声明:柏崎刈羽原発の再稼働に抗議する
本日、東電柏崎刈羽原発(新潟県)が再稼働しました。
数々の問題を置き去りにした再稼働に私たちは強く抗議します。
FoE Japan、原子力規制を監視する市民の会、規制庁・規制委員会を監視する新潟の会は、抗議声明を発出しました。
2026年1月21日
声明:柏崎刈羽原発の再稼働に抗議する
本日、東京電力柏崎刈羽原発が再稼働した。私たちはこれに強く抗議する。
福島第一原発事故は終わっていない
2011年3月11日に発生した東日本大震災とそれに続く東電福島第一原発事故から、まもなく15年になるが、事故とその影響は今もさまざまな形で継続している。広範囲におよぶ放射能汚染が生じ、数万人の人が今なお故郷に帰れない状況にある。自然のめぐみとともにあった人々の暮らしは大きな打撃を受けた。廃炉は先を見通せない。柏崎刈羽原発は、福島第一原発を引き起こした東電の原発である。事故の責任を取らぬまま、また事故の収束が見通しすらたたないまま、別の原発の再稼働を行うことは許されない。
隠蔽や改ざん、相次ぐ不祥事
東電は、2002年、柏崎刈羽原発、福島第一・第二など計13基の原発で、ひび割れや故障を長年にわたり意図的に隠ぺいし、記録を改ざんしていたこと、福島第一原発事故では、早い段階で炉心溶融(メルトダウン)を認識していながらそれを公表しなかったことなど、隠ぺいや不祥事が多く発生しており、その能力やガバナンス、情報公開姿勢、安全文化の欠如を疑わせる結果となっている。柏崎刈羽原発においても、運転員のID カード不正使用など、核セキュリティ上の杜撰な管理実態や不祥事が相次いで発覚するなど、一時は原子力規制委員会が、事実上の運転禁止命令を出す事態となっていた。
相次ぐ制御棒トラブル
1月17日、柏崎刈羽原発6号機において、再度の制御棒のトラブルがあったことが明らかになった。6号機の制御棒に関わるトラブルは2025年6月以降、立て続けに3件も起きている。制御棒という安全上重要な機器のトラブルに際して、その原因を徹底解明しないうちに再稼働を急ぐ東電の姿勢は、安全性を軽視するものだ。
地震のリスク
柏崎刈羽原発は、東北地方の日本海沿岸から信州・北陸に至る地震帯の真っ只中に位置する。2007年の中越沖地震(M6.8)では、設計上の想定を超える揺れにおそわれた。その後、東電は想定を見直したものの、50-60kmに及ぶ長大な海底活断層(佐渡海盆東縁断層)全体を評価したわけではなく、十分なものとはいえない。
事業者頼みの審査では安全は守れない
1月5日、中部電力が、浜岡原発の耐震設計のもととなる基準地震動のデータを不正に操作していたことが明らかになった。外部からの通報によってデータの捏造が知らされるまで、原子力規制委員会・規制庁は、中部電力の地震評価を「概ね妥当」としていた。このことは、規制委・規制庁の審査が、事業者からのデータ頼みで、その検証を行っていないことを意味している。柏崎刈羽原発6号機の相次ぐ制御棒のトラブルについても、規制委・規制庁は東電の発表を通じて状況を把握するのみであり、トラブルの根本原因を追及する姿勢を見せていない。このような規制のあり方では、原発の安全は守れない。
取り残される住民
原発で深刻な事故が発生した場合、放射性物質による重篤な被ばくを避けるため、PAZ(原発から半径5㎞圏内)の住民は即時避難、 UPZ(半径5-30km圏内)の住民は屋内退避することとなっている。UPZの住民は、かなりの高線量となって初めて、避難指示が出される。しかし、地震等の天災と原発事故との複合災害が発生した場合、避難も屋内退避もできない状況となりうる。大雪により何日も移動ができなる場合も考えられる。
そもそも深刻な原発事故発生時に半径5km圏を即時避難としたのは、屋内退避では被ばくを十分防ぐことができないからである。現在の計画は、原発の稼働ありきで、住民を被ばくから守るものではない。
行先なき「核のごみ」
原発を動かせば、使用済み核燃料が発生し続けることになる。柏崎刈羽原発の使用済み核燃料は、敷地内の保管用プールにためられているが、容量の上限に近づいていた。このため、2024年9月、青森県むつ市に建設された「中間貯蔵施設」に、柏崎刈羽原発の使用済み核燃料の一部が搬入された。この先どこに持って行くのか、国の説明は二転三転した。最近の説明では「六ヶ所再処理工場に搬出する」となっている。しかし六ヶ所再処理工場は、工事完成を27回も延期しており、稼働する前から老朽化が懸念される事態だ。たとえ六ヶ所再処理工場が稼働したとしても、そこで生じた放射性廃液をガラスで固めた「核のごみ」の行き場は決まっていない。
「核のごみ」の最終処分地の選定をめぐっては、地元の葛藤や分断といった大きな社会的な影響を生み出す。原発および核のごみを、過疎に悩む地域に、交付金をつけて押し付けるような現在のやり方は許されない。
新潟県民は納得していない
2025年9月から新潟県が実施した県民意識調査で、「再稼働の条件は現状で整っているか」という問いについて、全県30市町村の調査で「そうは思わない」「どちらかといえばそうは思わない」との否定的回答が計60%に上った。
2025年3月には、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の是非を県民投票によって決めることを求める署名14万3,196筆が県議会に提出された。これは県民投票条例の直接請求に必要な約3万6,000筆を大きく上回るもので、再稼働是非の判断を県民自らが行いたいという県民意思の表れである。
原発は必要ない
2011年の福島第一原発事故以降、東電管区内では原発ゼロの状態が続いていた。しかし、火力発電所、再エネ(太陽光・風力等)の拡大に加え、需要側管理や広域連系線を通じた地域間融通などで対応してきた。省エネ機器の普及による電力需要量低下も大きく貢献している。これらによって、必要とされる電力準備率(3%)は基本的に確保されている。多くの場合、需給ひっ迫は、電力の供給能力の不足から生じているのではなく、需要の一時的で急激な増加に対して供給が間に合わないことから生じる。このため、現在必要とされているのは、変動する需要にあわせた電力供給をいかに臨機応変に効率的に行っていくための需給調整の仕組み強化であり、大規模集中型で調整が困難な原発ではない。
以上の理由から、私たちは改めて柏崎刈羽原発再稼働に反対する。東京電力は柏崎刈羽原発の稼働ではなく、福島第一原発事故の後始末と、被害者に対する賠償の貫徹に注力すべきである。
国際環境NGO FoE Japan
原子力規制を監視する市民の会
規制庁・規制委員会を監視する新潟の会