COP30 People's Summit - アマゾンから世界へ
2025年11月10日月曜日から21日金曜日まで、ブラジル・ベレンにて国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)が開催中です。一週目には世界中から、特にブラジル全土から人々が集まり、「ピープルズ・サミット」が開催されました。「ピープルズ・サミット」とはCOP期間中に行われる、一般市民の声を反映させることを目的とした市民たちによるプログラムです。
FoEインターナショナルのピープルズ・サミット プレスリリースより、FoEのメンバーのコメントを交えながら現地の様子を紹介します。

ブラジル・ベレンのグアマ川を200隻以上の船が行進し、ピープルズ・サミットが正式に開幕しました。ブラジル、ラテンアメリカ、そして世界中から、フェミニスト、農民、先住民族、環境保護運動に携わる約2万人が集まり、環境レイシズム(注:人種的・社会的に弱い立場にあるマイノリティ(少数派)の人々やコミュニティに不均衡に環境汚染や気候変動による被害が集中する状況)と不平等の終焉を求めました。

「人々よりも利益を優先するシステムによって引き起こされた世界的な不正義と環境破壊に私たちは抵抗します。私たちは、地域、アイデンティティ、文化をこえて団結する運動の一員として、環境レイシズムと気候危機の最前線に立つ人々を中心とする共通の政治的地平を目指して前進しています。ファシズムと極右の脅威が増す中、地道な努力と人々の力を築き上げることが不可欠です。」
ー Lise Masson, Friends of the Earth International
「私たちは、採掘主義的(注:extractivism、環境社会影響を顧みず、主に輸出のために資源を採掘し、それに支えられた経済)で植民地主義的、そして家父長制的なシステムの繰り返しである、偽りの『グリーン・トランジション』を拒否します。公正でフェミニスト的なエネルギー転換には、権力関係の変革が不可欠です。つまり、生命、ケア、そして公共圏を中心とした、民主的で公共性があり、地域社会に根ざしたエネルギーシステムを構築することです。そのような地域に住み、守る人々には、自分たちで決定する権利と主権があります。私たちはサクリファイス・ゾーン(注:開発などのために犠牲にされる場所)ではありません。私たちは、生命を破壊するモデルに直面しながらも、生命を繋いでいるのです。」
– Mercedes Gould, Tierra Nativa / Friends of the Earth Argentina
15日、現地時間朝9時の開始にもかかわらず、7万もの人々が集まり、4.5kmほどのベレンの街並みを一心に感じながら、大規模なマーチを行いました。マーチでは、各々の信念や主張に合ったカラフルな装いやフラッグとともに、各参加団体や、各地域の独特のリズムに合わせながら様々な掛け声が飛び交いました。このマーチには3つのブロックがあり、FoE JapanのメンバーはFoE Internationalの一員として、”Internationalist solidarity and Palestine”というブロックで、パレスチナ問題の解決と国際連帯を求めました。マーチを見物している人々による応援もあり、ピープルズ・サミットへの関心の高さや市民社会の存在意義の大きさを感じることができたマーチでした。

ピープルズサミットの期間中、食料主権、アグロエコロジー、コミュニティによる森林管理などのテーマが、先住民族コミュニティ、農民、女性、若者などの多様な参加者により活発に議論されました。伝統的に自然に寄り添い生活を送ってきた人々からこそ、気候変動に対する「真の解決策(Real Solutions)」が導かれることや、今後も団結をして気候正義を求めていくことを確認し合う時間となりました。

12日から開催されていたピープルズ・サミットは、16日にCOP30の議長に最終声明を手渡し正式に終了しました。(FoEインターナショナルの閉幕プレスリリース全文はこちら。)

「私たちは、フェミニスト、農民、先住民族、環境活動家を含む6万人の仲間と共に、ピープルズ・サミットの一環として行進しました。変革を求める声を高め、今日私たちが直面する危機に対する真の解決策を示すためです。国連気候変動枠組条約(COP30)交渉が長引くにつれ、偽りの解決策を押し付ける企業ロビイストが蔓延り、コミュニティは気候危機の最前線に追いやられています。ピープルズ・マーチは、アマゾンからパレスチナに至るまで、解放のための戦いへの国際主義的な連帯を胸に、気候正義への道をともに歩みました。」
– Lucia Ortiz, Friends of the Earth Brazil
Kick Big Polluter’s Outキャンペーンの調査では、1,600人以上の化石燃料ロビイストがCOP30気候会議に参加登録しています。COP参加者の25人中1人が化石燃料業界関係者という多さです。
「何十年もの間、企業の力は私たちの土地とテリトリーを切り開き、資源を盗み、生態系を汚染し、人々の命と生活を奪ってきました。しかし今日、同じ企業が交渉のテーブルに招かれ、自らが作り出した危機をさらに深刻化させるような偽りの解決策を押し付けています。私たちは、森林、河川、土壌、そして気候を利益のための商品に変えるあらゆる計画を拒否します。真の気候正義は、地域社会が自らの土地、領土、そして食料システムに対する完全な権利を取り戻し、企業の支配から人々の主権が奪い去られたときにのみ実現します。」
– Sarath Cheloor, Friends of the Earth India
COP30の会議場では、第一週目が終わったにもかかわらず、気候変動対策において前進が見られるような合意が取れず、国際社会が連帯することの存在意義が問われています。第2週からは閣僚級の会議が始まり、各国の政治的な意図が気候変動対策の議題に持ち込まれ、さらに混沌とすることが予想されますが、私たちFoE JapanはFoE Internatinalの一員だけでなく、市民社会の一員として、引き続き連帯し、誤った気候変動対策に対するアクションをともに進めていきます。
(べレンー中根杏、佐藤万優子 東京ー深草亜悠美)