COP30閉会 - 気候正義ムーブメントからのメッセージ
ブラジルで開催されていた国連の気候変動会議(COP30)が22日に閉幕しました。閉幕に先立ち、現地時間21日にはFoEインターナショナルやFoEグループが加盟するDemand Climate Justice (DCJ)による記者会見が行われました。その内容についてお伝えします。
合意の内容については後日報告予定です。

Third World NetworkでFoEマレーシア代表のミーナ・ラーマン(Meena Raman)は、議長国が選定した4つの議題の中で、特にパリ協定9条1項に当たる資金支援についてコメントしました。33年に及ぶ気候変動交渉、またパリ協定の10年の歴史の中でも、資金に関する議論がもっとも難しいものであったとした上で、昨年のCOPで合意した新たな資金目標(NCQG、先進国から途上国に対し拠出する気候資金に関する新規合同数値目標)は、2035年までに年間3,000億ドルを拠出することで合意しましたが、途上国がNDC(国ごとの温室効果ガス削減目標を含む気候変動対策)実施に必要な気候資金(5兆ドルから6.8兆ドル)の需要とは程遠い金額であることを改めて強調しました。また、これまでの気候資金の目標である年間1,000億ドルには、ローンや輸出金融などが含まれており、途上国が求める気候資金の姿とはとうていかけ離れていること、また様々な「ロードマップ」が提示されたとしてもそれを実行するために必要な資金拠出の約束が欠けていることを指摘しました。
APMDD(Asian Peoples’ Movement on Debt and Development、債務と開発に関するアジアの民衆運動)のリディ・ナクピル(Lidy Nacpil)は、ブラジルとコロンビアが化石燃料廃止に向けたロードマップについてのイニシアチブをとったことを評価する一方、ロードマップを表向き支持する先進国が、化石燃料廃止に向けた取り組みを自らが率先して行っていないことを指摘。化石燃料への資金支援を止めず、グローバルサウスにおける化石燃料開発を進め、かつ化石燃料の大規模消費者である矛盾を訴えました。また、一部の先進国が化石燃料の廃止ロードマップを支持しながらも、公正な移行を可能にする気候資金の拠出に後ろ向きなのは偽善的であると指摘しました。単に産油国がロードマップに反対しているという単純な話ではなく、多くの途上国が中身のないロードマップは支持していないことを強調し、単純化した二項対立に警鐘をならしました。
Action Aidのブランドン・ウー(Brandon Wu)も、資金問題が重要であるとコメントしました。適応資金については、市民社会も求めていた増額、3倍の数字が最終日の交渉文書に残されましたが、これは2025年のレベルからの3倍であり、それが実際にどれくらいの資金規模になるのか不明なうえ、Oxfam等の調査によると米国の資金拠出が大幅に減少していることなどから、今年の適応資金の拠出額は極めて縮小する見通しを示しました。つまり、3倍になったとしても必要額からは相当少ない額が約束されただけ、ということになります。また、3分の2の気候資金はローン(有償資金)の形で供与され、途上国にとっては債務になっていることも改めて強調しました。
FoE EWNI(イングランド、ウェールズ、北アイルランド)のアサド・レーマン(Asad Rehman)は、「公正な移行(ジャスト・トランジション)」についてコメント。脇にやられた労働者たちが、「公正な移行」の議論から排除されないようにするべきだと主張。「公正な移行」についての決定文書案については歓迎できるものの、それを可能にする資金が重要であることについて、他の登壇者の意見に同意しました。
(COPの正式合意の内容については後日報告予定です。)
参考