新たな脅威 ~南極が直面する問題~

気候変動

貴重な生態系|新たな脅威|南極保全への取り組み参加しよう

歴史的に、地球上で最も人間活動の影響が少ない大陸と言われる南極ですが、過去には一部の生物を対象とした乱獲や開発の危機に直面したこともあります。そして、現在、気候変動や漁獲量の拡大という新たな脅威が迫っています。

乱獲の歴史と漁獲量の拡大

かつてアザラシやクジラ、コオリウオ科の魚などが乱獲されたり、たくさんの海鳥が漁網にかかって死んでしまったことがありました。その後は対策が進み、こうした被害は減りましたが、最近ではメロ漁やオキアミ漁の拡大が問題となっています。

メロは銀ムツとも呼ばれる高級魚で、推定で年10万トンが水揚げされますが、この3分の2は許可を持たない密漁です。日本はアメリカとならんで世界最大のメロ輸入国で、私たちの食卓にも並ぶ身近な食材です。

オキアミ漁も年17万トン規模といわれ、地域により生息数を減らしすぎないか心配されています。南アフリカ方面沖にあるブーベ島はマカロニペンギンやヒゲペンギンの繁殖地ですが、ペンギン生息数がここ20~30年でほぼ半減してしまいまったそうです。正確な理由はわかっていませんが、漁の影響でエサが減ってしまったのか、気候変動のせいか、あるいは両方が原因かもしれないと考えられています。

気候変動

気候変動がすでに南極に影響を与えていることは自然科学では明白な事実となっています。

南極半島は、地球上で最も早く気温が上昇している場所です。南極は世界中の海洋循環の要でもあり、その変化は地球上のすべての気候に予測困難な影響を与えると考えられています。一方、ロス海やウェッデル海では海氷は増えています。長期的な気候変動など様々な理由が考えられていますが、間もなく人為起源の気候変動による融解に転じるとも予測されています。

また、科学者の間では、このまま温暖化が進むと、将来、ロス海が一年を通じて海氷が見られる最後の場所になると予測されています。ロス海は南極圏のいきものたちにとって「避難所(レフュージア)」になるかもしれません。

すでに南極のいきものは気候変動の影響を受けています。オキアミは海氷の下の藻類を餌にしており、南極半島の海氷の減少と同時に個体数を減少させています。アデリーペンギンも、繁殖地でオキアミの減少と気象変化が生じたために近年個体数が低下しています。エンペラーペンギンに関しては、世界の平均気温が2℃上昇したら、甚大な影響を受けると予測されています。マゼランアイナメもまた、気候変動の影響に脆弱であると言われています。

南極の気候変動はこのように世界的にも局地的にも劇的な変化を生じさせ、世界のいくつかのいきものに深刻な影響を及ぼすと考えられます。

観光客の増加

近年、南極への観光客が増加しており、年間30,000人超が観光で訪れています。
(1)観光が南極環境に与える影響、(2)南極地域における適切な観光の管理、(3)南極における観測活動等への障害等の観点から、より厳しい規制をかけるべきとの主張があります。

参考 外務省HP >https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/s_pole.html

その他、私たち人間活動を起因として海難事故、外来生物、生物資源の商業活用等、南極生態系に影響を与える多くの問題が生じています。

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