護をいかに両立させていくかが、今後の課題といえるでしょう。
環境ドイツ語キーワード 「Naturschutz」 (自然保護)
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第23回勉強会(2006年12月8日) |
「廃棄物最新事情&クリスマス」
報告: 瀬口 亮子 (FoE Japan)
環境ドイツ語キーワード 「Weihnachten」 (クリスマス)
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第22回勉強会(2006年8月4日) |
「グリーンゴール~ドイツW杯の環境対策報告会」
報告: 宮城香織さん(元FIFAホスピタリティ・コンサルタント)
丹羽順子さん(フリージャーナリスト)、
瀬口亮子(FoE Japan)
環境ドイツ語キーワード 「Fußball」 (サッカー)
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第21回勉強会(2005年12月7日) |
『スモール・イズ・ビューティフル』とシューマッハー~ドイツ生まれのやさしい環境経済学&ドイツのクリスマス
講師: 尾関 修 さん (横浜商科大学教授)
環境ドイツ語キーワード 「Umweltwirtschaft」 (環境経済)
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第20回勉強会(2005年11月17日) |
「ドイツの持続可能な暮らしと社会」ポスター展とトークイベント
講師: ハインリヒ・フッベさん (在日ドイツ大使館 科学技術環境担当)
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第19回勉強会(2005年10月19日) |
「ドイツの環境税 ~環境税制改革による社会構造の変革を~ 」
講師: 足立 治郎 さん (「環境・持続社会」研究センター事務局長)
- 環境ドイツ語キーワード 「Die Oekosteuer」 (環境税)
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第18回勉強会(2005年7月5日) |
「BUNDjugendがやってきた!」
講師: Peter Weise(BUNDjugend 環境教育カウンセラー)
Susann Scherbarth(BUNDjugend スポークスウーマン)
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第17回勉強会(2005年1月25日) |
「ドイツのマスメディアと環境問題」
講師: ベルント・ヴァイラー氏(DIE WELT 極東特派員)
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第16回勉強会(2004年12月15日) |
「日独環境比較~在日ドイツ大使館員が見た日本人の環境意識&ドイツのクリスマス~」
講師: ハインリヒ・フッベさん (在日ドイツ大使館 科学技術環境担当)
環境ドイツ語キーワード |
第15回勉強会(2004年10月22日) |
「ドイツ人の環境配慮型の旅のスタイルとそれを支える交通システム~ドイツビールを楽しむオクトーバーフェスト」
講師: 瀬口 亮子、染谷 有美子(FoE Japan)
環境ドイツ語キーワード 「Das Reisen」 (旅行)
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第14回勉強会(2004年7月23日) |
「自然エネルギー2004国際会議とドイツのエネルギー政策~持続可能なエネルギー社会へ向けての努力~」
講師: 大林ミカさん(環境エネルギー政策研究所副所長)
報告: 小野寺ゆうり(FoE Japan 気候変動・エネルギープログラム)
環境ドイツ語キーワード 「Die Energie」 (エネルギー)
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第13回勉強会(2004年6月26日) |
「ドイツのエコ建築~人と環境との関係づくり・環境共生住宅の実例を見る~」
講師: 岩村和夫さん(建築家・岩村アトリエ代表)
環境ドイツ語キーワード 「Der Bau」 (建築)
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第12回勉強会(2004年4月23日) |
「緑の党と環境政策~環境市民運動から生まれた政党の成長と影響」
講師: 今本秀爾さん(エコロ・ジャパン代表)
緑の党(緑の人々)は、70年代、西ヨーロッパ、オセアニアなどで誕生した脱・物質主義を志す「オルタナティブな」政党で、現在では世界70カ国以上に存在し、国際的な政治勢力となっています。
ドイツ緑の党は、70年代後半、自然保護運動や反原発運動の高まりの中で、各地で既存の政治に不満を抱く人々によってその前身が結成されました。脱原発、環境保護などの「エコロジー」、女性やマイノリティの人権のための「社会的公正」、住民投票、情報公開などによる「底辺民主主義」、そして「非暴力」の4つの共通原則に基づき、長期的展望による政策の実現をめざしています。
