FoEIプレスリリース:COP28は誤った解決策ではなく、公正かつ公平な気候変動対策を社会にもたらす必要がある

気候変動2023.11.30
COP28 press release_Friends of the earth international_three people raise their fists in protest at COP27 in 2022.

2023年11月28日ドバイ(アラブ首長国連邦)– 世界的な政治状況不安の中、国連の気候変動に関する会議が始まります。気候変動に最も責任のある富裕国は、炭素市場の議論や、危険なテクノフィックス(訳者注:科学技術があらゆる問題を解決するとする姿勢・考え)やその他の誤った解決策(注1)に時間を無駄に使うのではなく、すべての化石燃料からの公正かつ公平な移行を追求し、発展途上国に資金を提供することを率先して行わなければなりません。

FoEインターナショナル(FoEI)は世界最大の草の根の環境ネットワークとして、ドバイで開催されるCOP28に出席し、正義と公平性に基づいた気候変動対策を呼びかけます。また、大規模な汚染者に対抗し、アラブ首長国連邦やパレスチナ、そして世界中で抑圧されている人々との連帯を示します。

FoEIは、米国、英国、EU加盟国などの先進国が、グローバルな気候変動フレームワークの重要原則である、気候危機に対する歴史的責任という考え方を否定し、排出削減の義務や、公正な移行、適応、損失と被害に対する資金拠出の義務を否定するだろうと予想しています。これは、ほぼすべての交渉議題に関する議論に影響を及ぼし、対立や行き詰まりにつながる可能性があります。

COPにおける公正な結果に対する脅威として、世界最大の汚染者である石油・ガス会社関連の参加者の増加が挙げられます。過去20年間で、石油・ガス会社関連の参加者が国連の気候変動交渉に少なくとも累計7200回以上出席しており、COP28にも多くの石油・ガス会社の関係者が参加すると見られます(2)。UAEのCOP28議長が化石燃料ビジネス取引を進めるために国連会合を利用していることは非常に憂慮すべきことです(3)。

FoEインターナショナルのLise Massonは「気候への影響が激化する中、COP28はグリーンウォッシングや気候変動に対する誤った解決策の推進の主役である大規模汚染者たちにとってのレッドカーペット(訳者注:要人を歓迎するために使われる赤い絨毯)になっています。炭素市場、オフセット、炭素除去は窮地を救うものではなく、富裕国や通常通り事業を継続しようと躍起になっている汚染企業が仕掛けた危険な目眩しです。」

FoEIは、国家による極度の弾圧の下で、COPに出席しないことを選択した多くの人を含め、世界中で人権、民主主義、環境正義のために立ち上がる人々の声をCOP28の場で強調したいと思います。FoEIは他の市民団体とともに、ガザでの停戦と、世界のいかなる場所においても、入植者植民地主義と気候変動植民地主義の終結を求めます。

ヨルダン川西岸から、PENGON(FoEパレスチナ)のAbeer Al-Butmehは、「イスラエルの植民地政権に対する私たちの闘いは、人権と気候正義を求めるあらゆる闘いと本質的に結びついています。イスラエルはガザで環境ジェノサイドを行っている一方で、パレスチナ人に対する組織的な抑圧に対する批判をかわし、自らを気候変動の救世主として投影するためのグリーンウォッシングの手段としてCOP28を利用しています。パレスチナ人として、私は気候正義の名の下にCOP28に出席しません。」とコメントしました。

またLise Massonは「紛争、植民地主義、企業権力が環境破壊の火を煽り、パレスチナからグローバルサウスの気候変動の最前線に至るまで、命があたかも使い捨てできるものとして、破壊を尽くしています。私たちは世界の指導者たちに、行動に対する緊急性と、あらゆる決定の際に正義と公平性を思い出してもらいたく、COPの場にきています。」と付け加えました。

以上

補足:

COP28は以下の論点などについて議論が行われると見られます。

  • 先進国による途上国に対する資金支援の義務
  • 損失と被害に関するファシリティへの資金拠出ガバナンス – 世界銀行がファシリティの受け入れを行い、資金拠出についてもボランタリーベースとなることが懸念されている
  • パリ協定6条における炭素市場の議論 
  • 再生可能エネルギーに対する世界的ゴールの設定 – 実施に対する資金支援や、再エネ開発に伴う採掘圧力への高まりについては十分議論されないことが懸念される
  • 化石燃料の公正で公平なフェーズアウト – 遅延することが懸念される
  • 排出削減に関する国際的な進捗確認(グローバルストックテイク)

注:

(1)誤った解決策については以下も参照のこと

(2) Kick Big Polluters Out campaign press release, 21 Nov.

(3) Climate Reporting and BBC story, 27 Nov.

 

関連する記事

COP28 ドバイ会議

気候変動

COP28における炭素市場交渉に関する要請書

気候変動

関連するプロジェクト