COP26グラスゴー会議 ―バランスを欠く合意に途上国は失望

気候変動

10月31日から11月12日にかけ、英国グラスゴーで第26回国連気候変動枠組条約締結国会議(COP26)が開催されました。2020年は新型コロナウイルスのパンデミックにより開催が延期され、一年ごしの対面での開催となりました。

開幕にあたって

COP26開幕。2年ぶりに開催される国連気候変動会議の行方と、市民の声
「ネットゼロ目標ではなく具体的な行動を」開幕にあたってのFoE International記者会見

新型コロナウイルスの流行により私たちの生活は一変した一方、私たちは深刻な気候危機にも直面しています。2021年、熱波は北米に深刻な被害をもたらしました。カナダでは49.6度を記録し、これまでの最高記録を5度も上回るものでした。世界各地で深刻な山火事被害が発生しています。ドイツの洪水被害も記憶に新しいでしょう。インドや東南アジアの国々でも大規模災害が多発しています。日本も毎年のように豪雨災害に見舞われています。

今回のCOPは、コロナの影響により、途上国からの参加が非常に困難なものでした。開催日に近づくにつれ規制緩和が行われたり、COP参加者に対する支援パッケージなども用意されましたが、ワクチン接種が進んでいない途上国のメンバーには依然高いハードルがあり、コロナ対策のための追加費用も高額になるためそれぞれの国からの入国条件には差があり、参加の機会が平等に確保されているとは全く言えない状況です。

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史上最も不公平なCOP? – 参加を阻まれる途上国の市民社会

そのような問題もあるなかで開催された今回のグラスゴー会合ですが、注目されてきた論点は、前回の会合でまとまらなかったパリ協定第6条に関するルールやNDC(国別削減目標)の引き上げ、そして、途上国が特に重要視してきたのが、気候資金、適応策の具体化、損失と被害への支援強化です。

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COP26グラスゴー会合、2週目に突入。“外向け”の宣言と交渉の実態の差
グラスゴー会合終盤〜COP26のポイントや課題〜

パリ協定第6条で議論されている炭素市場については、FoEグループは反対の声をあげてきました。炭素市場は、植林、炭素クレジットの購入、またはまだ実証されていない炭素を空気から取り出す技術への依存を通じ、他の場所での排出量を削減することを前提に、継続的な温室効果ガスの排出を許容し、炭素市場は排出量の増加を引き起こすリスクがあります。 さらに、グローバルサウスのコミュニティにより多くの土地取得と人権侵害を引き起こします。 気候変動による損失や被害が顕在化する現在、気候変動対策は迅速かつ確実なものであるべきであり、炭素市場への依存は取り返しのつかない事態をもたらしかねません。

炭素市場についてはこちら

炭素市場にノー!- 排出増加につながりかねない「誤った」解決策
*炭素市場に関する問題点についての詳細は、ぜひ翻訳レポート『カーボンユニコーンを追いかける〜炭素市場と「ネットゼロ」のまやかし〜』をご覧ください。

また、今回の会合では、「ネットゼロ」という言葉が盛んに使われました。「ネットゼロ」は、排出量から吸収量を差し引きすることで相殺する概念であり、その相殺の方法の一つが前述の炭素市場であり、もう一つの方法として、Nture Based Solutions(自然に基づく解決策)です。

自然に基づく解決策という言葉は聞こえは良いですが、実態は大規模植林などであり、そもそも、大規模な排出企業や先進国の排出量を吸収するのに十分な土地や森はありません。先進国や巨大排出企業が自らの排出をオフセットするための大規模植林は、途上国での土地収奪や食料安全保障の不安定化、そしてすでに気候変動の影響を受けている途上の人々への人権侵害を引き起こしかねないものです。企業や国は、オフセットや技術に頼ることで排出量を相殺し、この先何十年も今まで通りの事業を続けるのではなく、化石燃料からの早急な脱却を進めていく必要があります。

ネットゼロ、自然に基づく解決策に関する問題点はこちら

グラスゴー会合終盤〜COP26のポイントや課題〜

また、今回のCOP26COP26議長国の英国は、議長国はCOP26期間中、それぞれの日にテーマを設定していました。交渉と並行して、それぞれの日のテーマに合わせたイベントが開催されました。

11月1-2日に開催されたワールドリーダーズサミットでは、120カ国以上の首相たちが参加し、NDCの引き上げなどの宣言がありました。日本は、岸田首相が600億ドルの気候資金に加え、現在足りていない分を補うため、新たに5年間で最大100億ドルを追加することを述べたほか、アジアの途上国において水素やアンモニアといったゼロエミッション火力を推進するため1億ドル規模の支援を展開することをスピーチで述べました。しかし、ゼロエミッション火力は石炭火力を延命させるためのものでしかありません。

エネルギー・デーに指定された11月4日には、エネルギーをテーマに、議長国の主催イベントなどが多数開催されました。

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10月31日より開催されてきた第26回国連気候変動枠組条約締結国会議(COP26)は、1日の延期を経て、11月13日夜に閉幕しました。

閉会式では、議長Alok Sharma氏や国連気候枠組条約事務局長Patricia Espinoza氏が、COP24からの宿題となっていたパリ協定第6条、第4条、第13条の議論をまとめられたことを理由に「COP26は成功した」と発言する一方、後発開発国やアフリカ、島嶼国は、緩和目標強化の作業計画がグラスゴーでの合意(Glasgow Climate Pact) に盛り込まれたことは歓迎するものの、今回強く求めていた適応や損失と被害に対応するための資金提供を先進国がほぼ拒絶し、バランスを欠く合意であるとして失望の意も示しました。

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グラスゴー会議閉幕 – バランスを欠く合意に途上国は失望

議長国英国の下で、先進国は気候植民地主義的な枠組みを推進し、既存の権益と世界での優位の維持を優先しています。決定文書に盛り込まれた言葉とは裏腹に、パリ協定の1.5℃目標の実現を危うくするものでもあります。ですが、早急で野心的な行動の必要性は変わりません。交渉結果は厳しいものでしたが、グラスゴーの街中には、気候正義を求める市民の「社会を変えたい」「私たちには社会を変える力がある」という熱気に溢れていました。

FoEグループは引き続き、Climate Justiceの真の実現に向けて活動していきます。

 

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