権力の集中を排除するための、共同代表、ローテーション制をとり、うち半数以上を女性を登用する組織体制、カジュアルな服装やロックコンサートによるキャンペーンなど、若者を惹きつけ、80年代以降国政でも躍進しました。原理派と現実派の対立も経て、98年より社会民主党との連立政権を担うまでになり、現在、外務、環境、消費者保護・農業の3閣僚を輩出しています。緑の党が、ドイツの政策に与えた最も大きな影響は、やはり、脱・原発と再生可能エネルギへの転換です。また、各種環境税の導入とそれを年金保険料に充当する政策、廃棄物抑制のための経済的手段の導入なども、緑の党があってこその政策です。
日本でこのような政党が生まれ、育つためには、まず、市民の環境意識、市民運動を支える基盤、国民の政治参加意識が育たなければなりません。また、現在の選挙制度では、少数意見が反映されにくいという問題もあります。しかし、「緑の政治」を志す地方議員のネットワークづくりや、市民による「緑のマニフェスト」づくりなどの試みは始まっています。
環境ドイツ語キーワード 「Die Gruenen」 (緑の党)
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第11回勉強会(2004年3月31日) |
「ドイツの環境研究所~持続可能な社会経済に向けた国民のための研究機関」
講師: 手塚 智子さん (太陽光発電所ネットワーク)
「ファクター4」の著者ワイツゼッカー博士を中心に設立されたヴッパタール研究所は、ドイツの気候変動、再生可能エネルギー政策に多大な影響を与えています。
フライブルクで、反原発の市民運動から生まれたエコ研究所も、ドイツの脱・原発政策に大きな影響を与えました。
また、ハイデルベルクのイフォイ研究所は、最近では、その飲料容器のLCA比較調査により、昨年から始まった缶のデポジット制に影響を与えています。
これらの研究所の特長は、「独立性が高い」「社会的責任感を担っている」「市民と行政の橋渡しの役割を果たしている」といった点です。
また、いずれも、情報公開が非常に進んでおり、その研究成果を誰でもインターネットで入手できたり、カタログから選んで請求した資料を無料で郵送してもらえます。
こうした研究所が生まれた背景、日本の研究機関との比較など、参加者を交えて話し合いました。
環境ドイツ語キーワード 「Insutitut」 (研究所)
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第10回勉強会(2003年12月19日) |
「ドイツの有機農業とスローライフ~土を愛するドイツ人の時間の過ごし方~」
講師: 鈴木 由紀子さん (有機農業認定機関代表・『ソトコト』ライター)
ドイツは食料自給率ほぼ100%の農業国で、有機農業は現在その4%を占めますが、国は、今後10年で20%にする目標を立てています。
また、州によっては、有機農家が「生態系を守ってくれている」ことに対して補助金を出すなど、有機農業を支援する制度があります。
いわゆる狂牛病(BSE)をきっかけに食の安全への関心が高まり、消費者保護と農業を管轄する省庁がひとつになったことなどがその背景にあります。
ドイツでも有機農業を行う農家は、慣行農法より苦労も多いですが、少なくとも、それを支援する公的な体制は日本より進んでいるようです。
また、農家を借りる休暇や、日本よりはるかに広大な市民農園などで土に触れ、作物を育て、収穫する楽しみをのんびり味わう市民が多く、農業が市民に近い存在であることも、国の農業を支えることと決して無縁ではないでしょう。
環境ドイツ語キーワード 「ökolandbau」 (エコ農業)
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第9回勉強会(2003年11月19日) |
「ドイツの環境行政~環境行政システムと政策決定プロセス」
講師: 永見 靖さん (環境省総合環境政策局環境経済課)
日本の環境省の現役官僚である講師が、ドイツの環境行政について、日本と比較しながら丁寧に解説されました。
「環境先進国」のイメージの強いドイツですが、かつては、日本の公害対策をドイツが参考にしており、ドイツで環境政策が本格化したのは、80年代に入ってからでした。
大きな要因は、森林枯死、チェルノブイリ原発事故で高まった市民の環境に対する危機感でしたが、活発な学生運動やEUとのつながりなど、様々な要因がそれに拍車をかけました。
これを司る行政機関が、それぞれ独立性が高い点、国連の決定を重視する点など政策立案から実施までのプロセスは日本とはかなり異なります。
NGOや緑の党などの政党が大きく成長したことも、政策に重要な影響を与えてきました。
内側から見た日独官僚の比較も興味深く、活発な質疑もおこなわれました。
環境ドイツ語キーワード 「Verwaltung」 (行政)
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第8回勉強会(2003年8月6日) |
Summer Party
ドイツ人研修生ネレのトークを中心にビールを飲みながら日独の環境政策を語り合いました。
