【プレスリリース】石破首相とトランプ大統領の会談を受けてのNGO声明
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石破茂首相と米国大統領ドナルド・トランプが本日ホワイトハウスで会談を行い、米国から日本へのLNG輸入を拡大することを発表しました。
化石燃料ガスは、ガスが採掘される段階から、メキシコ湾岸におけるLNG輸出基地、そして日本への輸入までの全ての段階で、地域社会や地球に壊滅的な影響を与えています。先週、米国でガス開発の影響を受けるコミュニティメンバーや、NGOのメンバーらが来日し、米国のLNG関連施設に対する日本の融資がもたらす破壊的な影響について語りました。
黒人コミュニティの権利活動家であり、「環境正義のためのフリーポート・ヘブン・プロジェクト」の創設者であるマニング・ローラーソンは次のように述べています。「私はテキサス湾岸南部のコミュニティがサクリファイスゾーン(注:開発等の犠牲となる地帯)としか言いようのないものに変貌するのを目撃してきました。日本が米国からさらに多くのLNGを購入するということは、日本が地域社会と地球の破壊に貢献することを意味します。私のコミュニティで、日本のエネルギー大手JERAが投資するフリーポートLNGが2022年に爆発事故を起こしています。日本は米国からこれ以上LNGを購入すべきではありません。」
LNG開発の影響はターミナルから始まるのではなく、地面から採掘されるときに始まります。 オイルフィールド・ウィットネスの創設者シャロン・ウィルソンは、光学ガス画像 (OGI) カメラを使って石油・ガス施設からの目に見えない排出を長年にわたって記録し、この業界の汚染の実態を明らかにしてきました。
「石破総理、私は日本のLNG火力発電や輸入施設にOGIカメラを持って行きました。」シャロン・ウィルソンは言う。「予想通り、これらの施設は驚くべき量のメタンを排出していました。総理、産業界等はLNGが『移行燃料』であるとあなたに嘘をついてますが業界は信頼できません。トランプ氏も信用できません。」
ルイジアナ州ベッセル・プロジェクトの創設者であり、ガルフ・ファイナンス・ハブのコーディネーターであるロシェッタ・オゼーンは次のように述べます。 「石破総理、私は汚染に悩まされているルイジアナ州サルファーの住民として、LNGへの過度の依存の危険性を目の当たりにしています。私の子どもたちは、この環境危機に直接起因する健康問題に苦しんでいます。トランプのような指導者による有害な政策や行動は、私たちの窮状を悪化させるだけであり、私たちの大気、私たちの健康、そして私たちの未来を脅かしています。私たちはクリーンエネルギーを優先し、さらなる被害からコミュニティを守るために直ちに行動を起こさなければなりません。」
オイル・チェンジ・インターナショナルのアジア・プログラム・マネージャーのスザンヌ・ウォンは次のようにコメントしました。「トランプ氏は再び、人々の命よりも化石燃料産業の利益を優先させようとしています――この産業はトランプ氏を選出するために数億ドルをつぎ込みました。米国のLNG開発への融資は日本の投資家に深刻なリスクをもたらし、地域社会の住みよい未来を危険にさらします。これらのビジネスはエネルギー安全保障に関するものではなく、最前線のコミュニティと気候を犠牲にして化石燃料の億万長者を富ませるためのものです。両首脳による発表の一方で、地域社会の強い反対、法的問題、資金調達とガスの購入者の確保の難しさのため、米国のLNG拡大の将来は不透明です。」
FoE Japanのキャンペーナー、長田大輝は 「日本政府はLNGはエネルギー安全保障のためだと主張していますが、日本企業はLNGを他国に転売しており、その転売量は日本にとって最大のLNG輸出国であるオーストラリアからの輸入量を上回っているます。不安定な LNG価格は、日本の再販会社と消費者の両方を悩ませています。LNGをさらに購入することは、経済、気候変動、エネルギー安全保障などあらゆる意味で意味がありません。」とコメントしています。
また両首脳は、日本の公的金融機関によるアラスカのLNGプロジェクトへの支援についても議論していますが、FoE USの経済政策部次長のケイト・デアンジェリス氏は、「トランプ大統領は、保全地域や先住民族への悪影響にも関わらず、アラスカでのガス採掘と輸出を推し進めています。トランプ大統領は、日米双方にとって不利なプロジェクトに資金を提供するための操り人形として日本を利用しようとしています。日本政府はそれを許してはなりません。」と訴えています。