【プレスリリース】南極の海生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)第43回年次会合閉幕
南極南大洋連合(ASOC)は2024年10月14日~25日までホバート(オーストラリア)で開催された「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)」第43回年次会合の閉幕をうけ、以下のプレスリリースを発出しました。
南大洋の保護が後退、CCAMLRは自然保護を第一に考えず
南極南大洋連合(ASOC)
(翻訳:FoE Japan)
2024年10月25日、ホバート(オーストラリア):南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)第43回年次会合が閉幕しました。
南極の海洋生物資源の保全を担うCCAMLRは、代表例となる海洋保護区(MPAs)体制を南大洋に設定するという公約を全うするために行動を起こさなかっただけでなく、オキアミ漁業管理に関しても大きく後退しました。
オキアミ漁業管理計画の改訂およびオキアミの捕食者と生態系をよりよく保護するための南極半島海洋保護区に関する重要な交渉が行われたにも関わらず、新たな措置を講じることは阻まれました。CCAMLRは、オキアミ漁獲量を分散させるための重要な措置の更新についても合意に至りませんでした。
コロンビアで開催される生物多様性条約第16回締約国会議(CBD COP16)に世界各国が集う中、CCAMLRには、南極半島に新しい海洋保護区の設置を採択することで2030年までに海洋の30%を保護するという国際的公約(30×30)の達成に貢献する機会がありました。南極半島では、世界平均の2倍の速さで温暖化が進み、ペンギン、クジラ、アザラシなど固有でかけがえのない野生生物の生息域です。しかし、残念ながら実現できませんでした。CCAMLRは2016年以降、新たに海洋保護区を採択していません。
CCAMLRは、ナンキョクオキアミに対する商業的関心の高まりを受け、南極の海洋生物の保護を目的として1982年に設立されました。ナンキョクオキアミは、南大洋の食物網における重要な種のひとつです。ナンキョクオキアミを保護していた重要な管理措置を撤回したことで、CCAMLRは自身の目的を果たせなくなっています。
編集者への注:
- CCAMLRは、南極の海洋生態系の保全と南大洋における漁業管理を担う国際機関です。
- 南極南大洋連合(ASOC: Antarctic and Southern Ocean Coalition)は、南極および南大洋の生態系の健全性を人間活動から守るために活動しています。その使命は、NGOコミュニティの統一された見解を提供することにより、南極および南大洋の唯一無二かつ脆弱な生態系を保護することです。
- 詳しくは、レポート Protecting a Changing Southern Ocean をご覧ください。
メディア連絡先:日本語 は FoE Japan(info@foejapan.org)まで
ドイツ語 – Meike Schützek, info@meikescchuetzek.com, +49 17682797897
英語 – Barbara Cvrkel, bcvrkel@pewtrusts.org, +1 2025105670
フランス語、スペイン語 – Patricia Roy, patricia@communicationsinc.co.uk, +34 696 905 907
中南米地域 – Karen Rauch, karen@communicationsinc.co.uk, +56 9 6735 4769
参考情報
- Protecting a Changing Southern Ocean のエグゼクティブサマリー(日本語)はこちら。
- CCAMLRの意思決定は、コンセンサス方式であるため、すべてのメンバー国の合意が必要です。現在(CCAMLR第43回年次会合時点)のメンバー国は、26カ国とEUです。
- 日本は、2026年に開催される第48回南極条約協議国会議のホスト国で、開催地は広島に決定しています。
- FoE JapanはASOCのメンバー団体です。ASCO代表団の一員として、CCAMLR第43回年次会合にオブザーバーとして参加しました(オンライン傍聴)。