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第7回勉強会(2003年6月18日) |
「ドイツの交通政策~環境に配慮した地域交通の事例と仕組み」
講師: 手塚智子さん (FoE Japan ドイツプロジェクト、太陽光発電所ネットワーク事務局スタッフ)
交通政策は、大気汚染、森林枯死などの問題により、従来から環境政策の一部でしたが、90年代からは地球温暖化防止の面から重要度が増しています。京都議定書で90年比マイナス21%を約束したドイツにとって、運輸部門から排出されるCO2削減が鍵を握るからです。
自治体による交通政策の事例として、フライブルク市では都市部への車の乗り入れを規制し、車に代わる交通手段への切り替えのために、路面電車などの公共交通、自転車専用道の整備、乗り換えしやすいシステム、地域定期券導入などの対策をとりました。地域にカーシェアリングのシステムも生まれています。
他の多くの地域でも、運輸連合により、公共交通を利用しやすい運賃ゾーン制が、とられています。
また、ドイツの交通政策に大きな役割を果たしているのが、交通NGOです。
ADFC(ドイツ自転車クラブ)、VCD(ドイツ交通クラブ)、BUNDなどは、キャンペーンや研究・提言活動をおこない、ときには、鉄道会社等とパートナーシップを組みながらドイツの交通政策に影響を与えています。
法律によって、市民参加が保証されていることにより、様々な利害関係がからむ交通問題を、「持続可能な社会の形成に向けた交通」にしていく努力がなされているのです。
ネレのドイツのくらし 「ドイツ人の仕事と休暇」
- 環境ドイツ語キーワード 「Verkehr」 (交通)
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第6回勉強会(2003年5月21日) |
「エネルギーの地域自治~100%自然エネルギーの市民電力会社ができるまで」
講師: 山崎求博さん(NPO法人 足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ 事務局長)
ドイツ南西部、黒い森の中にあるシェーナウは、人口2500人の静かな町です。
この町が、ドイツ中の注目を浴びることになったのは、市民が2回にわたる住民投票の末に、巨大な電力供給会社との契約を打ち切り、その配電網を買い取って、市民立の自然エネルギー100%の電力供給会社をたちあげたからです。
これは、チェルノブイリ原発事故をきっかけとした省エネの運動から始まり、巨大な権力に対しても粘り強く運動してきた市民が勝ち取った「エネルギーの自治」なのです。
1998年の電力自由化は、電気の安売り合戦を引き起こしましたが、一方では、自然エネルギー100%の会社を選ぶことも可能にし、シェーナウ電力は、ドイツ中に顧客を持ち、成長しています。
それでは、日本の私たちに、何ができるのでしょう。電気を使う総量を減らし(省エネ)、自然エネルギーの割合を増やすことにより、日本でも、原発に頼らないエネルギーシフトは可能、そのために、できることはたくさんあります。省エネというと、がまんを強いられるようなイメージがありますが、今の電気製品は、10年前に比べて、電力消費量が何分の1という省エネのものが多く、買い替えの際にこうしたものに買うだけでも、大きな効果があります。また、ほんとに電気を使っているのは、どこなのか、など、正しく見極める目をもつことも大切です。
ネレのドイツのくらし 「ドイツ人とお金」
- 環境ドイツ語キーワード 「Burgerbeteiligung」 (市民参加)
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第5回勉強会(2003年4月23日) |
「ドイツの環境教育・学校編」
講師: 鈴木 由紀子さん (「ソトコト」他フリーライター)
いったい、ドイツ人の環境意識はどうやって育まれているのか、その1つの鍵は、やはり、環境教育にあると言ってよいでしょう。
ドイツは州ごとに定められた学校法があり、その中で環境教育を行うことが言及されていますが、その実施方法は、地域、学校によって様々です。
スライドを見ながら、幼稚園、小学校、中学校それぞれでどんなことが行われているのか事例を見ながらお話いただきました。
「環境」という教科があるわけではなく、学校にあがる前には 父母に向けて、環境にやさしい文房具を推奨するパンフレットが渡されるなど、まず、学校生活自体を環境にやさしくすることが大切にされています。
また、中学校では、企業が行うような環境監査を、学校で生徒自身が行うことにより、生活と環境の因果関係を認識し、成果を確認するという効果をあげていう事例が紹介されました。
現在、日本でも環境教育促進の法律を定めようという動きがありますが、教科として教え、成績をつける対象とするのではなく、学校生活を通して、環境に対する行動を身につけさせるドイツのやり方には、学ぶところが大きいのではないでしょうか。
ネレのドイツのくらし 「ドイツの買い物」
- 環境ドイツ語キーワード 「Umwelterziehung/bildung」(環境教育)
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第4回勉強会(2003年3月26日) |
「ドイツの若者はどんな行動しているの?
