GENESIS松島計画、環境アセスメント「方法書」に対するパブリックコメント 10/17まで
世界の気温上昇を1.5℃までに抑えるために、化石燃料をやめていかなければいけないことは世界で合意されています。その中でも特に、石炭火力からの脱却は急がねばなりません。
そのようななか、古い石炭火力発電に新たなガス化装置をつけて延命、将来的にはバイオマス混焼やアンモニア燃料の混焼も視野に、という計画があります。
長崎県西海市で電源開発が進める「GENESIS松島計画」です。2021年からこの計画の環境アセスメント手続きが行われ、今回はその2段階目の「方法書」に対する意見募集が行われています。(8/30~10/17まで)
石炭火力延命のこの計画を止めるために、ぜひパブリックコメントを送りましょう!
このパブリックコメントは、郵送のみとハードルの高いものですが、
以下の「350 NEW ENERATION」、もしくは「ACT松島」のフォームから、簡単に送ることもできます。【10/14まで】(印刷して郵送してくれます!!)
>石炭ゾンビ2022 (sekitan-zombie-2022.org)
>ACT松島 | (act-matsushima.jp)
>電源開発株式会社の環境アセスメントのページはこちら(方法書本文等)
GENESIS松島計画 | 環境アセスメント状況 | J-POWER 電源開発株式会社 (jpower.co.jp)
FoE Japanからも、以下の意見を提出しました。
●意見内容
GENESIS松島計画は、石炭火力発電を延命させ、誤った気候変動対策を進めようとするものである。計画は中止すべき。
●理由
電源開発株式会社による「GENESIS 松島計画」は、1981年から稼働してきた旧式(超臨界圧)石炭火力2機のうち第2号機に石炭をガス化する設備を付加するというものである。そのガス化技術に、「バイオマス等のカーボンフリー燃料やCCUS/カーボンリサイクルといった新技術と既存技術に柔軟に組み合わせることにより、2050年に向けてカーボンニュートラルを実現することを目指」すとしている。(方法書「第二章 対象事業の目的および内容」)
バイオマスの混焼はすでに実用化しているが、大きな問題がある。バイオマスを「カーボンフリー」燃料とすることは、燃料を生産した植生が元通り再生されるという前提にたって、「燃焼」という一つの段階のみをとりあげたものであり、実際には、燃料の栽培、加工、輸送といったライフサイクルにおいて大きなCO2排出がある。輸入燃料が利用される可能性が高く、輸入国での燃料生産に伴う森林伐採等も大きな問題である。バイオマスの混焼は行うべきではない。
アンモニアについても、「カーボンフリー」は燃焼段階のみである。当面の間想定されているのは化石燃料から改質し海外から輸入する「グレーアンモニア」である。「ブルー」や「グリーン」のアンモニアの実用化は、2050年に可能かどうかさえ見通しが立っていないため、少なくとも現段階で「カーボンフリー代替燃料」とは言えない。
CCUSについても同様に、2030年はおろか2050年での実用化も不確実である。
これらの、2050年での実用化すら見通しの立たない技術を見込んでGENESIS松島計画が実行された場合、石炭やバイオマス燃料が燃やされる状態が数十年間続き、大量のCO2が排出され続けることになる。
電源開発株式会社のバイオマスやアンモニア、CCUSに頼った「カーボンニュートラルの実現を目指す」構想は石炭火力延命の隠れ蓑にすぎず、許すべきものではない。GENESIS松島計画は中止し、敷地を活用した太陽光発電や風力発電に方向転換すべきである。
参考
>気候ネットワーク 意見提出呼びかけ
https://www.kikonet.org/info/press-release/2022-9-28/MatsushimaEIA2
>環境大臣意見に対する声明(2021年12月)
https://www.foejapan.org/climate/nocoal/211221.htm