~ BUND青年部 ヘンリケ・ヴェゲナーさんを迎えて ~」
FoEのメンバーでもあるドイツ最大の環境団体BUND(ドイツ環境自然保護連盟)には、25歳以下の若者たちが組織する青年部(BUNDJugend)があります。
青年部は、BUND本部とは別に、若者ならではのユニークな活動を展開しています。 来日中のヘンリケさんに、その活動内容とドイツの若者の環境問題に対する考え方や行動について伺いました。
二酸化炭素削減で政府に賭けを挑んだり、ワールドカップにあわせて少年サッカーチームに環境への努力を競わせたり、自由な発想で人々の関心を集め、社会的な影響をも与えています。
「目標は高く掲げても、まずはとにかくできることからやってみるという姿勢が大事。 夢中でやっているうちに、とてつもなく大きいことを成し遂げていて、自分たちが成長していることに気づく」という言葉が印象的でした。
日本で活動している私たちも、刺激されるアイデアとエネルギーをたくさんもらいました。 |
第3回勉強会(2003年2月19日) |
「ドイツのエネルギー政策 ~ 自然エネルギーの成長から脱原発に至るまで」
講師: 山崎 求博さん(NPO足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ副代表理事・事務局長)
ドイツの自然エネルギーは、2000年に全電力の7%を賄うまでに成長しており、2050年までには50%を達成する見込みです。
その大きな要因は、2000年に施行された再生可能エネルギー法の影響で、特に太陽光については、早く導入すればするほど高く買い取られるインセンティブが功を奏しています。
そして、2001年には、脱原発法案が可決されました。
こうした戦略をとっているドイツのエネルギー政策を動かしてきた原動力には、チェルノブイリ原発事故をきっかけにより大きく広まった市民運動がありました。
そして、社会民主党と緑の党が政権をとったことで、これを一気に推進させる政策が実現したのです。 今後政権が変わって、多少の揺れがあったとしても、決して逆戻りすることはないだろう、というのが彼ら自身の考えのようです。
東電の事故で原発が止まっている今の日本、変化のきっかけをつくることができるか、私たちにできることは何か、会場からもたくさんの声が出ました。
・ネレのドイツのくらし 「ドイツの学校」
・環境ドイツ語キーワード 「Energie」 (エネルギー) |
第2回勉強会(2003年1月22日) |
「ドイツの廃棄物政策~容器包装を中心に」
講師: 服部美佐子さん(ごみ・環境ビジョン21理事、環境カウンセラー)
ドイツのごみ問題への取り組み、中でも「拡大生産者責任」とその具体的な政策、包装廃棄物政令と「デュアルシステム」について詳しくお話いただきました。
それによりリサイクル率は、非常に高くなっているものの「発生抑制」とは別のものなので、発生するごみの量自体は日本と変わりません。
リユースびんの利用が減ったために、缶のデポジット制が今年から導入されて論議を呼んでいます。 ドイツの取り組みにヒントを得ながら、日本ではどうしていくべきなのか一緒に考えてみました。
・ネレのドイツのくらし 「ドイツの食事」
・環境ドイツ語キーワード 「Mull」(ごみ) |
第1回勉強会(2002年12月18日) |
「ドイツの環境団体~BUNDを中心に」
講師: 瀬口 亮子 (FoE Japan)
ドイツが環境先進国になりえたそのひとつの要因に、強力な環境団体の存在があります。ドイツ最大の環境団体であり、Friends
of the Earth のドイツメンバーであるBUND(ドイツ環境自然保護連盟)について、同じ環境団体で働く立場からお話しました。
草の根の地域に根ざした活動を基盤に、国をも動かすこの団体の歴史、組織、活動についてご紹介しながら、日本の環境団体の将来についてもみんなで考えてみました。
・ネレのドイツのくらし 「ドイツのクリスマス」
・環境ドイツ語キーワード 「Umwelt」(環境) |